「感情労働」は最近のホットキーワード?

大学院入試でも出てくる「感情労働」に関する記事が、同じくAERA記事でアップされていた。
「感情労働」時代の過酷(AERA:2007年06月04日号)
感情労働」の記事中の定義は下記の通り。

看護の領域などで知られる、「感情労働」という言葉がある。

 「肉体労働」「頭脳労働」と並ぶ言葉で、人間を相手とするために高度な感情コントロールが必要とされる仕事をさすものだ。1980年代に、アメリカの社会学者が、当時の航空会社の客室乗務員の労働実態を、典型的な「感情労働」であり、「感情の搾取」にあたると指摘。まず、社会学の用語として広まった。

 平たく言えば、働き手が表情や声や態度でその場に適正な感情を演出することが職務として求められており、本来の感情を押し殺さなくてはやりぬけない仕事のことだ。

そしてこれが注目されている背景がこのように書かれている。

そしてここにきて、この「感情労働」があらゆる職種に広がり始めている。『感情と看護――人とのかかわりを職業とすることの意味』(2001年、医学書院)などの著書で、看護の現場に感情労働の概念を伝えた武井麻子・日本赤十字看護大教授は、近著『ひと相手の仕事はなぜ疲れるのか』で、看護や介護職、接客業や電話相談業、クレーム処理など、様々な職業で過酷な感情労働が求められている現状を指摘した。大手書店ではビジネスの書棚にも置かれ、出版元の大和書房には、サービス業や銀行員など、様々な業種の読者から反響が寄せられた。

 武井教授はこう語る。

 「ひと相手の仕事は昔からあっただろうと、働く側の問題点を指摘する声もありますが、一概にそうではないと考えます。以前は、顧客が常連や顔なじみであることが多く、ある程度の親密さや信頼感がありましたが、今は気質も好みも分からない不特定多数の人を相手にしなければなりません。しかも瞬間芸的なスピードで、感情労働が求められています」

「不特定多数に対する、瞬間芸的な感情労働」。これが働く人達を苦しめているのだ。特に看護士、教師、販売職、サービス業従事者等々の職種の方々。

その対処としては「感情労働のつらさの「形」を、働き手が認識できるしくみづくりが大切」とのこと。

 「個人の精神的な訓練も必要ですが、精神論では対処できないケースにも多く直面します。ですからつらい局面で、環境や感情を多角的に見る力がつけば、精神的に少し楽になれる。私の場合、それは言語化することでした」

「ポイントは、ストレスを内にためずに周囲に語れるシステムづくりです。そのためにはまず自分自身の傾向や状態を分析する力をつけ、職場内でストレスを吐き出せる環境整備が必要と考えました」

ともすると共感疲労をおこしやすいカウンセラーも、セルフヘルプが重要だ。感情労働の対処策は私たちのストレスマネジメントにも共通するものが多く、参考にしたい。