近畿大学経営学部に「キャリア・マネジメント学科」設立

近畿大学経営学部、来春から「キャリア・マネジメント学科」を開設(日経プレスリリース:2006/07/28)

 近畿大学経営学部(大阪府東大阪市)では、現行の「経営学科キャリアマネジメントコース」を学科に昇格させ、2007年4月(平成19年度)から、日本初となる「キャリア・マネジメント学科」を開設します(認可申請中)。経営の観点と組織で働く個人の視点を統合し、経営資源としての「人」の有効活用を学ぶ学科で、学生が研究成果を企業に提案する「提案型インターンシップ」など、実践重視の教育内容が特徴です。

「キャリアは金になる」と思われたのか、コースから学科へ昇格とのこと。
大学のサイトにはこのような紹介が。

 キャリア・マネジメント学科では、キャリアを企業組織におけるキャリアと、組織で働く個人のキャリアの2つの視点から考察します。企業が経営戦略を展開・実現させるためには、経営資源としての人材を適切にマネジメントできるスタッフが不可欠です。また、働く個人として、自分自身のキャリアを自律的に形成することが求められています。キャリア・マネジメント学科は、企業によるキャリア・マネジメント、個人の自律的キャリア形成の両面から、キャリアを総合的に高め、「人間力」をアップさせます。

なんでここに「人間力」が出てくるのか私にはよくわからず。

今後、必要とされるのは、自らのキャリアを確実に向上させることができる人材。さらに、キャリアという視点から他者をマネジメントできる能力を持った人材です。このような時代の要請を受けて発足したのが、キャリア・マネジメント学科です。

「キャリアという視点から他者をマネジメント」って、そんなことを新卒の社員には求めていないと思うのだが。
だいたい、職業経験のない学生に「キャリア・マネジメント」をどう実感しろというのか、と思っていたらこんなくだりが。

 キャリア・マネジメント学科は、理論と実践の融合をめざしています。そのため、授業は教室だけではなく、実社会の現場でも行います。学内授業では大学教員から理論を修得し、企業の第一線で活躍するビジネスのプロから各分野の実状を学びます。さらに、授業ではビジネス・サーベイやケース・スタディディベートなどを取り入れ、実践に即した能力を養います。そして、修得した理論をインターンシップで実践へ。学内で学び、現場で実践することで、就職後すぐに能力が発揮できる人材の育成をめざします。

これを読むと結局ヒアリングとケーススタディでしょ。実際現場に行くのはインターンシップまでないわけで。
とどめはこれ。

例えばキャリアに関する国家資格・認定資格を取得すれば、あらゆる業界でその能力を生かすことができる人材として活躍できます。

国家資格なんかあったっけ?と思っていたら、「将来の進路」欄に「キャリアを総合的に学ぶと めざせる資格がいっぱい」として以下の資格が上げられている。

産業カウンセラー日本産業カウンセラー協会認定)
 職場でのメンタルヘルスケア、キャリア開発への援助、 職場における人間関係など、働く人が抱える問題を職場でカウンセリングを行うカウンセラーです。
職業訓練指導員免許
 (職業能力開発促進法に基づき、都道府県知事が交付)
 公共職業訓練施設や認定職業訓練施設で行う養成 訓練、能力開発訓練の指導員になるために必要な資格です。
◆キャリア・コンサルタント雇用・能力開発機構認定)
  在職者や求職者が、的確な職業選択や職業 能力開発を効果的に行えるように、相談に応じる人材がキャリア・コンサルタントです。
◆キャリアカウンセラー(日本経団連
 働く人が持つ、それぞれのニーズや特性に応じてキャリア開発を指導し、アドバイスを行います。
社会保険労務士(国家資格)
 労働保険や社会保険の事務、年金相談をはじめ、企業の人事・労務全般についてのコンサルタントとしての役割も担います。
◆キャリアアドバイザー(日本経団連キャリア開発センター) 
 従業員個人ごとに異なるキャリア開発を指導し、雇用の多様化に対応したアドバイスを行います。

このカリキュラムで社労士が本当に取りやすくなるのか、私にはよくわからないが、労働法の文字が見えないが、それは「民法」のひとつとしてやるということなのだろうか。「キャリア形成関連法」これのこと?資格名を並べて「卒業すればこんな資格が取りやすくなります」というのはちょっとどうかと。認定資格だって、実務経験最低3年は要求されると思われ。

日経プレスリリースに「06年7月27日現在、「キャリア・マネジメント学科」は本学以外にございません。」とある。確かに「キャリア・マネジメント学科」と言う名前と一字一句同じ学部学科はないが、法政の「キャリアデザイン学部」のことをご存じないわけではあるまいに。

いずれにしろ、この先の動向を継続ウォッチさせていただこう。