東大MOOC「インタラクティブ・ティーチング」week1「アクティブ・ラーニングについて知ろう」メモ

東京大学大学総合教育研究センターが提供を始めたMOOC講座「インタラクティブ・ティーチング」。

11月19日から開講されていて、既に第3週講義の配信も始まっていますが、今更とは思いつつ主に自分用の記録として講座メモと感想などを毎週分(全8週)書いていこうと思います。

この講座、何せ講師陣の豪華なこと。

担当教員
栗田佳代子(東京大学・特任准教授)、中原淳東京大学・准教授)

ゲスト講師
佐藤浩章(大阪大学・准教授)、藤田将範・渡辺修也(音楽座ミュージカル)、
入江直樹(東京大学・准教授)、上田信行(同志社女子大学・教授)、
加藤雅則(株式会社アクション・デザイン・代表)、苅谷剛彦(オックスフォード大学・教授)、
菊池省三(全国コミュニケーション教育研究会・会長)、へルマン・ゴチェフスキ(東京大学・准教授)、
斎藤兆史東京大学・教授)、渋谷まさと(女子栄養大学・教授)、
高木晴夫(法政大学・ 教授)、成田秀夫(河合塾教育研究開発本部・開発研究職)、
平岡秀一(東京大学・教授)、本田由紀東京大学・教授)、
三宅なほみ(東京大学・教授)、山内祐平(東京大学・准教授)、
山邉昭則(東京大学・特任講師)、吉見俊哉東京大学・教授)

ってこれどこのオールスターですか、的な。
MOOCは少し試してみたけどどうも続かなかった私も、今回は何とかがんばって修了したいと思うすごさです。
もちろん内容も、「インタラクティブティーチング」というとても興味あるテーマ。そんなわけで受講開始。

講座メモは長くなるので、最初に気になったポイントと感想を。

●第一週のテーマは「アクティブ・ラーニングについて知ろう」。最初に講座全体のオリエンをやり、そのあと本題へ。

●週を構成する「ナレッジセッション」「スキルセッション」「ストーリーセッション」という組み立てはとてもいいと思う。このセッションはなにをするべきなのかが明確になっていて、セッションごとの関連性も取られており、多面的にその週のテーマを学ぶことができる。

●この講座での「アクティブ・ラーニング」の定義は「『能動的な学習』の総称」。企業でやられてる「アクティブ・ラーニング」はもっと狭義な意味で使われていることが多い気がする。どちらかというとPBL(project based learning)のような。

●アクティブ・ラーニング型授業は文系より理系の方が取り組みが多い、というのは少々意外だった。ゼミならば討議型にしやすいけど、そうでないベーシックな知識伝達の講座だと難しいというのはあるかもしれない。あと教員のスキルの問題とか。

●「アクティブ・ラーニングは単体の講座をいじればいいというものではなく、授業全体のデザインが必要」というのもその通り。「アドミッションポリシー(入学)」と「ディプロマポリシー(学位授与)」の間でどう考えるのか、という大学全体の方針があっての話なのだろう、本来は。

●スキルセッションで講師が「この場を絶対に成立させるんだという覚悟」が必要、と言う話をされていたが、これもまったく同感。

●ストーリーセッションでKBSの高木先生が「何かを教えてくれると思ってる人達に手前の準備で手を挙げたくなるよう持っていく」とおっしゃっていたのがとても印象的だった。いくらMBAを目指すようなモチベーションの高い人達でも、「議論」をするというのはなかなかハードルの高いことなのだ。能動的な学びには仕込みがとても大事。

●同じく高木先生が「引いてた人が乗り出してきた時、そのタイミングを見逃さない」と話されていたのも印象的だった。そういった様々なやり方はハーバードの「ケースメソッドをケースメソッドで学ぶ『ディスカッションリーダーシップセミナー』」で学ばれたとのこと。

●もうひとつ、高木先生。「立場上自分の研究と直結してはいないけれども教育の責任をはたさねばいけない。研究者として必要な書物、教科書、関連する参考図書は学生よりももっと読まないといけない」という言葉も。大学(院)の先生はこういう心構えで学生に接されているのだと、あらためて在学時の先生に感謝。

●確認テストは11/30〆切。(提出済ですのでご安心を)

●動画それぞれにスレッド(と言うのだろうか)が立てられるようになっていて、感想や疑問点を書き込んでいる方が既にいらした。gaccoの講座は掲示板のディスカッションが活発と聞いていたが、本当にそうなのだと実感。既にいくつか受けられて慣れていらっしゃる方も多いのかもしれない。

●week2のテーマは「アクティブ・ラーニングの技法」。

以下動画を見ながら取ったメモ。

                                  • -

担当教員
栗田佳代子(東京大学・特任准教授)、中原淳東京大学・准教授)

