正しく怒りを伝えるには「ムカツク」のひと言で済ませない

おなじみ日経ビジネスアソシエ連載のアサーティブ・トレーニング。2006.11.21号は「自分も相手も傷つけないで怒る方法〜語彙を増やし気持ちを言語化」として、怒りの感情の取り扱い方について書かれている。

怒りの扱いは難しい。そんな「怒りを飲み込むのでもなく、ぶちまけるのでもなく、アサーティブに伝えるにはどうしたらいいか。」
ポイントは二つだと言う。その時の怒りを表現するボキャブラリーを増やすことと、怒りの裏にある自分の「本当の気持ち」が何かをとらえること。

まず一つ目。

森田汐生講師は、怒りを表現する語彙を増やすよう指導する。「語彙が少ないと、感情に飲み込まれて相手を罵倒してしまいがちです。語彙を増やし、自分の怒りの状態やレベルを“実況中継”すれば、相手を傷つけずに済みます。」
怒りを感じたら、その場その場で適切に言語化することが大切だ。「ムカムカする」「はらわたが煮えくり返る」「もうすぐキレそう」と、心の中でも紙の上でもいいから表現する。怒りが小さいうちの方が対処しやすいので、ため込まないよう心がけよう。これができれば、後々の大爆発を防げる。

この「紙に書く」は、私自身理不尽な上司の下で働いている時に実際にやってみた。その時は何に対してどう感じるのかまでを、汚い言葉を使ってもいい、と自分に許してガリガリ書いて、そしてすぐにビリビリ破り捨てていた。状況が改善できたわけではないが、少なくとも自分の心身にかかる負荷を減らすことはできた(当時は上司の声を聞いたり気配を感じただけで吐きそうになっていたくらい身体にもきていたので)し、何が「イヤ」の中心なのかを自分で意識化することができた。

二つ目は、怒りの種類を考えることでとらえやすくなる。

怒りの種類には「フラストレーション」「傷ついた怒り」「希望の怒り」の3つがあり、それぞれに本当の気持ちが隠されている。

詳細は本誌を読んでいただくとして、要約すると
・「フラストレーション」は欲求が満たされないイライラから来るもの。自分や他者を傷つけずに安全に発散できる方法を見つけておくのがポイント。
・「傷ついた怒り」の裏には深い悲しみや孤独感、絶望感などが隠れている。怒りの裏の傷ついた気持ちを認識して癒してあげない限り、いつまでも周りや自分を傷つけてしまう。
・「希望の怒り」は自分を生かしたい、会社や世の中を良くしたい、といった前向きなエネルギーがある。

怒りそのものは起きる感情として是非はないが、それに伴う行動には責任が生じる。
建設的な形で表現する方法を身につけることがスムーズな問題解決につながるのだろう。