アルコールに支配されないために

アルコール:「断酒」以外に治療法ナシ シリーズ依存症<第1回>(NB Online:2006/10/31)
アルコール依存症は他人事、と思っている方は多いだろうが、患者数は「現在二百数十万人。初期症状のある予備軍は1000万人を超えると見られている。 」

どういう人たちが予備軍となるのかというと

「毎晩晩酌しないと何か物足りなく感じる」
「必ず赤提灯に寄って帰る」

という人たちとのこと。
そしてこんな風に進行していくらしい。

 それが徐々に、

「今日は飲むまいと決めたのに飲んでしまう」
「ちょっと一杯のつもりが徹底的に飲んでしまう」

ようになり、

「帰宅まで待てず駅や電車の中で飲む」
「医者から禁止されても守れない」

という具合に進行していく。

 これらの症状は「精神依存」と呼ばれるが、さらに進むと、

「飲まないと眠れない」
「酒が切れると手が震える」

といった「身体依存」と呼ぶ症状が出てくる。

気をつけなければいけないのは、自分は酒は強いと思っている人。

「酒に強い」と自認している5割強の人。特に、アルコールの処理能力が低下して飲酒量を減らす必要のある40代以降の人が、若い頃と同じつもりで飲むのは危険だ。

身に覚えのある方もいらっしゃるかもしれない。
こわいのは、アルコール依存症は身体をぼろぼろし、人格を破壊して最後には死に至ることである。

 依存症は最終的には死に至る。患者の平均寿命は50代前半だから通常より20年以上短い。患者の10年後生存率はわずか6割。致死率4割は、がんに匹敵する高い数値である。

こういうことはなかなか知られていない。

 依存症が悲劇的なのは、断酒以外に完治する方法がないこと。断酒に成功して数年たっても、一度酒を口にすると脳が反応してすぐ以前のヒドイ飲み方に逆戻りしてしまう。適量を嗜むことができないのは酒好きにとって何よりもツライ。

先日「嗜癖システムの中では誰もが他者をコントロールしようとする」というエントリを書いたが、自分がアルコールの前に無力であることを認めるところから治療は始まる。
自分は大丈夫だと思っている方、一度久里浜式アルコール依存症スクリーニングテストで予備軍に入っていないことを確認いただきたい。