◆コンセプト
これから教える 今教えている「学びの場」を変えたいすべての人へ

◆セッション構成
ナレッジセッション
スキルセッション
ストーリーセッション

◆Week 1 アクティブ・ラーニングについて知ろう

目的・内容・評価

ナレッジセッション

コース シラバス
クラス クラスデザイン
内容 アクティブラーニング
評価 評価

学生の理解 学習の科学
教員 キャリアパス


スキル 話し方 巻き込み方 振る舞い方

ストーリー いろんな先生方の教育観

アクティブ・ラーニングとは
「能動的な学習」の総称

1.アクティブ・ラーニングの現状

◎偏差値に代わる大学選びの指標

大学卒業時に期待される社会的要請
・社会人基礎力
ジェネリックスキル

◎アクティブ・ラーニング型授業
文系より理系の方が取り組みが多い

◎効果・現状
立教大学BLP(ビジネスリーダーシッププログラム)
1年前期〜3年前期
前半 プロジェクト型授業
後半 スキル習得

授業全体のデザインが必要

ディプロマポリシー
アドミッションポリシー

2.アクティブ・ラーニングの選択

形態 一人,ペア,グループ、全体
時間 〜5分、15分、30分、60分以上
構成 単純・複雑
大人数講義への対応

ex.ミニッツ・ペーパー

3.アクティブ・ラーニング化

特別なものでなく、いつもの教授内容へのちょっとした工夫そのもの

「(一方向)講義」「実演」「実習」

「豆腐のさいの目切り」

学習の定着のしやすさ Learning Pyramid (National Training Laboratory)

Lecture
Reading
Audio Visual
Demonstration
Discussion Group
practice by Doing
Teach Others/ Immediate Use

アクティブ・ラーニングはちょっとした工夫で実現できる

4. 自己紹介

・あいさつ
・名前
・専門領域
・ストレス解消に行うこと

役割
・学生と教員 お互いの不安を取り除く
・コースに対する学生の期待を高める
・協力的な環境をつくり出す

5. スキルの哲学
肝心なものは目に見えない

音楽座ミュージカル 表現力ワークショップ

この場を絶対に成立させるんだという覚悟

(1) 実際にやっていただく
「できない」体験からのフィードバック

(2) 実演を見る

(3) 質問、回答

6. ストーリー(1) 理系分野のアクティブ・ラーニング

平岡秀一 (大学院総合文化研究科教授)
http://www.c.u-tokyo.ac.jp/info/research/faculty/list/mds/mds-bs/f002605.html

アクティブ・ラーニングで自然科学を楽しむ

専門化学
大学1・2年生対象
先端研究の一部を紹介→アクティブ・ラーニング

アカデミックスキル 書くスキル プレゼンテーション

学生間でピアレビュー

やってるプロセスを学ばせる

学生だけでなく教員がアクティブに

寄り道をしてしまっていいという気持ち

学生と一緒に問題を取り組もう

教員の心の余裕

7.ストーリー(2) ケースメソッド
高木 晴夫(慶応義塾大学大学院経営管理研究科教授)
http://www.kbs.keio.ac.jp/takagilab/

講義→正しいものごとを順序立てて説明をする

経営は事前に順序立てられる分量が少ない

複合的複雑

ケースについてみんなで議論
なぜこれが重要→問いを投げる

「はいはい」と手を挙げるよう仕向ける

何かを教えてくれると思ってる

手前の準備 手を挙げたくなるよう持っていく

予習 大変

ケース A4 20ページ 通しで1回読むのに1時間
合理的な推測→もう一回読む
予習の設問→意見構築 また読む

今日このケースでやらなければいけないことに意識をそこへシュッと集める
その日の題材と関係するつかみ

頭の奥2/3は場の動きを見て次の方向を考えないといけない

絶えず板書→議論の見える化

50人いて50人が全体で生き物のようになる

一番学んだのはHBS留学時 クリステンセン教授の授業
ディスカッションリーダーシップセミナー→ケースメソッドをケースメソッドで学ぶ

博士課程の必須科目→ケースメソッド教授法(現在では公開セミナー)

cf.ケースメソッド教授法セミナー(KBS)
http://www.kbs.keio.ac.jp/seminar/casemethod/module.html

ひな型レクチャーをやってもらう

講義に「引いてた」人が乗り出してきた時、そのタイミングを見逃さない

・研究と教育
研究の価値 できれば教育で実現させたい

立場上自分の研究と直結してはいないけれども教育の責任をはたさねばいけない
研究者として必要な書物、教科書、関連する参考図書は学生よりももっと読まないといけない

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