「ストレスワクチン」とはいい得て妙かも

今週発売のAERA'07.3.5号で「3年で辞めさせない」という特集があり、そこにあった囲み記事が印象的だったのでご紹介。
タイトルは「ミスマッチを防止するストレスワクチン効果」。筆者は株式会社ロブの前田社長。

まず若年層の退職理由について、1万人の調査データからこんなまとめ方を。

1.採用時のミスマッチ
2.職場での不適応
3.留学などのポジティブ退職
4.元来、何かしら弱い部分があり、組織での社会生活を送れない
5.大量の早期退職が出ることを前提にしたビジネスモデル
6.困った上司

そして特に「ミスマッチ」についてこう解説。

ミスマッチは、採用・研修機能をアウトソーシングし過ぎていて内部に人材育成のノウハウがなかったり、配属までに勤務の情報を充分に開示していなかったりする場合に起きる。

この後者に対する対策として「ストレスワクチン」が登場。

後者には「ストレスワクチン」が有効です。実際に一部上場の金融会社で採用されているものですが、地方配属される新入社員に「こんなにつらいことがあるよ。でも裏を返せばチャンスですよ」という意識づけをストーリーとしてつくっておく。デメリットを開示した上で、メリットを強調してワクチンを打っておくわけです。

入社後のRJP(Realistic Job Preview)とも言えるだろうか。リアリティショック、つまり想像と現実の職場や仕事のギャップを前提に、開示してしまうということ。
「会社はそうそうあなたの都合よくは動いていない」という事実との直面化はどこかで必要になるのだろう。

またさらに隠れた戦犯として、2〜3年目の先輩の存在も指摘している。

今の上司は部下のストレスを心的な要因に求めがちです。メンタリングには、私生活の相談に乗るなどの心理社会的支援と仕事の訓練・推薦などのキャリア的支援がありますが、調査すると圧倒的に後者が弱い。2〜3年目の先輩社員も問題。1年生からは5年生くらいに見えてキャリア的支援を求められるけど、一緒になって会社の悪口を言ってしまう。実は3年目で辞めさせているのは、すぐ上の先輩なのかもしれません。

新人教育係であるトレーナーをどう動機づけ、彼ら自身の成長を促すかが、「3年で辞めさせない」ことには一番早道なのかもしれないと思ったりもする。