「やりたい仕事をさせてもらえない」新人さんの「やりたい仕事」って何だろう

「吐息の日々〜労働日誌〜」さんの「身勝手な退社話」の中にあった内容から。引用の引用で恐縮ですが。

 この1年間でほかに3人の同期が「なじめない」「違う道に進みたい」と辞めたが、どれも取って付けたような口実で、「やりたい仕事をさせてもらえない」との本音が透けて見える。

 ミズノでも実力主義を掲げ、公募制度や海外研修勤務制度の対象を入社3年目以上に広げた。「実績や経験のない新入社員を一足飛びで登用する会社なんてありえない。もう少し頑張ろうとの気概を持てないのか」。原さんは歯がゆい。
(平成18年8月21日付日本経済新聞朝刊記事「身勝手な退社話、心もとない就職意識」より)

「やりたい仕事をさせてもらえない」。ええもう本当によく聞くフレーズで。
でも聞いてると彼らの「やりたい仕事」って、結局人気3Kだという気がする。つまり「国際」「企画」「広報」の3K。あとは「全部任されたい」つまりソフト開発なら一部ではなくアイデア作りから納品まで、ということらしいのだが。
そういう仕事をぽんと新人に任せる会社がどのくらいあるのかと言うと、少なくとも規模の大きいところでは難しいだろう。特に記事内にあるような「そこそこの給料がもらえて、平日の夜のプライベートな時間を満喫できる」なんて暮らしができる会社では(本当にそんな会社があったら私が行きたい(笑))ありえないような気がする私は頭が古いだろうか。

もちろんこれから成長していくベンチャー系の会社なら、新人だろうが何だろうがガンガン仕事をさせてもらえるだろう。そういう意味で、見た目の安定や待遇と「やりたい仕事」はトレードオフくらいに考えておいてもらった方がいっそすっきりするかもしれない。
そこそこの規模の会社は、新人をやりたい「方面」には配属するだろうが、思い描いていたような「自分を活かせるかっこいい仕事」はそうそうできないのが現状だから。

そのあたり採用時のRJP(Realistic Job Preview)が大事になってくると思う。採用が「グローバルな舞台で活躍できる会社です」とか「若い内からどんどん任せます」なんて言っておいて現場は全然違う、なんてのがミスマッチの原因になっていたら目も当てられない。「だまされた」と思うだろう。

加えて、「やりたい仕事」と言う人たちに共通して感じるのが「育ててくれるところに行きたい」つまりそういう環境に行って誰かが教えてくれるのを待ちたい、ということ。しかし現実そう言うところは「ある程度できる人」を求めているケースが多く、自分なりに何かを身につけて売り込めないと厳しいのが現状。

「やりたい仕事をさせてもらえない」と言って辞めていく新人さんたちを全面的に責めるつもりはもちろんない。辞めてしまうまで彼らの気持ちを全然聞けなかった周囲の人たちのサポートが足りなかったという可能性だってある。ただ、じゃああなたの「やりたい仕事」って何?具体的に何をすること?と聞いてみたいのだ。転職して幸せになるならもちろんいいのだが、どこに行っても「やりたい仕事」ができずにジョブホッパーになることだけは避けてほしいから。