「プレジデントFamily」8/18発売の10月号記事に「嫁に行ける娘、いけない娘」

何だかんだ言ってネタ元として貴重な存在の「PRESIDENT」。おそらくその視点の迷いのないオヤジっぷりがいろんな意味で刺激的なのだと思うのだが、現在発売中の2006.9.4号「お金の新常識40」(しかしPRESIDENTってお金特集ホントに好きだよなあ)にあった関連誌「プレジデントFamily」の次号予告を見てびっくりしたのがタイトルに使った見出し。

小学生の親を対象にした雑誌で「嫁に行ける娘、いけない娘」。小学生のうちから結婚できるかどうかを心配するなんて、いやはや。

この予告にある見出しを並べてみよう。

■特集1 お金に困らない子の育て方〜息子も娘も、小学校高学年が第一関門
・経営者100人アンケートから解明!自分で稼ぐ力がつく親のしつけ教えます
  達成感、自己重要感、責任感・・・子供に必要な7つの体験
・ビジネス界「期待のホープ」はどんな幼少時代を送ったか?
 社長が注目!「成績優秀」若手社員の親の顔
・大学対決!人生、安泰なのはどっち?
  上智大学vs長崎大学 偏差値が高い方が就職に有利か
  東京電機大学vs東京農業大学 手に職がつくのはどっちか
  山梨学院大学vs山梨大学 身体能力を生かすならどっちか
・大人になってお金に溺れるタイプ
・高卒でも、一流企業で活躍できる道

■嫁に行ける娘、いけない娘〜今や、三十代後半の女性の五人に一人は未婚

■特集2 進学・進路診断テスト〜今、点数が悪くても大丈夫、きっと伸びる!
・成績表ではわからない学力分析
 潜在能力が高いのはこんな子
 1 初見で音読ができる
 2 25×24がすぐ答えられる
 3 真昼の月に気がつく
 4 地図帳がぼろぼろ
 5 Happy!だけで気持ちが伝えられる
・米国最新心理学が実証 子供の16タイプ適正分析
・医者に向く子の性格〜失敗を悔しがり、孤独を知り、そして自分を愛する・・・

「達成感、自己重要感、責任感」は大人にだって必要だろう、とか、この大学対決は一体どういう基準で選んだのだろう、とか、初見で音読ができたり、25×24がすぐ答えられてなぜ成績が悪いのだろう、とか、「失敗を悔しがり、孤独を知り、そして自分を愛する・・・」ってただのナルシストのようにしか見えないのだが、等々、見出しだけで三杯お代わりできそうなツッコマレビリティにあふれていて、いやまったく恐れ入る。

高成績→高学歴→高ブランド企業 という人生すごろくをなぞりたいという欲望丸見えの見出しをここまで並べられると圧巻である。自分の子供だけお金と名誉を手に入れさせたいというすこやかなエゴがむしろすがすがしい。問題は子供にとってそれが本当に幸せなのかどうかということだが、親本人の価値観がそうだからもし子供の価値観とずれてたらなかなか気付かないのだろう。その時はどうするのか。そういう時の対処策も「どうする?子供が下流志向だった時」なんてタイトルで特集として掲載されるのかもしれない。

それにしても驚いたのは、いつの間にか月刊誌になっていたこと。創刊は昨年11月、第二号は3月、そして7月から月刊化の模様。反響がそれだけ大きかったということか。

現在発売中の9月号も巻頭特集「マッキンゼー式 頭のいい親子の勉強法」を筆頭につっこみたくなる見出し満載なので、いまどきの親子雑誌に興味のある方はぜひどうぞ。

9/12追記:
「カトラー:katolerのマーケティング言論」さんのエントリ「頭の強い子の育て方、頭のよい子の育つ家」でこのプレジデントFamily10月号について取り上げられていた。

この世で一番大切なことは「頭のいいこと」であり「お金に困らないこと」であるという本音メッセージが、この特集タイトルからは、ひしひしと伝わってくる。プレジデント・ファミリーという本は、ひとことでいえば、「自分の子供を勝ち組にする」あるいは「親子で勝ち組になる」ための雑誌といっていい。

など、同様の違和感を感じていただいてるようで、ひと安心。