「全国シェルターシンポジウム2005 in あいち」

http://www9.ocn.ne.jp/~noan/sympo.htm
ドメスティック・バイオレンス(DV)に苦しむ女性と子どもを支える活動をしている方々によるシンポジウム。池内ひろ美さんが「全国シェルターシンポジウム」というエントリで紹介していた。
一日目は基調講演とシンポジウム。

基調講演 マージョリー・D・フィールズさん(元ニューヨーク州判事、弁護士)
 「加害者プログラムと被害者の安全確保 ー米・英の経験から学ぶ」
 Victim Safety Is the Duty of DV Offender Programs
シンポジウム 
 テーマ
「日本における加害者プログラムの可能性と課題
        ー包括的なDV対応・解決を目指して」
マージョリー・D・フィールズさん
後藤弘子さん
近藤恵子さん

二日目は分科会。こちらも各々かなり重いテーマを扱っている。現場での取り組みがさまざまに紹介されている様子。

〓改正DV防止法・基本計画(多摩でDVを考える会)
〓加害者処罰と再教育制度(NPO法人 女のスペース・おん)
〓改正DV防止法と警察・裁判所(NPO法人 ウィメンズサポートセンターにいがた)
〓医療関係者との連携(NPO法人 女性と子どもの民間支援 みもざの会)
〓サポーターのためのセルフケア(NPO法人 いくの学園)
〓DVと児童虐待(北海道シェルターネット)
〓マイノリティ女性とDV(女性の家HELP)
〓当事者の提言(NPO法人 ウィメンズネット青森)
〓DV根絶と国際ネットワークの形成(NPO法人 女のスペース・おん)
報告と問題提起 朴仁惠(パクイネ)さん(韓国女性ホットライン代表)

特に「〓当事者の提言(NPO法人 ウィメンズネット青森)」の概要説明のこの文章はDVを正しく理解いただくために多くの方に読んでいただきたい。

DVは「配偶者等からの暴力」と訳されます。悲惨な身体的暴力だけがDVとして報道されがちです。これにより私達は「DV=配偶者等からの悲惨な身体的暴力」とのイメージを持ってしまいがちですが実態はそれだけではありません。DVは「配偶者等からの執拗な支配」と訳したほうが近いと感じます。
現在のDV対策はシェルターやステップハウスといった危機介入、短・中期支援や、カウンセリング、相談といった心のケア、自立支援といった方向にあります。これらがとても大切な支援であることは間違いありませんが、長期的サポート、教育と言った側面の重要さが看過されているように思います。
シェルターを出て普通の暮らしを始めたように見えても実は困難は続いています。自分の経験はいったい何であったのか、どうしてDVのサイクルの中に巻き込まれてしまったのか、どうすれば巻き込まれずにすむのか、こうしたことを真に理解できなければいくら経済的自立のために職についても、心のケアで傷を少しずつ癒しても、同じサイクルに巻き込まれてしまう危険性が常にあります。
その人の段階に応じて必要となる支援は変化していきます。その側面ごとに、当事者として得られた支援、得たかったが得られなかった支援などについて、経験を踏まえてお話したいと思います。

DVという「暴力による支配・被支配関係」の構図は夫婦や恋人間に限られた話ではない。実は似たような構図が社会に蔓延しているのではないかと感じている。親子間の虐待、教育の現場での暴力、性犯罪等々。いずれにしても被害者救済と共に加害者の回復教育が鍵になってくるはずなので、他人事としてではなく意識し続けていきたい。