キャリア・コンサルタントが国家資格化されるらしい

キャリア・コンサルの国家資格創設へ 能力向上めざす(asahi.com:2007/10/26)

 厚生労働省は25日、職業選択や能力開発に関する相談に応じるキャリア・コンサルタントの国家資格を創設する方針を固めた。同様な民間資格が乱立し、資格取得者の能力格差が問題になっていることから、質の向上を図る狙いがある。

 厚労省は、職業能力開発促進法に基づく国家資格である「技能検定」の一つに「キャリア・コンサルティング」を追加。上級者向けの1級と、中級者向けの2級を設け、国が指定する民間機関が実施する。1回目の試験は来年度中に行われる予定だ。

 政府は01年、失業対策として、キャリア・コンサルタントを5年間で5万人育成する方針を決定。厚労省が一定基準を満たす民間の育成機関に助成金を出して後押ししている。こうした機関が認定する民間資格の取得者は、06年度末現在で約4万3000人に上る。

 ところが、民間資格が10種類以上乱立し、資格認定機関も公益法人から株式会社まで様々。なかには講座を数日間受けただけで取得できるものもあり、資格取得者に相談した人から「初心者であることは明らかだ」などと批判も上がっている。

 政府は来年度、若者や母子家庭の母らの就職を支援する「ジョブ・カード制度」の一環で、キャリア・コンサルタントによる無料相談を始める予定で、コンサルタントの質の向上を急いでいる。

4月に出ていた厚労省の「キャリア・コンサルティング研究会報告書発表」を見ていると「実践力のあるキャリア・コンサルタント資格を明確化する仕組みについて検討し、具体的に整備する必要がある」という一文があるので、まあこういう形できたか、という感じ。
知り合いから「ハローワークにいたキャリアカウンセラーの人に相談したら、話はちっとも聞いてくれないしお説教するしで、全然カウンセリングじゃなかった」という話を耳にしたりもしていて、質の問題は深刻だと感じていたので、動きとしては歓迎だが、既に資格を取ってしまっている「困ったカウンセラー」の人たちに対しては一体どうするつもりなのだろう。

10/30追記:
日本マンパワーがこの件についてコメントを出していた模様。
キャリア・コンサルタントの国家資格化報道に関して(2007/10/26)

報道をうけ、すぐにキャリア・コンサルタント能力評価試験団体が加盟している、キャリアコンサルティング協議会様、およびCDA資格を認定しています日本キャリア開発協会様に問合せましたところ、以下のようなお答えでした。

 【キャリアコンサルティング協議会様のお答え】
「これまでの動向の中で技能検定の動きがあった事は認識していましたが、記事内容以上のことは把握しておりません。」という回答でした。それ以上の詳しいお話は一切されませんでした。

【日本キャリア開発協会様のお答え】
「技能検定に関して検討がなされていたことは事実だが、まだ何も決定している事はありません」というお答えで基本的に協議会様のお答えと同じでしたが、今後この動きがCDA資格そのものに直接影響することはないとのコメントもいただきました。

10/30追記2:
asahi.comの記事「〈歩き続ける女たち:2〉「うそ」つく仕事に疲弊」。キャリアカウンセラーの女性を紹介する記事だが、その末尾に渡辺三枝子先生のこんなコメントがあったことを思い出したのでメモ。

 渡辺三枝子・筑波大特任教授の話 この10年の雇用環境の激変は、個々人の職業人としての生き方を大きく変えた。職場の先輩はモデルとして役に立たなくなりつつある。プロによる支援が今後ますます必要になるだろう。

 にもかかわらずキャリアカウンセリングをめぐる状況は混乱している。政府は01年、5年間で5万人のコンサルタント養成をうたった。厚生労働省が助成する資格試験だけで10種類あり、資格取得者は激増したが質のばらつきは深刻だ。資格を得ても就職口がない不満もある。人数をただ増やすより、いま相談業務をしている人を教育し、質を高めることが先決だ。

私が2001年に養成講座を受けた時、渡辺先生の講義を直接受ける機会があったが、「5万人という数字だけが一人歩きして困っている」とその頃既におっしゃっていた。きっとずっと言い続けてこられたことなのだろう。