「ニートには農漁業体験」のステレオタイプはそろそろやめませんか

「吐息の日々」さんのエントリ「ニートに離島で就業体験」経由で遅まきながら知ったニュース。

ニートに離島で就業体験/島根・海士町が合宿企画(SHIKOKU NEWS・四国新聞社:2006/02/13)

仕事や就学をせず職業訓練も受けない「ニート」と呼ばれる若者らに働く意欲を持ってもらおうと、島根県沖の離島・中ノ島の海士町が「若者島体験塾」として3週間の合宿を企画、参加者を募っている。
 午前7時に起床し、牛の堆肥作りや魚釣り、旬の岩ガキの出荷作業など、離島の生活をそのまま体験。ホテルで清掃や接客、保育所の子供の世話など、さまざまなプログラムを予定している。
(中略)
 合宿は2月26日―3月18日。35歳ぐらいまでで就労していない若者10人程度を募集する。参加費は食費・宿泊費込みで3万1500円。交通費は自己負担。締め切りは2月15日。問い合わせは電話08514(2)1221まで。

背景を知らずに書いているため関係者の方にともすると失礼な表現になるのは初めにお詫びしておく。その上で書かせていただくと。

「仕事や就学をせず職業訓練も受けない「ニート」と呼ばれる若者」という文章にすでに偏見を激しく感じるのだが、まあそれは記事を書いた記者さんの感性だと思うのでひとまずおいといて。

roumuyaさんの言われている通り、「ニートも多様なのでこういう企画できっかけをつかむということもひょっとすればあるかもしれません」。でも31,500円と言う参加費に交通費を自己負担でわざわざ行ったあげくに言ってみれば「タダ働き」するなんて、何か違うんじゃないだろうか。ちなみに東京→出雲→隠岐で交通費を計算してみたら、とりあえず飛行機代だけで最大75,100円〜最低53,540円。若年無業者を一体何だと思っているのか、と噛みつきたくなる。

もちろん企画された役場の方は、都市部ではできない美しい自然に接しながら体を動かす仕事を体験してみてほしい、そういうやり方で自分たちなりに役に立ちたい、という「善意」からの企画なのだろうとは思う。だからこそ、いきなり一般公募するのではなく、たとえばまずは支援NPOへのクローズでの打診にするというやり方もあったのではないか。日常支援している人たちのフィルタを通して「これは有効かもしれない」と判断できた時点で提供するのが結果的に目標達成に近づくように感じる。逆に言えば、そこで認められないような企画は「ニート向け」としてはやらない方がいい。「一過性の善意」では解決しないのが若年無業者ニートの就業問題なのだと思うのだ。

こんなニュースが相次ぐと、本田由紀先生ではないが「ニートって言うな!」と言いたくなってくる。

「ニート」って言うな! (光文社新書)

「ニート」って言うな! (光文社新書)