東大MOOC「インタラクティブ・ティーチング」week2「アクティブ・ラーニングの技法」メモ

インタラクティブ・ティーチング」ようやくweek2を視聴しました。(確認テストギリギリでした)

week2のテーマは「アクティブ・ラーニングの技法」です。

以下、まず気になったポイントと感想を。

●「Think-Pair-Share」→「ジグソー法」→「ポスターツアー」→「ピア・インストラクション」と順を追ってシンプルな手法から複雑な手法へ進んでレクチャーしてもらえて、わかりやすい構成だと思いました。

●いずれの手法も主として知識提供型の講座を参加型で運営するのに有効だと思いました。企業では新人研修や技術教育などに何かしら応用できそうです。

●ディスカッションの「こんなときどうする」で、グループワークで内職する学生や一人でしゃべり続ける学生への対策を考えるところは興味深かったです。企業研修だと、どういう対応策がありそうでしょうね。

●スキルセッションの姿勢のつくり方(肩、目線、移動の方向づけ、分離礼など)はすぐに自分自身をチェックしたいと思います。

●ストーリーセッションは本田由紀先生と三宅なほみ先生という、豪華メンバーのお二人でした。

本田先生の巻き込み方授業はとてもよく練られたデザインだと思います。文献を読む授業はともすると発表する人だけががんばってあとは頭に残らないということになりがちですが、この手法だと全員が何かの形で「関わって」「考える」ことになり、なおかつ多面的な視点が持てるので、批評的に論文を読む力がつきそうだと思いました。

三宅先生のお話は、とにかくまず全体を通してお話がとてもわかりやすくクリアであることに感動しました。例えもわかりやすく、やわらかくでも熱意を持ってお話しされているのに、ファンが多いのも納得です。もともと認知心理学のフィールドの先生なので、科学的な裏付けを持ってこういった手法を取っていらっしゃることもあり、実際の現場でも実践されているのだろうと思います。

お二方の手法も勉強になり、また教育への考え方もとても刺激になりました。

●次回Week3は「学習の科学」です。

以下動画を見ながら取ったメモです。(単なる羅列で長いです。すみません)

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◆Week 2 アクティブ・ラーニングの技法
2-1. イントロ
目的: 多様なグループワークの方法の特徴を理解し、実施方法を習得する
到達目標: 次の方法の特徴と実施方法を説明できる
(1)Think-Pair-Share
(2)ジグソー法
(3)ポスターツアー
(4)ピア・インストラクション

2-2. ナレッジ(1)Think-Pair-Share

Think-Pair-Shareとは

一人で考える→ペアで考える→共有・議論・意見交換

議論のガイド 流れをつくる→能動的学習

基礎的な方法
ディスカッションを含むワークの基礎

明確な課題設定
モチベーション(レベルに合ったもの)

形態 ペア
時間 5分〜15分くらい
構成 単純
大人数→★★★

2-3. ナレッジ(2)ジグソー法

アロンソン考案
協調学習の支援方略
デザインから「ジグソー」

方法
・教材を分割
・教材を各グループに配布
・このグループ(エキスパートグループ)で理解・分析
・新グループの再構成(ジグソーグループ)
・ジグソーグループでの学習(知識の共有・新たな課題解決)
・全体での共有

※参加者の中で、就活での経験ありという人がいた

特徴
・「自分しか知らない」状況が強制的につくり出され、それをグループで共有
・各グループの学習場面における一人一人の責任感
・「一人一人意見が違う」ことへの許容

議論・コミュニケーションのトレーニン

形態 グループ
時間 45分くらい
構成 複雑
大人数→★

2-4. ナレッジ(3)ポスターツアー

ポスター→大きな紙に学習内容をわかりやすくまとめたもの

スターツアー
ジグソー法的なグループの再編成を行い、ポスターの内容を共有する方法

方法
・課題の用意
・各グループのポスター作成
・ツアーグループの編成(ポスターを回るグループを再編成)
・ツアー開始(自分のポスターに来たら説明)

