もっとも強い喫煙習慣ひとつを壊すことが、スムーズな禁煙への近道だった

PRESIDENT ONLINEの記事より。
ニコチン依存を断ち切る心理療法のススメ(職場の心理学:2006年6.12号 第148回)

記事によると、アメリカの調査ではニコチンパッチで禁煙に成功する割合は30%。残り70%の人が禁煙に成功するには、どうしたらいいか。

図表3はA氏の平日の喫煙レパートリーである。「目が覚める→ベッドの中で1本吸う」から「就寝→ベッドの中で1本吸う」まで、16組の「条件」(目が覚める、など)と「反応」(タバコを吸う)のセットで組み立てられている。それぞれのセットにおける「条件」と「反応」は鎖でしっかり繋がれていて、これを切り離そうとすると強いストレスと欲求不満が生ずる。禁煙の苦痛はこのストレスと欲求不満にほかならない。
 A氏が禁煙に成功するためには、これらの16組の条件反応(以下、「条件」と「反応」の1セットを習慣と呼ぶ)のすべてを破壊することが必要だが、それには2通りのやり方がある。1つを「外科的療法」、他の1つを「内科的療法」と呼ぶことにしよう。

外科的療法とは条件を一気にこわすこと。タバコ、ライター、灰皿などを捨て、決してタバコを口にしないと誓い、一切やめてしまう。留意点としてはこのようなことがあるという。

 外科的療法で禁煙する場合は、以下の諸点に留意する必要がある。
(1)数日間は塗炭の苦しみに耐えなければならない。「5日間禁煙講座」でも宣誓書にサインまでした参加者の10人に一人は耐えられず脱落している。
(2)まとまって休みがとれる時期でなければできない。4〜5日は仕事にならない。
(3)喫煙病が再発する可能性がある。この方法ではすべての習慣が抑圧されたまま放置され、火種が残っているから、再び喫煙衝動に火がつくことがある。外科的療法で禁煙をした人のなかには、数年後にまたタバコを吸いはじめる人が少なくない。

一方内科的療法とは、「優勢ないくつかの習慣を壊すことによって「習慣のネットワーク」を破壊し、喫煙習慣全体を無力化するものである。」たとえば朝食後の一服が最大の習慣だったとして、まずはそれだけをターゲットにやめるのだ。すると個人差もあるが、だいたいはタバコが美味しくなくなり、自然に吸わなくなるらしい。
これは優勢な習慣が壊れることにより、喫煙行動条件のネットワーク全体が崩れてしまって、習慣が消えてしまうということだ。

 内科的療法は外科的療法にくらべてつぎのような利点がある。
(1)「条件」と「反応」の鎖が無理なく切れるから苦痛が少ない
(2)普通の仕事生活をしながら、いつからでも始められる。
(3)「自分でコントロールできる世界」が広がっていく喜びが感じられる。
(4)欲求不満が残らないから、喫煙病が再発する可能性が低い。

これまで何度も禁煙しようとしては挫折してしまっていた方は、内科的療法をお試しになられるといいかも。