読売連載「どうするニート」その後

結局(6)まで掲載。
どうするニート(4)〜(6)YOMIURI ONLINE:2006/06/30)
どうするニート(3)YOMIURI ONLINE:2006/06/29)

(4)は「生活改善で意欲芽生え」というタイトルで、古民家での合宿所支援施設での活動の紹介。

 働き、熟睡し、朝早く起き、車座の朗読。朗読でさえ、来たばかりの若者には簡単ではない。若者と寝起きする福守弘文さん(38)は「腹から声を絞り出すのは意外に難しい。これも生活のリズムを取り戻すきっかけ」と話す。生活にリズムが生まれると小さな自信になり、「一歩を踏み出す勇気につながる」という。

福守さんは「短期間で人が変われるほど、ニートの問題は簡単ではない。長くつきあうという視点が大切」と指摘する。

(5)は「ヤングジョブスポットよこはま」での様子。

職員の岩永牧人さん(30)は「まじめな若者ほど『就職せねばならない』と自分を追いつめる。誰かと話し、仕事に対して等身大のイメージを持つことが重要」と話す。

「一人で考えても答えは出ない。仕事のイメージを自由に話せる場所は貴重です」


(6)は「支援策、宮本みち子教授に聞く」というタイトルで、専門家である「横浜市青少年自立支援研究会」座長の宮本みち子放送大学教授へのインタビュー。どこかで見たお名前だと思ったら、玄田先生の「子どもがニートに なったなら」に対談で登場していた方だった。(著書「若者が《社会的弱者》に転落する」)

――雇用回復で、ニート問題は解決に向かうか
 雇用が回復しても、フリーターはむしろ増えるという予測もある。原因は、社会の雇用形態の変化だ。近年、核となる一部と低賃金の大多数を区別して採用する傾向がある。核になれない若者はフリーター化しやすい。

 国の統計では、高校中退者が毎年約8万人いる。こうした若者への支援は不十分で、雇用が回復しても好転しないだろう。

 ――行政のニート支援の問題点は
 若者の自立支援策がほとんど検討されてこなかった。ここ数年で各省庁が独自の政策を打ち出しているが、縦割り行政の弊害が表れ、国として一貫した長期計画もない。

 ――求められる対策は
 就職で悩む若者の相談を一括して受け止める窓口が必要だ。自治体などが窓口を設置し、親身に相談にのって情報を与え、若者に合った支援団体を紹介できればいい。

 行政は雇用対策には取り組んできたが、ニート支援は実績がない。ノウハウを持つ市民団体と連携を深める必要がある。また、そうした団体間を超えて、情報を受け継いでいく仕組みを作ることも欠かせない。

最後に「「官民の連携」なお課題」という見出しでこのようにまとめられている。

 就職を目指す若者の支援施設はそろっている。「ヤングジョブスポットよこはま」の近くに県の「かながわ若者就職支援センター」、同じビルに神奈川労働局が運営する「よこはま・ヤングワークプラザ」がある。

 しかし、連載記事を読んだ県内の読者から、「どこに相談していいか分からない」「支援施設に通うにはあまりにも遠い」と問い合わせが相次ぐ。

神奈川地区の連載記事なのだろうか。連載スタート時は「またニート叩きか?!」と身構えてしまったが、2回目以降は支援施設を通した彼らの実際の姿と、支援をさらに有効にしていくために求められることを伝えようとしていたように感じる。

若者が『社会的弱者』に転落する (新書y)

若者が『社会的弱者』に転落する (新書y)