特徴
・全員がプレゼンテーションの機会がある
・異なるトピックをグループが担当する場合、効率よく知識の習得ができる

形態 グループ
時間 60分くらい
構成 複雑
大人数→★

ジグソー法の応用
作成内容に責任をもったポスターの作成、共有の方法

2-5. ナレッジ(4)ピア・インストラクション

95年から2000年の間に開発
E・マズール(1997) 物理学
大規模講義における学生の議論を組み込んだアクティブラーニング型の授業方法

方法
・予習教材を提示
・予習
・ConcepTest→多肢選択問題への回答(クリッカーを利用)
・それぞれ選択理由について周囲に説明・議論→教えあい
・再度回答
・ConcepTestの本質的な部分について教員より解説

短い講義

ConcepTest
学生投票→正答率30%以下→概念の再確認
→正答率30〜70%→ペア・グループで議論
→正答率70%以上→解説→次のトピック

特徴
・大人数講義でも即時の反応を活用しアクティブ・ラーニングを実現
・理系科目のような知識獲得型にフィット
・「臨時TA」←よくわかる学生の活用
・ConcepTestの質が重要

形態 ペア グループ
時間 〜5分 15分
構成 複雑
大人数→★★★

大人数講義で使えるアクティブ・ラーニングの代表
知識獲得型の科目で活用
ConcepTestの質がカギ
理解のレベルに応じた学び

参考動画
京都大学OCW「「ピア・インストラクション:深い理解を促進する 」エリック・マズール 」
http://ocw.kyoto-u.ac.jp/ja/international-conference/36/video02j

「ピア・インストラクションによる アクティブラーニングの深化」
日時:2012年10月10日(水)
13:30〜17:30(受付開始13:00〜)
場所:京都大学百周年時計台記念館2階 国際交流ホール?
http://www.kansai-fd.org/activities/project/report_20121010.html

2-6. ナレッジ(5)ディスカッション:グループワーク こんなときどうする?

グループワークにおいてし生じうる困ったケースについて

『以下に、アクティブ・ラーニングとしてグループワークを行う際に生じることが予想される問題の例を2つ挙げてあります。これらのうち一つを選び、これらが生じないようにする予防策と、生じた場合の対応策について考えてみましょう。
【トピック】日本の少子化問題の解決法
【設定】6人編成のグループ
(A) 話し合いに加わらず、内職をしている学生がいる。
(B) 一人だけが喋り続け、他の学生が全く発言できない。グループとしての提案はこの学生の意見だけになりそうである。
*【トピック】は変更不可、【設定】は変更可能です。』

予防策と対応策→デザイン

2-7. 振り返り

2-8. スキル:導入編1:空間をつくる

教員も空間と同じように空間を捉える
自分の身体を使ってこの新しい空間作りをしていく

課題:全員が興味を持って共感していただけるような自己紹介

姿勢 ぐっとひっぱって肩を落とす
あごは意識せず目線を意識
目線 端・真ん中・端 の3点
移動 自信を持って方向性をしっかり示す

分離礼→先に挨拶を言い、そのあとでお辞儀する礼の仕方

2-9. ストーリー(1)学生の議論をうながすには?
本田由紀先生(東京大学大学院教育学研究科比較教育社会学コース教授)
http://www.p.u-tokyo.ac.jp/gs/staff

