批判されたら、息を吐いてオウム返し

引き続き日経ビジネスアソシエ連載のアサーティブ・トレーニングから。第8回は批判の対処方法。
批判を受けたら、その言葉が正当かどうかを判断し、正当なら受け入れ、不当なら否定する。たったこれだけのことがなかなかできず、人格否定など感情的なもつれに発展してしまうこともある。そうしないためにはどうすればいいのか。

森田講師はこう言う。

「聴く」のと「受け入れる」のとは全く違う行為です。「聴く」ことを「受け入れる」こと、つまり「同意」と混同するから、批判の言葉に耳をふさぎたくなるのです。「受け入れる」のではなく「受け取る」練習をしましょう。

受け取るには相手の言葉をオウム返しにするだけでいい。まだ同意はしていないのだから。「相手の言葉を受け取ってから、『私はそう思っていません』と否定するなり、『確かにそういう部分もありますね』と同意するなりして対処すればいいのだ」とある。このあたりの「一旦そのまま受け取る」というのはカウンセリングでは日常的に行っていることだが、私たちでも意識して行わないとつい忘れがちになってしまう。

本誌には批判に対処するときのポイントとして6点挙げられている。

  • 気持ちを言葉にして身体の緊張を解く
  • 批判のメッセージを「聴く」
  • 批判はプレゼント
  • 自分を肯定的にとらえる
  • 批判の言葉と自分自身とを分けて考える
  • 故意に傷つけられない権利がある

詳細は本誌で見てほしいが、これらの言葉を胸に刻んでおくだけでも、むやみに攻撃的に言い返したり、自分を責めて落ち込んだり、その場では平静なふりをしてあとで仕返しするなど「ノン・アサーティブ」な態度にならずにすみそうだ。

記事はこのような言葉で締めくくっている。

自己批判の矢はなるべく減らし、自己信頼の力をつけていくと、批判の正当性がより客観的に見えてくる。