女の怨念が女性活用推進を阻む?

まあだいたい「女性活用」と性別限定的な言い方してるところで既に反発持たれて当然じゃないかとも思うのだが、それはともかく。

課題山積みの女性活用推進(NB online:2007/05/30)

 女性活用推進への反発は、男性からばかりではない。「実は、女性からの反発もあるのです」と語るのは、あるIT(情報技術)系企業の室長だ。「女性には、3種類いるのです。まず、女性活用推進に理解を示し、積極的に会合などに参加する人。しかしそれ以外に2種類の女性がいます」

 「2番目は、“キャリア意識”の低い女性。『私は昇進したくもないし、一生懸命働きたくもないから』と、活動をあまり理解してくれません。そして最後に、自己完結しているタイプの女性。『自分は、こんなサポートもなしに頑張ってここまで来た。それなのに、今さらどうして女性活用推進をするのか』という人たちです」

「自分は、こんなサポートもなしに頑張ってここまで来た。だから後進の人達には同じような苦労はしてほしくない」となってほしいところだが、気持ちはわからなくもない。

私の夫は家賃補助など夢の夢のような超零細企業に勤務していた。結婚したばかりの頃、家賃補助制度のある私がそれを受け取るのに、男性なら賃貸契約書の写しと所定の申請書を提出するだけでよかったのが、女性である私にはこのような証明書類を出すように指示された。

  • 夫の源泉徴収票の写し
  • 夫の会社に家賃補助制度がない証明書

つまり、夫より妻の方が明らかに収入が多く、なおかつ夫の会社には家賃補助制度のない場合のみ、女性への支給は認めましょう、ということだったらしい。百歩譲って後者は二重取りを防ぐためにという理由がわからなくもない(ちなみに逆のケースはノーチェックだったため、奥さんの会社と両方で二重取りしていた男性は歴然と存在した)。しかし、前者は一体?家賃補助なんかいらないくらいにダンナがかせいでるんだからいいでしょ、とでも言いたいのだろうか。

それに、家賃補助制度なんかないくらいの零細企業の社長に「おたくは家賃補助制度がない、という証明書を出してくれ」なんて言わなきゃいけないこっちの身にもなってくれ、と叫びたくなった。
まあしかし背に腹は換えられず、いやな顔をされながら「おたくは家賃補助制度がない、という証明書」に押印してもらった。

ついでに言うと家賃補助を受けられるのは「世帯主」である女性でなくてはならず、賃貸契約の名義も女性側でないとダメとのこと。事前に聞いていたのでもちろん婚姻届を出す際に住民票を作る時私が世帯主となった。契約の名義はともかく、なぜ「世帯主」でなくてはならないのかは未だに納得できていない。

今はさすがにここまで差別的な取扱はしていないようだが、こんなのは序の口の大変さを味わい続けた女性たちが「今さら女性活用なんて」と逆恨みしたくなる気持ちもわかる。
わかるが、では今やらなければ、本当にこのままずっと変わらないのだ。管理者側に都合のいい分裂をしている場合ではない。

だいたいダイバーシティは男女の話だけではない。国籍、雇用形態(正規・非正規)、セクシュアリティ(同性愛等)等々本来は広範囲に及ぶ話だ。会社の中という狭い世界で損得言ってるようでは、21世紀は生き抜けまい。