【経済】自立促す生活保護を 玄田 有史(東大助教授)(asahi.be 2005/05/14)

一つには、若い頃からひきこもっていた人たちが40代にさしかかっている。「ひきこもりの高齢化」だ。さらに、かつては働いていたのだが、リストラなどで会社を離れた後、再就職がうまくいかず、すでに働くことをあきらめた人も増えている。これから「中年無業(中年ニート)」が、きっと話題になる。
40代の無職独身の多くは、すでに十分な所得があるために働かないのではない。親の庇護(ひご)のもと、何とか生活しているのが現実だ。だから親と死別した将来は、生活そのものが成り立たない。生命の危機すら間近に迫る。
現在の40代の無職独身から今後、生活保護受給者が急増するかもしれない。すでにここ数年、被保護世帯は急増している。03年度で94万世帯と史上最多になり、今でも歯止めがきかないのが現状だ。

横浜市では、自立支援専門員を配置し、「やる気はあるが自分では仕事を探せない」多くの保護受給者の就職を後押ししている。細かい相談に乗り、ときには職安へも同行するなど、丁寧な個別支援で就職を実現させている。」といった取り組みを各地で進めていかないと、生活保護へのしわよせは寄るばかりだろう。