舛添大臣は現場に行きたい気持ちを抑えて自宅から陣頭指揮をしていたそうだ

センセーショナルな煽りや失言糾弾、的外れな派遣業務規制などについてはこれでもかと報道するマスコミもこういうことはおそらく取り上げないし、そもそも取材もしていないかもしれない。ひっそりと世耕議員がブログに書いていた事実をここに書き留めておきたいと思う。

1月6日(火)【主張】(世耕日記:2009/01/06)

昨日国会対策委員会室を訪れた舛添厚生労働大臣としばし話をした。年越し派遣村の経緯や実情についてつぶさに話を聞くことができて有意義であった。大臣は年末年始返上で、自宅から指示をだしまくって陣頭指揮していたそうだ。現場に行きたい気持ちも強かったそうだが、騒ぎを大きくしてはと自重し、大村副大臣に現場対応は任せたそうだ。派遣村に関して愚かな批判をした政治家がいるが、少なくとも関係者の話を聞いてから批判すべきだ。

世耕議員へのネットでの評価は厳しいという印象があるが、彼のブログは貴重な情報源のひとつとして見る価値があると個人的に思っている。自民党員でここまで活動と意見を書いてるのは彼の他には河野太郎議員くらいだろう。併せて民主党藤末議員のブログも読むと、マスコミの政治報道がいかに偏っているかがよくわかる。もちろんポジショントークがゼロとは言い切れないから一から十まで鵜呑みにはできないだろうが、それはマスコミ報道だって同じこと。むしろ信頼性という点ではマスコミの方が圧倒的に下がっているのではないか。

議員ブログの話はひとまずさておき、住居と求人情報対応、そして生活保護など一連のケアがひとまず提供されたことを受け、世耕議員はこう続ける。

 要するにそれなりの仕事と臨時に住居を提供できるキャパはあるのだ。生活保護を含めると一定のセーフティネットは用意されている。しかしそれらを真に求める人々にきちんと提供されていないことが問題だ。提供側と要望側にミスマッチが発生しているのだ。
 今後このギャップをどう埋めていくのか、厚労省は知恵を絞って対策を講じるべきだ。

まったくその通り。行き渡るべき相手に行き渡るべきものが届いていない現状をまず何とかしなければならないはず。

派遣業務規制についてはhamachanこと濱口先生のブログ記事をどうぞご参考に。

厚労相、製造業派遣の禁止もEU労働法政策雑記帳:2009/01/05)

労働者派遣法は労働法であって、事業規制法ではありません。それが世界の常識なのに、日本の派遣法は労働法であるよりも事業規制法として生み出され、育てられてしまったところに、最大の不幸があるのです。

病膏肓に入ったギョーカイ主義のなれの果てEU労働法政策雑記帳:2009/01/06)

今の派遣法は大変問題がある。国会に提出されている改正案も不十分だ。労働者の立場からすれば、それはまさにその通りだろう。その解決がなぜギョーカイ主義になってしまうのか。製造業だけ救われればいいのか(実は単なる派遣禁止では請負に流れるだけで救われもしないが)。非製造業で働く多くの派遣労働者に対して、説明責任があると思わないか。

追記:
舛添厚生労働大臣のぶらさがり取材書き起こし記事があったのでメモ。

閣議後記者会見概要(H21.1.5(月)09:31 〜 09:42  ぶら下がり)

(記者)

年越し派遣村日比谷公園にいらっしゃった方々が厚生労働省講堂にもいらっしゃるのですが、今回、寒空の中年越しをされたということの受け止めと、今後の対策について改めてお聞きしたいのですが。
(大臣)

これは全省を挙げて対応いたしまして、非常に雇用情勢が悪化しておりますので派遣村の担当の方々も大変ご苦労をなさって、本当にものすごい数になりました。500人まで行ったということですので、途中で厚生労働省の講堂を開放するということをいたしました。今日の朝、派遣村も閉まり、講堂も閉めるということですので、今引っ越しの作業中ですが、この間、近隣の区、それから、東京都に要請いたしまして、今いる500人を収容できるところをなんとか確保できましたので、そちらに引っ越しをしてもらっております。今後の方針ですが、きめ細かくいろいろ総合的に対策を行っていきたいと思っております。

一つは、やはり、職を見つけて、住居を見つけるというのが一番大事ですので、先般皆様方と一緒に行った新宿のキャリアアップハローワークがありました。あそこに行くと、住み込みの求人案内がありますから、そういうところにまず行っていただいて、職と共に住居、社員寮があるところもありますし、それから、きちんと職が見つかればアパートを自分で借りてもいいので、そういうことを第一の柱に今朝から大車輪で動きたいと思います。派遣村の実行委員の方々も協力してくださって、例えば、電車賃がなければ、バスで皆を移動させるというようなことをみんなで協力して行ってます。いつも私が言いますように「恒産無ければ恒心なし」なので、仕事、住居をまず第一にしていつまでもああいう講堂で寝泊まりですとか、小学校で寝泊まりではいけませんから、これを一日も早く行う、これが第一です。

それから、第二は、いろいろな事情があってすぐに見つからない方々に対して生活保護の手当てをするということで、これは千代田区を始め近隣の区が行わないといけませんので、これをしっかり行っていただく。そして、その二つでどうしてもまだ救えないという方々はいろいろセーフティーネットを考えるということですし、職が見つかって、給料を貰うまでの間の繋ぎをどうするか、いろいろな融資の条件を緩めたりするということで、総合的に困った方々に対して、救援の手を差し伸べたいと思っております。