クリップ:社会不安障害
「be word」社会不安障害「認知行動療法」が有効(asahi.com:2007/01/13)
「雅子様の主治医」慶応大保健管理センター・大野裕教授による解説。
社会不安障害(SAD)とは、人前で行動することについて過剰な不安を感じ、極度に緊張することで、日常生活がうまくいかなくなったり、仕事のパフォーマンスが落ちたりする症状のことだ。
SADは、かつては単なる性格の問題と見なされてきた。その意味で「見逃されてきた不安障害(神経症)」とも言われる。薬などによる治療が可能な「病気」として注目されるようになったのは、1980年代ごろからだ。研究が進んでいる米国の疫学研究では、約12%の人がそうした状態にあるとされた。厚生労働省と世界保健機関(WHO)が最近共同で行った研究では、国内では約2%の人がSADにかかったことがあることが分かっている。
見慣れない名前だが、発生率で見るとそう珍しいものでもなさそう。
そもそも不安は、人間の防衛反応のひとつ。SADは、それが過剰に出ている状態といえる。SADの人は、人の評価や目を気にし過ぎるところがある。だが、不安だからといって人前でずっとうつむいていると、かえって人からネガティブな評価をされる。その結果「やっぱり自分はだめなんだ」と思う悪循環に陥りがちだ。また、不安だからといって、その対象から逃げ続けていると「自分はできない」という意識だけが根付いてしまう結果になる。
思いあたる方もいるかもしれない。
治療では、そうした悪循環を断ち切るのが重要で、段階を踏んで自ら不安な状況に身を置くことで、実際には心配するようなことは起きないことを体験する「認知行動療法」が、薬物療法に匹敵する治療効果を上げている。
「認知行動療法」ってどんなものだろう、と興味をお持ちの方は、大野先生監修の「うつと不安の認知療法練習帳」あたりをお読みいただければ。
- 作者: デニスグリーンバーガー,クリスティーン・A.パデスキー,Dennis Greenberger,Christine A. Padesky,大野裕,岩坂彰
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