OK to fail〓失敗してもいいじゃないか

6月に行われた「Planned Happenstance理論」で有名なクランボルツ博士の来日カンファレンスでも、偶然を味方につけていくキャリア形成の考え方のひとつとして、「Don't make a mistake(失敗してはいけない)」ではなく「Risk;Make mistakes(リスクをとれ;失敗せよ)」と言っていた。「Make mistakes」というのは、絶対失敗しろということではなく、「OK to fail」ということだ。
たまたまWebで見かけた二つの記事で、失敗について同じように言っているのを見つけたので、記録しておきたい。
ひとつは「日経Bizキャリア」掲載の「中谷巌のとっておきトーク〓退屈なビジネスパーソンにならないために」。この中で中谷氏はこのように言っている。

 人生を大局でとらえるということは、すべてを肯定的に受け入れるということにつながります。失敗もリスクも受け入れてしまえば、そう怖いものではありません。

 周りを見ていても、あまり計算をしすぎる人は後々伸びない。若いうちは特にそうです。安定した仕事を持っている人が会社を辞めるのが怖いことはよく分かりますが、それにこだわりすぎると将来への道を自分で閉ざしてしまうでしょう。若いのに保守的な人も多いようですが、保身に走ってよいことなどない。失敗したってよいではありませんか。それがとても勉強になり、大きな財産になるはずです。

もうひとつは、「H-Yamaguchi.net」の「私の『失敗』論」というエントリ。筆者の山口浩さんは試験監督をしながら失敗を恐れるように見える学生たちに向けて「失敗は、チャンスだ。」「失敗は、糧になる。」「失敗は、人を豊かにする。」とメッセージを送り、このように言っている。

学校に限らず、私たちは「成功」にこだわりすぎるきらいがあるように思う。成功することが当たり前とか、成功して初めて一人前とか。あたかも成功を強いているかのようだ。逆に失敗は忌み嫌われる。ほんのわずかな失敗でも大騒ぎになる。だから私たちは、失敗にとても弱い。慣れていないからだ。今社会で問題になっていることの少なくともいくつかは、私たちが失敗に慣れていないことから生じているような気がする。失敗するくらいなら初めからしないほうがいい。そういういい方をよく耳にする。もちろん中にはそれがあてはまるケースもあるのだろうが、たいていの場合はちがう。最初からできるものはさして重要ではない。重要なものは難しいから、最初から成功するほうがおかしい。失敗しながら覚え、慣れ、うまくできるようになっていく。最初に失敗しなかったら、後の成功はない。ならば、失敗はむしろすすんですべきだ。

カウンセリングをしていても、失敗を恐れて八方塞がりになっている人、社内募集落選などの失敗をむやみに繰り返している人など「失敗の扱いが下手」な人たちがけっこういる。そういう人たちにぜひ読んでほしいと思う二つの記事だった。