「不妊治療休暇」主旨はOK。ぜひいい呼び方を

「吐息の日々」さんで「電機連合、不妊治療休暇を要求へ」というエントリがあり、「電機連合が『不妊治療休暇』を来春闘で要求する方針を決めた」という日経の記事が紹介されていた。以下引用の引用。

不妊治療をうける女性の増加で「休暇が足りない」など労組に対する相談件数が増えているうえ、一部単組から統一要求に盛り込むべきとの提案があった。 電機連合は、多目的休暇と休職の理由に不妊治療を追加することを経営側に求める。多目的休暇制度がない場合は、不妊治療を含んだ新しい休暇制度作りを主張する。女性だけでなく、配偶者など男性も取得の対象。具体的な取得日数の目標は設けない。来月下旬の中央委員会で正式に採択する。
不妊治療を受けている人は2003年の推計では466,900人ともいわれ、1999年の1.6倍に増えた。
(平成17年12月17日付日本経済新聞朝刊から)

これを受けて労務屋さんがおっしゃっている以下の点に私も同意。

不妊治療が少子化対策としてはそれほどの効果は見込みにくい(治療を受けている四十数万人の半分が5年間で一人生んだとして年4〜5万人ですから、このところ年間110万人そこそこの年間出生数を大きく増やすというわけではない)わけですが、出産を支援するという社会的意識づくりにはなりますし、労組が「子を望む組合員に対する支援」として取り組むことは有意義でしょう。

実際の導入や運用にあたっては会社の休暇制度全体を見て判断ということになるのでしょうけど、その際にひとつお願いしたいのは制度の名前。
不妊」というのは女性にも男性にもとてもプレッシャーのかかる言葉なので、あまりそのものずばりではない「その他休暇」的な名前にしてほしいと思う。
不妊治療を受けていた友人からどんな風だったか聞いたことがあるが、何と言うか、すべての生活が排卵を中心にしたサイクルになり、排卵→受精→着床を目指した一大プロジェクトだという印象を受けた。そこでは女性は排卵マシーンになって「いい卵」を出すためにあらゆる努力を求められ、男性は射精マシーンになって必要な時に精子を出すことを求められる。健康保険の適用ができないから排卵誘発剤の注射は費用がかかり、受精せずに終わると「また1本いくらの注射が無駄になった」と考えてしまう。長引くと心身ともにぼろぼろになるというのがよくわかる。
子供を授かるということに向かって最大限の努力をしている方々(患者も医師も含めて)を愚弄するつもりは毛頭ない。何かを得るということは何かを捨てるということで、もろもろのことを捨てても得たいと思う人にはきっとその努力が報われることを願うし、そのためのサポートを制度として少しでも実現してほしい。