あなたの人生の主役は「資格」?それとも「あなた」?

という意地悪なことをつい言いたくなるのが、「資格を活かした仕事につきたいけどどうしたらいいか」という質問を受けた時。実感値として多い。(私の周囲では特に「英語」と「社労士(社会保険労務士)」「MBA」。)
そういう方にはまずウォームアップとしてこんな記事を読んでいただきたい。

転職に関する勘違いをただす(@IT自分戦略研究所:2007/1/20)

■資格を取得してキャリアアップ

 これもIT企業の人事担当者がよく指摘する勘違いです。

 資格を取得することは、決して悪いことではありません。むしろ積極的に取得すべきです。ただ、それは手段であるはずなのに、目的になってしまっている方が多いようなのです。

 次は、それを裏付ける、資格に関する印象的な人事担当者のコメントです。

* 資格は実務経験の裏付けであるべきだ
* キャリアは資格でなくで、「実務経験」でアップするのである
* 資格はエンドユーザーを安心させるものであり、キャリアアップの手段ではない

ここではIT関連の資格(シスアド等)を念頭に置いた発言になっているが、それ以外のジャンルでも基本的には同じだと思う。「手段であるはずなのに、目的になってしまっている方」が本当に多いのだ。

今の仕事に閉塞感を感じて、何か新しいことを始めてみたい。そんな時に手がかりとして違うジャンルの資格取得に挑戦するということはもちろんあるだろう。問題は「せっかく取った資格なのだから」と、いつのまにか主客逆転してしまうことなのだ。その資格を取ったからといって、その業務を任せられるとは限らない。いやむしろ、資格取得は単なるスタート地点であって、実務としてやっていくのはやっぱり無理だった、ということだって充分あり得る。そういう業務をやる事前勉強をしました、というのに過ぎないと言っていい。

資格は、自分を夢のキャリアに自動的に連れて行ってくれるシンデレラの馬車ではない。この資格を取ることが自分のどういう能力を証明してくれるのか、新たにどういう知識や能力を身につけさせてくれるのか、そういうことが言えないうちは「資格を活かした仕事」と青い鳥を探し続けることになるだろう。実務経験のない資格はただの「お勉強証明」でしかないことを意識した上で、それを持っている「自分を」どう語るかだ。法律で就業を制限されている国家資格(医師、看護師、弁護士等)以外では「この資格を取ったら間違いなくつける仕事」なんてものはないと考えておいたほうがいい。資格はあくまで「使うもの」だから。