社会で働く「基礎力」と「働く動機」
掲記記事でもふれたWorks 73号の「どんな仕事においても、社会で働く上で必要とされる「基礎力」」。
記事中ではアメリカで作成された「必要なスキル獲得に関する労働省長官委員会」作成のレポート(SCANSレポート:アメリカ労働省のサイトに原典あり)を例にとり、「職場で必要となるスキルをより明らかにすること」「学校教育に社会的視点を加えるためには、企業の役割が重要であること」「どの働き手にも生涯学び続けることの重要性を伝えること」といった学校による企業への要求が出てきたとある。
また掲記朝日新聞のコラムでは、基礎力として掲記3つの他に「処理力(言語処理力/数量処理力)」「思考力(論理的思考力/創造的思考力)」も書かれているが、おそらくこちらは学校教育である程度習得されているという前提で省かれていると思われる。
また働く動機づけに必要な「自己動因」と「他者動因」についても触れられている。具体的には価値観を「自分が得るものに対する価値観」と「他者にもたらすものに対する価値観」の二つに分けて考え、前者を「自己動因」後者を「他者動因」としている。
例をあげるとこのようなもの。
- 自己動因:労働の対価として得る報酬、成長実感など
- 他者動因:部下や後輩の成長、提供したサービスの受け手が感じる喜びなど
「働く動機」というとどうしても自己動因が中心になった自己分析が多くなりそうだが、実は自己動因だけでなく他者動因も考慮する必要があるということらしい。他者動因が不足していると働くことの動機づけが維持できないことがわかってきたとのこと。
このあたりは「キャリアの常識の嘘」で高橋俊介さんが言っている「よいキャリアの条件」としてあげている次の条件とどこか重なっている。
- 自分の価値観と仕事の目的や意味がどのくらい一致しているか
- その仕事で動機に合った能力が発揮できるかどうか
また同じく「キャリアの常識の嘘」で金井教授が紹介しているシャインの「自分は何がやりたいかを整理するキーワード」もかなり近い。
- 自分は何が得意か(能力・才能)
- 自分はいったい何がやりたいのか(動機・欲求)
- どのようなことをやっている自分なら、意味を感じ、社会に役立っていると実感できるか(意味・価値)
こうしてみると、「仕事の意味」というのが、モチベーションをもち続けられるキーワードとなりそうだ。
- 作者: 金井壽宏,高橋俊介
- 出版社/メーカー: 朝日新聞社
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