新人研修雑感〜俗流若者論のウソ

先月ほとんどエントリできず、新聞社説まとめなども頓挫していたのは、後半2週間出張で新人研修のクラス担任という名のお世話役をやっていたからだ。昼間は研修の進行を行い、また1日キャリア研修の講師もやり、夜は女性新人社員と同じ寮に入って点呼をし、日々の生活のケアも行うという心身ともにハードな2週間だった。近くにネットカフェなんぞもちろんない地方都市のやや辺境に行ってたもので、AIR EDGEをレンタル契約し(AIR EDGEがレンタルで使えるなんて今回初めて知った)ノートPCは寮に持参したものの、何だかんだと忙しくてメールチェックが関の山。日常とは違うストレスのせいかさすがの私も風邪を引いてかなりハスキーボイスになってしまったのだが、それはともかく。

今年の新人は「ブログ型」と命名され、ネットには本音を書くのに・・・なんて言われたりもして、また最近の若者は忍耐力に欠けるとかすぐキレるとか、ホリエモンにあこがれて会社も踏み台としか考えていないとか地道な努力を嫌うとか、人の話を素直に聞かないとか、それはもういろいろなことを言われている。

そして実際どうだったのか。

結論としては「なんだ、私たちの頃とあんまり変わってないじゃん」という当たり前のものだった。少なくとも私が接した30人余りは、普通の20代で、大人びてしっかりしている部分もあればまだまだ子供なところもあり、入ったばかりの会社での先行きに不安と期待を感じながら目の前の研修を地道にまずは乗り切っていこうとしていた。その熱心さには確かに個人差はあるが、そういう差は別にいつの時代にだってあったはずで、私が新人の時も「こんなのくだらない」と内心思いつつ淡々とやりすごしていた同期はいた。

何より彼らの成長の速さ。入社式から2週間たって、4月3日はどこか頼りない学生っぽさの抜けない顔をしていたのが日を経るに連れぐんとひきしまり、研修内容もどんどん吸収して、自分を高めようとしている人たちが圧倒的に多かった。

キャリアについてもこちらが構えていたほど皆がストーリーを描いているわけでもなく、もちろん「ホリエモンになりたい」なんて言うこともなく、地に足のついたアウトプットを出していた。かなり明確に方向性を打ち出している人もいれば「キャリアって今まで考えたことがなかった」という人もいて、とにかく個人差が大きかった。

そう、世代差ではなく個人差なのだ。

もちろん私が見たのは一部の人たちであり、これだけで「若者はすばらしい」なんて諸手を挙げて賞賛するつもりもない。ただ、相手の理解できない行動を「今どきの若者は」と一括りにして批判すること、そういうバイアスで自分より若い世代を見ることがどんなにつまらない、もったいないことか、実際触れてみて心から実感した。

俗流若者論は、多様な価値観を認めることができない人種が自分のアイデンティティを危機に直面させないための方便だと思う。振り回されてはいけない。