カルトについてまとめておこう

久しぶりに見た韓国系カルト集団についての報道。

韓国カルト、日本で2千人 若者勧誘、教祖が性的暴行asahi.com:2006/07/28)

 首都圏や関西で、大学生ら20代の若者が、韓国人男性=海外逃亡中=の教祖に絶対服従を誓う新興宗教集団(カルト)に引き込まれ、マンションの一室で共同生活を送ったり、信者同士の合同結婚式に参加させられたりしていることがわかった。集団には、約2000人が登録されているとみられ、少しずつ勢力を拡大している。教祖の女性信者に対する性的暴行も常態化しており、これまでに100人を超す学生らが被害に遭ったとされる。脱会支援を進める日本基督教団や弁護士らには、「子どもを取り返したい」という親らの相談が200件以上、寄せられている。

 この集団は、キリスト教の聖書を独自に解釈する教義を掲げ、韓国で80年ごろ設立された。当初は「モーニングスター(MS)」、現在は「摂理」と呼ばれている。教祖の鄭明析(チョン・ミョンソク)氏(61)は、女性信者への性的暴行が韓国で社会問題化した99年、国外に脱出。ソウル地検などから強姦(ごうかん)容疑で指名手配され、国際刑事警察機構(ICPO)を通じて国際手配されたが、逃亡を続けている。

なんだかミニ統一協会的印象なのだが。なぜ彼の国ではキリスト教を使ったカルトが多いのか不思議だが、それはともかく。
この際カルトとはどういうものか頭に入れておこうということで、埼玉メンタル・カウンセリング協会のブログ「腹式呼吸カウンセリング」からこの事件に触れた記事を紹介。

人をあやつるカルト

 こういうストレスが強くて、悩み、カウンセラーや医者、相談機関で、解決の糸口がみえない、 誠実な悩む人が、カルトの被害にあう。地域に、相談できる人、仕組みがなくなったから、悪質なカルトに向かう若者が被害にあう。何とか、地域社会の支援で、こういう被害にあう若者がなくなるような社会にしたい。
今回の事件は、キリスト教と称する宗教教団であったが、 会社組織、NPOもある。自己啓発と称するものもある。

 「自らメシア、救世主を名のるカリスマ的指導者がいて、信徒を精神的に操作し、かつ不合理な 修行上の義務を課し、友人や親・家族を見棄てさせることも困るが、それは宗教活動には往々にみ られることとしてさておき、信徒に脱会・組織批判の自由を与えない(信教の自由という人権を認 めない)集団である。」(H66)

 「破壊的カルトとは、非倫理的なマインド・コントロールのテクニックを悪用して、そのメンバ ーの権利と自由を侵害し、傷つけるグループのこと。主要なタイプとして、宗教カルト、政治カル ト、心理療法・教育カルト(自己啓発セミナーなど)、商業カルト(ネズミ講式の販売組織など) がある。」(Nカバー)

こわいのは、「カルト」イコール「宗教団体」とは限らないことだ。そこから騙される人も多いのではないか。

 このようなカルトは、新興宗教教団としても存在するが、カルトは「宗教」という顔を出してい ないものも多く、「れっきとした企業という隠れ蓑をかぶったカルト集団」がある。

 「レストラン、自助会、経営トレーニングセンター、精神療法クリニック、武道講習センター、 食餌療法指南、大学の課外活動、政治組織・・・・等々の名目に隠れて、マインドコントロール技 術を利用するカルトやグループが予想に反して、衰えるどころか雨後のたけのこのように林立して いるのだ。」

また、同じブログの記事「人権を抑圧する「カルト」」より、あぶない集団のチェックリストを引用。

とりあえず、次の点があるのは、カルトの様相が強いので、注意してほしい。被害・苦悩が大き くないうちに、脱会したほうがよい。

・組織のトップや幹部(生きている人間)を絶対視させる。
・外部の社会を汚れたところ、おそろしいところとする特殊な思想がある。
・現在の職業、現在の家庭から離脱することをすすめる。
・多額の献金をさせる。ローン、借金までさせて、物品・サービスを購入させる。
・財産のすべて、あるいは、相当な高額を拠出させて、その組織から脱退しにくい状況にしてい る。
・隔離された施設に共同生活し、外部の情報を遮断する。
・施設内での活動を参観させない。

 なお、自らの悪を隠す傾向があるので、カルトは、次のように自分たちの正体を隠して勧誘する 。早く気がついて、とおざかるべきである。

・外部への宣伝では、上記のようなことはないというが、実際は行っていること。
・外部へは、セミナー、自己啓発、ヨーガ、カウンセリング、生涯学習、種々の社会問題(ひきこもり、不登校、過食、育児不安、など)にとりくむ援助を行う企業(会社)やNPO、研究所などを装う。しかし、実質、上記の様相がある団体は、カルトである可能性が高い。

また、カルトから脱会を決めても、すでに一般社会への適応が難しい状態になっている場合には、心理的ケアが必要になると言う。

信者や組織員は、組織のトップから、その人を絶対視させて、特殊の思想を植え付けられていて、脱会しようとすると「不安・恐怖」が起こり、一種の心の病気となる場合があったり、一般社会への不適応の状態にあるので、被害者を救済するには、特別のカウンセリングが必要になる。カルトが主張する思想、教えとは、仏教でいう「悪見」(「我見」「見取見」「戒禁取見 」など)であり、認知療法でいう「固定観念」である。これを修正しない限り、被害者は「不安・ 恐怖・抑圧による特殊な思想観念」から解放されず、根本解決には至らない。欧米では、認知療法も、「固定観念」の修正をはかるので、カルトや宗教問題で苦悩する人を救済している。

統一教会は昔は大学で「原理研」という名前で勧誘やセミナーを行っていた。今はどうなのだろう。名前は変わってもカルトそのものはむしろますます増えているのかもしれない。不安の時代はカルトが儲かるのだから。