ただ「つらいんだね」と言ってほしいだけ

自分の話で恐縮だが、私は毎年冬になるといつもエネルギーレベルがとことん落ちる。毎回のことなのでそういうものだと思っていたが、もしかしたら以前自分で書いた「冬季うつ病」に近いのかもしれない。とにかく気力がなくなり、ひたすら眠っていたくて、誰にも会いたくない。気力がないのでふだんはやりすごしたり合理的に処理できる他人とのやりとりも、単なる指摘が批判に聞こえて責められているように感じてしまい、つらいことこの上ない。

そんなことを人に話すと、「サプリメントが効くのではないか」といったアドバイスをもらったりすることもある。心配してくれる気持ちはありがたいのだが、正直言うとそんなこと言われてもうれしくない。「こうすればよくなるのにどうしてそうしないんだ」と責められているように感じてしまうし、別に解決策を求めて話してるわけではないのだ。失礼だが素人にそんなこと期待していない。

じゃあそういう時の自分は何を求めているんだろう、と考えると、「ああ、今すごくつらいんだね」と言ってほしい、それだけなのだ。自分でもいかんともしがたい心の状態に耐えている苦しさを、ただ「ああ、今すごく苦しいんだね」と思ってくれれば、そしてそう思っているんだということだけ伝えてもらえれば、それで必要充分だと感じる。欲しいのはそういう自分をそのまま受け止めてもらうこと、そういう暖かい目、そして時間が経てばきっとまた回復すると信じてくれること。そうだったんだと改めて気づいた。

で、これってきっとしんどい状態の人ってだいたいそうなのかもしれない、と思ったりもした。ただ「聞く」ことは難しく、だからこそありがたい。あなたの周りで精神的にしんどいと言ってる人には、アドバイスしたくなる気持ちをぐっと抑えて「そうなんだね、しんどいんだね」とまずは聞いてやってほしい。助言がほしければ本人からそう言って来るはずだから、それからでも充分だろう。