成果主義/裁量労働制は、時間管理に対する"たが"を緩ませている?

リクルートワークス研究所の「ワーキングパーソン調査」分析より。

長時間労働編 看過できない若手・中堅への負担偏重

実感値にかなり近い結果。

長時間労働である人を、今回は「週60時間以上働いている人」と置くことにした。60時間は週 5日間働くとして、1日あたり12時間労働となる。午前9時始業として休憩 1時間を加えれば、仕事を終えるのは午後10時。週60時間以上を長時間労働と置くのは、納得感のある線引きだろう。1年間こうした状態を続ければ、明らかな労働基準法違反でもある。

そしてその違反企業がどれだけ多いことか。もちろんタイムカード上は証拠は残さないで。

まず長時間労働の人はどの世代に多いのだろうか。年齢層別に労働時間の状況を見てみると、25〜29歳、30〜34歳、そして35〜39歳の層で週60時間以上働く人は3割近くにのぼっている。やはり20代後半から30代という若手から中堅にかけての層に、大きな負担がかかっているようだ。

役職ランクと管理職、専門職ごとに長時間労働者の比率をみると、「係長・主任・班長クラス」の「管理職」が27.4%で最も高くなっている。さらにこれを年齢層別に見ると、若い層になるほど長時間労働者比率が高くなっている。25〜29歳では長時間労働者比率は、実に47.8%に達している。

係長・主任・班長クラスの20代後半が長時間残業トップ層、という結論。たしかに。

成果主義裁量労働制の職場での現状は以下の通り。

成果主義を採用する会社の若手社員で、長時間労働者比率が高まる傾向があるといえるだろう。同様に「裁量労働」で働く人の長時間労働者比率は、25〜29歳、30〜34歳、35〜39歳の年齢層で、全体より目だって高くなっていることがわかる。

「とにかく結果を出さねばならないから、労働時間管理はなし崩しになっていかざるを得ません」。

成果主義が導入されてから、担当者が明確ではない仕事を、いったい誰が担うかが職場の問題になっています。結果的に、それらの多くが若手社員にのしかかっているように感じます。残業も増え、それでも終わらなければ、自宅に仕事を持ち帰るケースも少なくありませんから」という。前出のAさんも、「裁量労働制で、時間管理に対する"たが"が緩んだ感じがする。『残業は月に20時間以内』と厳しく管理されていた頃のほうが、集中して仕事をしていました」と話している。

これでは裁量労働制は体のいい「残業代減らし」でしかない。

一方で、長時間労働は能力向上に影響を持っていて、「25〜39歳の、能力が「大いに高まった」と答える人の比率は、労働時間が長くなるほど高まっている」という結果もあるという。つか、毎日仕事しかしてないんだから当然といえば当然かもしれない。
だからと言って「能力向上を図るには、やはり長時間労働に耐えるしかない」という結論はありえないだろう。本稿の中でもそれは触れている。ストレスの観点と、ダイバーシティの観点から。

人材の多様性を進めるダイバーシティの観点から見ても「能力向上を図るには長時間労働しかない」というのは同意できない考え方だ。例えば女性が結婚して、子育てをしながら仕事を続ける場合、平日には保育園に預けた子どもを午後7時には迎えにいく必要がある。土日は家庭生活を優先する必要もでてくるだろう。

ここでデフォルトで「女性」と書かれるのは釈然としないのだが、それはともかく。
「労働時間短縮と、働く人としての能力向上を両立しようとする試み」をぜひ広げて行っていただきたい。
組合も労働法の研修を組合員にちゃんとした方がいいんじゃないかなあ。無知は罪。知ってて伝えないのはもっと罪。