「定時帰宅、いい給料…」そんな条件で転職なんて職業人として自覚不足もいいところ

いつも質問者の耳に痛い苦言を含めて回答してくれるキャリアコンサルタント古川晶子さん、今回はいつにもましてビシッと言ってくた。すばらしい。

「定時帰宅、いい給料…」うまくいかぬ、友の転職YOMIURI ONLINE:2006/11/24)
質問はこちら。

 友人のことで相談です。現在、転職活動中ですが、あまりうまくいっていないようです。それは、彼の考えが間違っているからだと思うのです。「定時に帰れて、いい給料がもらえて、安定した仕事に就きたい」と言っているのですが、そんなことは可能でしょうか?自分の現状を考えると無理だと思いますが、はっきり言ってやったほうがいいでしょうか?(29歳・男)

この少々お節介とも思える質問に、古川さんはまず軽くジャブを。

 アドバイスしてもいいでしょう。同時に、選択と行動はその人自身のものだということをおぼえておきましょう。

でも相手の誠意を汲むことも忘れない。ここが古川さんのいいところであり大きな特徴。

 お友達のことを気にかけていらっしゃるのですね。とても親しい方なのでしょう。その方のことをよく見て、真剣に考えてあげていらっしゃることがわかります。

そして本論に。
うまくいかないと自分も思う、とまず結論を言ってからその理由を二つ。
ひとつめが「情報収集不足」。

 「定時に帰れて、いい給料がもらえて、安定した仕事」という条件ですが、世の中には、それに近い職場もあります。ただし、高待遇の職場は当然競争率も高く、簡単に入れるものではありません。「強いこだわり」といいつつ、あなたのお友達にはそうした情報収集が欠けているのではないかと感じます。準備不足の人が転職に成功することはまずありません。

そして強烈なアッパーカット。その名も「職業人としての自覚不足」。

 経営者の立場からすると、採用の目的は会社の戦力増強、つまり利益向上のための投資です。ですから、「自分がどう働くか=事業に貢献するか」を考えることなく、「どんな待遇を受けたいか=会社から何をもらいたいか」を優先する応募者など、採用したいわけがありません。職業人としての自覚が足りないと思います。

まったくその通り。会社は「クレクレタコラ」はいらないのだ。

掲記二つの回答は、この相談者のお友達だけでなく、実態を知らず「やりたい仕事をやらせてもらえない」と言って早々に第二新卒市場に飛び込もうとする若手の皆さんや社内公募などで落ち続ける人たちにつきつけてやりたいと思った。

そして最後に相談者への釘差しも忘れずに。

あなたの言葉をどう受けとめて、どう行動するか、はその方自身が決めることだ、ということはおぼえておいてください。

往々にしてこの手のアドバイスをする人というのは、自分の思う通りに他人が動かないと許せなくなるもの、ということを見越してかどうかは不明だが、ちゃんとわかっておいていただかないと。

いや、完璧な回答。ますます古川ファンになった私であった。