就職人気企業ランキングは就職情報会社の販促ツール以上でも以下でもない?
朝日新聞東京版夕刊のbeイブニング、土曜のテーマは「土曜スタディー」。学習や就職活動について毎回連載コラムが掲載されているがコラム「お父さん・お母さんの就活講座」2月9日付けの記事で「人気順位は気にせずに」という興味深い内容のものがあった。
人事部門や当該業界の皆さまには周知のことかもしれないが、個人的にはやっと「正体見たり」というすっきり感が得られたので、記録がてら書いておく。
相談が来るのは基本的に、昨年より順位の下がった企業から。相談のされ方も、大体パターン化している。人事担当者はさほどランキングを気にしていないが、会社の上層部から指摘されることが多いのだ。
典型的なのは、社長ら経営陣が朝、新聞で順位が下がったのを知る→人事部長に「どうなっているんだ」と電話する→人事部長が担当者に「どうなっているんだ」と詰め寄る、というパターンだ。
実はこのパターン、一部の就職情報会社にとっては好都合。「(就職情報会社の運営する)就職サイトにもっと学生向け採用広告を打たないと、ランキングが上がりませんよ」などと営業トークを展開できるからだ。
よく考えてみたら、就職人気企業ランキングの発表元は毎日コミュニケーションズ、日経ナビ、ダイヤモンド社、リクルートなどその手の企業ばかり。つまりそういうことなのだと。
一方、ランキング上位関連企業の中には、順位が高いのを嫌がる会社もある。会社をよく調べもせずに安易に応募してくる学生が大量にいるため、エントリーシートや書類審査に、膨大な時間と人件費がかかるからだ。
順位が下がった年に、その企業を強く志望する学生の割合が高まり、内定辞退率が下がったケースもある。
これもさもありなん、だろう。志望者が多いといわゆる「記念受験」ならぬ「記念就活」みたいなノリだって出てきておかしくない。
今仕事をしている皆さんで、今の業務でおつきあいのある取引先の名前を学生時代からご存じだった方はどのくらいいるだろうか。余程有名か、ヒット商品を出したなどの話題性でマスコミで取り上げられない限り、知らない会社が大半であるはずだ。じゃあそういう会社はよくない会社かというと、決してそんなことはないはず。
ランキング上位の会社があまりよくない会社だなんてことはもちろん言えない。ただ、世の中のあまたある会社を網羅した上で選ばれたランキングではなく、マスコミ露出と製品の知名度、そして広告の多寡にかなり影響されていることは否定できないだろう。
何より、就職は「人気企業に行く」ことが目的ではなく「自分の働きたい会社に行く」ことが目的であるはずだ。
そんなわけで、就活をしている本人やその家族、そして企業側も販促ツールに振り回されることはない。「今年は学生の間でこういう会社が知名度が高いのだな」という参考情報程度に見ておくのが、かしこい付き合い方ではないか。
ちなみに朝日新聞でこのコラムが載っていた面の広告は、これらの本のものだった。ある意味最強の「マッチング広告」だと思う。
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