PRESIDENT 2015年6.29号掲載の新潟・三幸製菓さんの採用方法は常識を疑う「オリジナル正攻法」
PRESIDENT 2015年6.29号は特集「1億貯まる生き方」の文字が大きく踊る表紙だが、実はここにとても興味深い記事があった。
P.134〜136に掲載されている「職場の心理学 [362]●井上佐保子 一流大学生に人気、地方中小企業の17種類採用法」だ。以前吉野のワークショップでご一緒したライターの井上さんが取材して書かれている。
これは新潟の製菓メーカーである三幸製菓さんの新卒採用について取材して書かれたものだが、これが実に詳しく、また三幸製菓さんがどういう意図で現在のような採用手法を取るに至ったのかがわかりやすく書かれている記事だった。三幸製菓さんは「おせんべい採用」「遠距離採用」など風変わりな採用手法を取ることでよく記事になっているのを見たが、今回の記事はコンパクトにかつ丁寧に過去の経緯や目的も含めて書かれた記事だった。
採用責任者である杉浦氏の「母集団はたくさんいらない。応募者=採用数でもいいくらい。」「ソーシャルメディア採用に絞ったら、似たような内定者になった。多様性が足りない」といった課題意識からの試行錯誤を経て、今年度の「日本一短いES(エントリーシート)」(なんとメールアドレスだけ!)そしてエントリー後は質問に答えることで自分に合った採用方法をいくつかレコメンドされる、amazonもびっくりの採用サイトとなっているのだ。
そしてこの採用には最近話題の「採用学」の横浜国立大学・服部先生ががっちりタッグを組んでいたのだった。
詳しくはぜひ本誌を手に取ってお読みいただければ。
6/26追記:
PRESIDENT ONLINEに掲載され゜お読みいただけるようになりました。
そうした中、地方にありながらも独自の採用を打ち出すことで、リクナビなどのいわゆる“就活ナビ”を使わず、国内外から優秀な人材を集めることに成功している地方企業がある。
「雪の宿」「チーズアーモンド」などで知られる新潟の米菓メーカー三幸製菓だ。おせんべいに対する愛を語る「おせんべい採用」、新潟出身者以外が新潟好きをアピールする「ニイガタ採用」。勉強一筋の学生向けの「ガリ勉採用」、最終面接まで一度も会わず、スカイプで面接をする「遠距離就活」。三幸製菓が打ち出したのは、これらのユニークな選考方法から自分に合った方法を選び応募してもらう、その名も「カフェテリア採用」だ。
現在進行中の16年卒の採用では、独自の採用スタイルがさらに進化している。メールアドレス入力だけの「日本一短いES(エントリーシート)」でエントリーすると、「35の質問」という独自の適性検査へのリンクが送られてくる。これに回答すると、「おとまり採用」「考えな採用」「わんこ採用」など、17種類もの選考方法から、応募者に合った数種の選考方法を会社側からお勧めされる、というものだ。
厳しさを増す新卒採用市場において異彩を放つ三幸製菓の「採用イノベーション」はどのようにして生まれたのか。そこには、採用難時代を生き残るヒントが隠されていた。
参考リンク:
本日発売の雑誌、PRESIDENTでカフェテリア採用を取り上げていただいています!わたしたちがなぜこのような採用手法に至ったのか、経緯や想いを、とてもきれいにまとめてくださっています。なんとなくおもしろそうだなぁ、とご応募いただくことも多いカフェテリア採用ですが、その背景にはどんな考えがあるのか、ご理解いただけるのではないかと思います。
取材に同席していなかった私は「こんなに…?!」と驚いたほどの丸裸っぷりですのでぜひご一読ください!
「負け組なりの採用戦略がある」。新潟の米菓メーカーがスカイプ面接 三幸製菓(広報会議)
「雪の宿」などで知られる新潟市の米菓メーカー・三幸製菓は、2006年から地元中心の採用活動をやめ、全国メーカーとして大都市圏中心の採用に転換した。今では、10~15人の採用者のほとんどが東京・大阪・名古屋などで採用した人材だ。
「それまでは、『どうせ新潟本社の企業。全国で採れるわけがない』という負け組の考えがしみついていた」と人事担当の杉浦二郎氏は話す。01年に中途入社し、06年から採用を任された杉浦氏は、企業の知名度・ブランドがないことが最大の課題だと痛感した。学生向けにアンケート調査を実施した結果、ライバルメーカーの知名度は8割近いのに対し、三幸製菓はわずか2割程度だったのだ。そこで、「イメージがないならば、採用活動を通じてつくっていこう」と考えた。しかし、当時は十分な予算がなかった。
予算獲得のため、杉浦氏は経営陣と今後どのような会社でありたいのかを話し合った。「あくまで"新潟の"会社なのか? それとも、全国に販売網を持つ企業として、全国メーカーでありたいのか?」と。答えは、「全国で勝負したい」。他メーカーとの知名度の差を数値で示し、「同じ予算で採用活動を成功させることはできない。他社は採用予算に加え、普段から商品の宣伝広報に投資し、社名を認知してもらう努力をしている」と訴えた。その結果、現在の採用予算は、当初予算の10倍程度に増えている。
「採用学」の視点から探る、これからの新卒採用の方向性
第3回 採用と育成の連関:データに基づき採用と育成をつなげる
服部 泰宏 横浜国立大学大学院 国際社会科学研究院 准教授(jin-jour)
杉浦 多様な人材を採用するためには、アセスメントの軸も多様にすることが必要だと考えていて、それを一つの選考スタイルで行うことは不可能であると考えています。そこで、「カフェテリア採用」として、五つの独自の選考スタイルを用意しました。それは、「遠距離就活」「出前全員面接会」「ガリ勉採用」「ニイガタ採用」「おせんべい採用」です。
服部 なかなか個性的なスタイルのようですね。具体的にはどのようなものなのでしょうか。
杉浦 まず「遠距離採用」は、遠距離の人なら、最終選考まで全てweb上で行えるというものです。学生・企業双方にとって効率的な採用活動ができるようにと実践しています。次に、「出前全員面接会」は、学生自ら5人仲間を集めて会場を準備してもらえば、当社の担当者がどこにでも面接に向かうという選考です。この方式では、選考を行う時点で人を巻き込む力、調整能力、段取り能力を見ることができます。「ガリ勉採用」は、とにかく学生時代は勉強しましたという人を採用する選考です。就活巧者ではなく、やるべきことに全力に取り組み、その継続力と集中力をシンプルに評価したいということで実施しています。「ニイガタ採用」は、新潟に縁もゆかりもないけれどなぜか新潟が好きという人を採用する選考です。地方企業であるという発想を逆転させ、地方だから働きたいという思いにストレートにぶつけるものとして行っています。そして最後が、「おせんべい採用」です。おせんべいへの愛を、それも普通のおせんべい好きではなく、みんなが"引く"くらいのレベルの人にプレゼンしてもらうことで選考を行っています。
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