デーモン閣下の「課外授業ようこそ先輩『魔物に変身してみよう』」は見事なワークショップだった件
まあよく考えてみたら、この番組でやってることは全部、子どもたちを対象にした「ワークショップ」だと言えるわけだが。
2014年5月16日 「魔物に変身してみよう」 東京都中野区緑野小学校 デーモン閣下 (ミュージシャン)(NHK Eテレ)
舞台は東京都中野区立縁野小学校。先輩は魔界から現世に降りた悪魔、デーモン閣下。
今年悪魔の年齢で10万52歳を迎える閣下は、世を忍ぶ仮の姿の小学生の時にこの学校で勉強していた。
今回は後輩たちに「魔物の極意」を教える。最初の授業では、“当たり前”に縛られない自分を創ること。人とは違う発想をもつ実践から始まった。教
室にある物で良い点と悪い点の両方を見つけるのだ。物にも良い点悪い点があるのだから、人間の自分にだってある。次にグループに分かれクラスメイトからの自分の良い点を教えてもらう。最後に宿題で、自分の欠点を考えてくることになった。
2日目。閣下から貰った“魔物になるマント”を自分らしくアレンジし魔物に変身した子どもたち。魔物になる訓練から人間の自分と向き合い、褒めるか叱るかを、発表することになった。子どもたちは、自分をどんな言葉で褒めたり叱ったりするだろうか。
この流れ。
やったことをピックアップしてみると
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挨拶は「ごっつあんです」
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グラウンドルール確認 ※5/18追記
「デーモン閣下流 魔物の掟 その1 上下関係や社交辞令に縛られない 魔物の掟 その2 “当たり前”に縛られない 魔物の掟 その3 自分自身をよく知ろう」
(しまっちさんツイートより引用)
↓
最近腹が立ったもの・ことに対して怒りをぶつける
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身近なものを罵る またはいいところをほめる
↓
グループワーク。仲間から自分のいいところをスケッチブックに書いてもらう
↓
(宿題)家で自分の悪いところを考えてくる
魔物のマントを作ってくる
↓
<暗幕で暗くした「魔界」の教室で>
マントを着て魔物になり、魔物の自分が人間の自分の写真に向かってほめる or 叱る
○決めゼリフ
ほめる時は「魔界へようこそ ハッハッハッ」
叱る時は「お前を蝋人形にしてやる ハッハッハッ」
↓
野方商店街へ(ふだんから小学校とおつきあいあり)
魔物になってやってみたかったことをやる
・グルメレポーター (商店街のスパイシーコロッケ)
・手作りケーキを商店街の人たちに食べてもらう
・自作のオリジナル曲で野外ライブ
↓
魔物のマントを捨てる
↓
「ごっつあんでした」<終了>
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実に見事なワークショップ。これ。すごい。
「ごっつあんです」でこの場を「異空間」にして、怒りをぶつけさせることで徐々にアイスブレイク。いいところもよくないところも「個性」なのだと物を使って感じてもらい、それを自分自身に応用する。日常の中でほめられる経験はおそらく少ない子どもたちに他者視線で「いいところ」を伝えてもらい、欠点は内省してもらう(もしくは両親と一緒に考える)。きちんと配慮して設計されている。
自分へのほめ or 叱りという「儀式」を経ていよいよ魔物になった子どもたちは、商店街の協力を得て「やってみたかったこと」に挑戦。最後に魔物のマントは捨てるけど、きっと彼らは心の中に「魔物スイッチ」を得たことだろう。いつでもそれを発動して「なりたい自分」を試してみることができるのだ。
あと、印象的だったのが、子どもたちを見るデーモン閣下のまなざしの温かさ。不完全燃焼気味の答えが来たとしても、デーモン閣下は「いいんだ、それでいいんだ」というような表情でうんうんと聞いている。初めは「こんなこと言っちゃっていいのかな」とおっかなびっくりだった子どもたちも、「ここではこれがオッケーなんだ」と安心して自分の思ったことを表現するようになっていく。ちゃんと段階を踏んで場づくりをしているところも見ていて感心した。
デーモン閣下の「悪魔」というキャラ設定があってこその内容なので、私たちがそのまま真似してもうまくいかないだろうけど、全体的なデザインの考え方、特に「違う自分になってみる」というのはインプロ的で大人にも応用が効くのではと考えた。どこかで試せると嬉しいのだが。
ちなみに再放送が月曜日の午後0時25分からあるそうなので、今回見逃した方はそちらをどうぞ。
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