企業が求めるのは『大学生らしい人』

7月27日開催の労働政策フォーラム「大学生のキャリア形成をどう支援するか」についての新聞記事。(当日配布資料はこちら

就活最前線:「企業人」より「学生らしい人」(YOMIURI ON-LINE:2006/08/28)

 キャリア形成に関する授業などが組まれるようになり、本来の目的である学問(教学)からそれ、大学が「就職予備校」のようになってしまうのでは、と懸念する声も聞かれる。これについて大学側からは、「かつて教授には、ゼミの中でも学生に進路の話をしてくださいと話していたが、今は専門分野を鍛えてくれるようお願いしている。学生が学問を究めるなかで身につく様々な力は普遍で、社会にも役に立つはず」(立命館大)、「ゼミの活動を通じて体験したことがキャリア教育につながることもある。特別なことでなく、日常の活動の中でできるキャリア支援を探すことが必要」(関西大)などの見解が示された。また、本当の意味でのキャリア支援は、目先の就職問題だけでなく、最終的にその学生がどのような人生を目指すか、将来の設計図を描くのが目的だとの趣旨の発言もあった。

出口には就職というものがもちろんあるが、大学生活は基本的に「人生の地図づくり」ではないかと最近感じている。生きていくのに必要な、また一見不要なさまざまな知識を吸収し、学内外で様々な人間関係を経験し、これから先自分がどういう方向に行こうとしているのか、行けそうか、もっとうろうろする必要があるのか等を書き込んでいく自分用人生地図。これを作る時期ではないかと。企業が求めるのはそういう自分地図をある程度描けている人間、これからその会社で描き続けて行けそうな人間なのだとも思う。決して資格や即戦力や勉強もしないでバイトばかりしていることではない。
就職活動のガイダンスはもちろん必要だが、大学が「プチ企業人」を育成したってしょうがない。と言うか、やっても「もどき」にしかならないはずだし、それでは大学そのものの存在意義が問われるだろう。