自分の中の感情を言葉にしてみよう。そして肯定してみよう

@IT自分戦略研究所の連載コラム「ITエンジニアにも重要な心の健康」より。

第29回 「ひとり」でいる自分はダメ人間なの?

 個性とは本来、他者との違いを意識してつくるものではないと思います。むしろ、自分を深めることによっておのずと発現してくるものだと思うのです。個性を生かすとは、人と違う自分になることによって「個性的な自分」を演じることではなく、たとえ見た目は平凡でも、自分らしい生き方を慈しみ、深めてゆくことで可能になるのだと私は思っているのです。

 そのためには、自分の心の中の他者が消えて解放され、心の深いところからの自分の声を聞く時間を持つことが大切になります。

「皆と一緒」に、でも「個性的であれ」というのはダブルスタンダードなメッセージのような気がする。それを両立しないと責められるなんて、おかしい話ではないか。

 ひとりでいることを否定的に思うのではなく、「ひとりでいることを選んでいる自分」として受け止めてみましょう。そんなとき、あなたは自由で柔軟でいられるはずです。「悲しいなんて感情は、職場では持ってはいけない」という不自由な縛りから自由でいることです。「くやしい、悲しい」という自分の内なる声をLさんが受け止めたように。

何がどうくやしいのか、悲しいのか、具体的にしていくことが、「自分との対話」では大切になるだろう。そうすれば、自分が違和感を感じていることか生活のすべてではないということに気がつくかもしれない。

 ひとりでいられる人と、ひとりでしかいられない人には違いがあります。ひとりになって自分と向き合える人は、自分と対話するモードと他者と対話するモードの両方を備えています。そのチャンネルを自分の意思で切り替えることができるようになるのです。自分と深く対話することができ、他者との対話もできるようになります。

必要な時に関わっていくためには、必要なときにスイッチを切って一人になる時間が重要な人もいるのだ。個性を尊重するというのなら、そういう違いを考慮してほしいし、自分の理解を進めて自分はこういう人間なんだ、ということをきちんと言葉で伝えられるようになっていくと、職場の居心地がよくなっていくのではないだろうか。自分にとってのあたり前は他人の非常識であることも多い。言わなきゃ伝わらないし、そもそも存在しないことになってしまうのだ。