立ち止まった時、何をよりどころに次の一歩を踏み出すか

@IT自分戦略研究所の連載コラム「ITエンジニアにも重要な心の健康」より。

第25回 「この仕事でいいの?」を決めるもの

現在の仕事に不満を覚えた時、

不満の明確化

キャリアアンカーの気付き

脳の「刺激を求める本能」に基づき変化を与えうる方法を考える

多くの人に相談する

といった経緯をたどって着地点を見出すことを薦めている。

まず「不満の明確化」では、「仕事面」「待遇面」「人間関係面」「私生活面」でそれぞれどんなことを不満に思っているか、特に言葉にできる不満だけでなく言葉にならず心の底に沈んでいる不満も含めて具体的に洗い出すことが大切。
次にキャリアアンカー(仕事を選ぶとき、またいまの仕事を継続していくとき、何をよりどころにしているか)は、次の説明を参考に考えてみる。

シャインの分類した8つのキャリアアンカー

1.専門コンピタンス:企画、販売、人事、エンジニアリングなど特定の分野で能力を発揮することに幸せを感じる

2.経営管理コンピタンス:組織内の機能を相互に結び付け、対人関係を処理し、集団を統率する能力や権限を行使する能力を発揮し、組織の期待に応えることに幸せを感じる

3.安定:仕事の満足度、雇用保障、年金、退職手当など経済的安定を得ることに幸せを感じる。安定をキャリアアンカーにする人は、1つの組織に勤務し、組織への忠誠心や献身などが見られる

4.起業家的創造性:障害を乗り越える能力と意気込みを持って新しいものをつくり出すこと、リスクを恐れず何かを達成することに幸せを感じる。努力によって達成したという思いが、自分を動かす原動力になる

5.自律(自立):組織のルールに縛られず、自分のやり方で仕事を進めることに幸せを感じる。自律をキャリアアンカーにする人は、仕事を自分の裁量で自由に行うことを望む

6.社会への貢献:暮らしやすい社会の実現、他者の救済、教育などを成し遂げることに幸せを感じる。社会への貢献をキャリアアンカーにする人は、転職してでも自分の関心分野で仕事をすることを求める

7.全体性と調和:個人的な要求、家族の願望、自分の仕事などのバランスや調整に力を入れる。自分のライフワークを大切にするので、それができる仕事を求める傾向がある

8.チャレンジ:困難に見える問題の解決や、手強い相手に打ち勝つこと、人との競争にやりがいを感じる。目新しさ、変化、難しさを目的とする

具体的に対処するために何をするかということは、視野を広げて考えるために多様な人からの情報収集からヒントを得ることが重要。

不満で煮詰まった時はともすると「転職」「異動」だけが解決策だと思ってしまいがちだが、結論を急ぐ前にこのように自身を整理していくと、意思決定の質を上げる、つまり満足度を高めることができるのだと思う。