over40主婦の再就職現場レポ

先々週発売のPRESIDENT2006.7.3号掲載の記事「苛烈!『女四十歳のハローワーク』」より。題名も苛烈だ。

総務省の「労働力調査」によれば、有配偶者で働いている女性の割合は25〜34歳で47%、35〜44歳で59%、45〜54歳で68%。しかも働きたいと考える再就職予備軍は各年代とも10%前後存在しているという。

再就職主婦40人に面談取材して「年収1/2時代の再就職」をまとめたジャーナリストの野口やよいさん曰く。

「再就職をした女性に動機を聞くと、家庭や地域社会の中だけで一生を終わらせたくないとか、生き甲斐をみつけたいといった“心の飢え”を満たすためにという声がまず返ってきました。でも、よくよく話を聞いていくと、もう一つの理由、『夫の収入だけでは生活が厳しい』という意見も多く、こちらのほうが本音なのかなという感じもしました。家計に対する危機感が潜んであるわけです」

あとは小見出しを拾っていくみるとこんな感じ。

  • 「私立中学への受験熱」が妻を再就職へと駆り立てる
  • たとえ高学歴、高職歴でも「三五歳の壁」に泣く
  • 四十代主婦が活躍する「顧客も主婦」という仕事
  • 女性が長く勤めるための「いい手本」にもなる
  • 中高年の主婦に決定的に欠けているもの

「たとえ高学歴〜」のところでは、事務職1名の年齢不問の求人に40人近くの応募があった事例を紹介。

「三分の二以上が小中学の子供を持つ四十代の女性。しかも上智、ICU、津田塾など一流大学を出て、誰もが知っている大企業で貿易の仕事をしていたとか、社長秘書や英語も堪能な為替のスペシャリストだったとか、驚くような高学歴、高職歴の女性ばかりだったんです。」
給料は月25万円、年収にしたら300万円ほどにしかならないのになぜ、応募してきたのか、萬さんは不思議に思ったという。
「彼女たちが言うには、日本では40歳を超えると面接のチャンスさえないと。私と話しているうちに過去の面接でいかに虐げられたか、思い出して泣きだす女性もいました。」

このあと「四十代主婦が活躍する「顧客も主婦」という仕事」ということで、主婦の労働力を積極的に活かそうとする企業が増えてきている事例をみずほ銀行積水ハウスリフォーム、セコム等で紹介している。

また、「中高年の主婦に決定的に欠けているもの」として、主婦に特化した事業を行うコンサル会社を経営する一方でサポートするNPOで講師もつとめる石井さんはこう言う。

「面接の個別指導もするんですが、中高年の主婦に決定的に欠けているのは第一印象の見せ方、工夫。身だしなみ、服装、姿勢、それに表情です。結局、どんなに優秀で能力が高くても、『この人が来てくれたら会社が明るくなりそう』という人しか採用されないわけですから・・・」

厳しい指摘だが、逆にそこをクリアできればハードルはぐっと下がるとも言える。

しめくくりとして、今回の取材の中で異口同音に語られたという言葉が書かれていた。

「四十代の主婦には、長年の人間関係で培われたコミュニケーション能力があります。どんな仕事や職場でも、実はそれが一番重要なんです。パソコンのスキルや資格の有無はいわば二の次。ヒューマンスキルさえあれば、必ず活躍できる場があります。パートでも何でも、やれるところから始める。とにかく最初の一歩を踏み出してみる。そうした、ちょっとした勇気が人生を変えていくのです−」

自治体でのセミナーやマザーズハローワーク女性と仕事の未来館などの相談先についても書かれている。再就職をお考えの方にはかなり参考になる記事ではないだろうか。

年収1/2時代の再就職 (中公新書ラクレ)

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