ニートの研究と家族支援プログラム

それでふと思い出したのだが、うちの大学院のコースでまさにニート支援の研究をしていた。

若年無業者の自立支援・社会参加のための心理教育プログラム開発に関する総合的研究

研究の目的

近年急増している、若年無業者NEET)問題の有効な手だてを構築すること。

調査の内容

若年無業者の状態改善あるいは状態膠着・悪化には、家族による対応の方法が大きく影響すると考えられる。そのため、本研究では若年無業者の一時サポート資源である家族メンバーのコミュニケーション能力を改善・修正するための支援プログラム開発を視野に置き、若年無業者自身およびその家族の心理・社会的特徴について総合的な調査研究を行った。
また、受け容れ施設の若者自立塾あるいはキャリア支援センター等の実地面接調査と、若年無業者に対する介入プログラムの実態とその効果評価に関する海外調査を、併せて行った。

家族への調査の結果や海外調査(イギリスのコネクションズサービス視察等)の結果が見れるようになっている。

* アンケート調査 (Questionnaire.pdf 248KB)
* 海外調査 (Oversea.pdf 181KB)

家族への調査のサマリーの一部をご紹介。

若年無業者の家族が抱える悩み(Q23)
94%(105人)の方が若年無業者と思われる家族メンバーのことについて悩んでいた。具体的には、「親としての子どもの育て方について」が73%と最も多く、次いで「漠然とした不安や悲しみについて」が40%であった。さらに、28%は「若年無業者が病気なのではないかという心配」、「なぜ就職をしないのか」、などについて悩んでいた。

「自分の育て方がいけなかったのではないか」と自分を責める親の姿が見えてくる。

若年無業者の性別 (Q9)
調査協力者が抱える若年無業者のうち、80%以上の方が「男性」であった。

こちらは定説通り、男性が多い。

若年無業者の年齢 (Q10)
調査協力者が抱える若年無業者は、「20代」が68%と2/3を占め、次いで「30代」が25%、10代が7%であった。

やはり20代中心だが、30代が四分の一を占めるというのはなかなか苦しい結果だ。

若年無業者の学歴 (Q13)
調査協力者が抱える若年無業者のうち、「中学・高校」卒が53%と最も多く、次いで「大学・大学院」卒32%、「専門・高専・短大」卒15%であった。

半分以上が「中学・高校」卒というのは、どこかでそういう記事を読んだような記憶はあるが、やはり世間のイメージの「高学歴のひきこもり」と実態は違っているのだと改めて思う。

若年無業者の就業経験 (Q15)
調査協力者が抱える若年無業者のうち、「定職に就いたことがない」が68%と、ほぼ7割を占めていた。

一方で少しでも定職についたことのある人たちも3割はいるということで、そこから無業になってしまうのは前の記事のような職場の「いじめ」「暴力」の可能性があるような気がする。グラフを見ると1年以上働いた経験のある人が17%もいるのだ。

家族からみた若年無業者自身の仕事に対する考え
4割近くの家族は若年無業者に対して、「収入は低くても自分のやりたい仕事に就きたいようだ」と感じていた。また、3割前後の家族は若年無業者に対して、「いつか必ず自分にふさわしい仕事が見つかると思っているようだ」「自分の能力を生かせる仕事に就きたいようだ」「生活のためには仕事をするしかないと思っているようだ」と感じていた。

このあたりは家族の感じ方やコミュニケーションの程度によるので、必ずしも本人の心情を正確に言い当ててるとは言い切れない部分もあるが、やはり内容はともあれ「仕事に就きたい」という気持ちは家族も感じている、ということなのだろう。

様々な調査結果を受け、家族への支援プログラムを行っているとのこと。

私たちは、上記の調査結果を受けて、若年無業者の方々への支援のためには、まず家族へのより効果的な支援が極めて重要であると考えております。そのため、今年度は「若年無業者の自立を促すための効果的な家族支援プログラムの開発」を計画しております。このプログラムにご関心をお持ちの方、参加を希望される親御さんおよびご家族の方は、以下の連絡先までご遠慮なくお問い合わせください。

カウンセラーとして様々な場面での支援実績・実力のある方々が携わっているので、ご興味お持ちいただけたらリンク先のサイトをご覧いただきたい。