教育社会学概論
80人 教職の必修科目 いろんな学部 多様な学生

毎回2本の文献を指定

「講読票」
キーワード 概要
ポジティブな意見 ネガティブな意見
授業のときのメモ

授業の最初の15分 グループ(4〜5人)での内容を共有
すり合わせ
特にネガティブな意見→何が疑問 批判的に感じたか
チェックする視線 クロスオーバー

歩き回る 2本のマイクを置く

「キーワードどうぞ」と書いてある分だけ言ってもらう
→TAがWordで書き取る
→プロジェクターに映す

概要→意見

教育社会学の扱ういろんなテーマ別に各回設定
2本 概説的なものと実証研究のピンポイント的なもの とか
→両方合わせて読むことで比較が複雑になる

講読票は最低限1枚書いてくる→何か言うものはある状態で出席

グループディスカッション
その場の思いつき、声の大きい人が牛耳るといったことのないように

自分はあらかじめ考えてきて、違う意見が出てきたらぶつけることができる
「自分のもの」っていうのがあった上でのディスカッションをしてほしい

ポジティブでは流す
ネガティブ→もう一本のマイクの人に「論文を書いた人の気持ちになってリプライしてみて」

マイクはランダムに
発言が終わったら前後左右どこかのグループに渡す

着任翌年の2008年ぐらいからこの形態

学生の議論の促進・工夫
寝させてたまるものか
何らか考えてもらう

偶然性を作ってる

発言できないときはパスあり

「教育の職業的意義(レリバンス)」
日本の小中高 教育の職業的意義というものが希薄すぎる

教育に向けての準備がほぼないままに大学教員になる人がこれまで普通であった→大問題

じぶんの歩んできた生涯と、自分の前に座っている学生たちの考え・発想・考え方というものの間のすごいギャップ
どのようにつないでいくか→教える側の責任

単に知識を伝えて分かってもらうことでなく揺るがしたり煽ったりする役割

コアとしての専門的な知識をいろんな社会の現場に落ち着かせてフリンジのところに学生を巻き込んでいくようなそういう大学教育であってほしい

社会に出て学問のコアがどういうふうに関わりを持ちうるのか→職業的レリバンス

どのようにリアルな世界と関わらせて教えることができるか、というところに心を砕いてほしい

2-10. ストーリー(2)協調学習、高校の授業をインタラクティブに!
三宅なほみ先生(東京大学 大学総合教育研究センター 教授)
http://coref.u-tokyo.ac.jp/nmiyake/

主体的なものなんだと学習者を見る

何を学ぼうとして何を分かっていってるかということが見える→それを支援してあげる

協調学習とは
「人が自分で学んだ体験から作っている予測の範囲を他人が経験して知っている事も対話で取り入れて予測の範囲をもっと広くする学び方」

うまくいく場とあんまりうまくいかない場ができてしまう

うまい対話をデザインしてうまく対話が起きるようにファシリテイトできると本人たちがどんどん主体的に学んでいくような授業の場面をデザインできる

大事なこと
1)これに答を出してみたいなっていう問いを共有していること
2)ひとりひとりが知ってることが違うということを認める
みんなの違いを一緒にしたら全員やってることの質が上がるかもしれない

「あいつの言ってることもいいかもしれない」
それを両方組み込んだような表現ができるようになる→かしこくなる

知識構成型ジグソー法
教科書で教えたいことに合わせてそういう対話が起きるように仕組んだ型

例)中2理科
雲はどうやってできるのか?
空気の固まりが上に上がってふくらむ
断熱膨張
飽和水蒸気量

「雲とは科学的に何か、みんなで考えてみよう」
そのとき考えてること書いておいてもらう

「答出したいな」って気になってもらい部品を渡す

「何が書いてあるかわかってね」「適当な答をつくってね」
→私にはこんなこと言いたいことがある

ここまでエキスパート活動(即席エキスパート)

この3人で「3つを組み合わせて答を考えながら「こんなんどうだろうね」って話し合ってみて」→ジグソーグループ

先生のやること
・問いをつくる
・部品をつくる
ファシリテーション

ジグソー→クロストーク グループごとに発表

最後は一人で理解を深める

ひとりひとりが自分の考えてることをはっきり表明してみて「うまく伝わらない おかしいな」って感じながら自分の考えに戻って他の人の考えも受容して新しい答を自分でつくっていく

45〜60分

知識の定着率がすごい

・実践
教育委員会で3〜4日の研修
1日目に体験(理数系、社会系)

・実績
3県
うち埼玉県は189の全県立高校でジグソー法授業を実施 88校で中心的な推進者の教師

19市町

gacco受講者へのメッセージ

・どういう学びを人はするのか
どこを支援してあげたらいい学びが起きるのか自分で考えて目の前にいる人に色々サポートしてみる
人は本来どう学んでいくものかということについてたちの良さそうな本を読む

学習理論を身につけてからじゃないと現場に入れないとあまり思わない方がいい

COREF(大学発教育支援コンソーシアム推進機構)のサイトにたくさん実践例があるのでよかったらご参照ください

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21世紀型スキル: 学びと評価の新たなかたち

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