「プレイバックシアター」ワークショップ初体験
「自分の仕事を考える3日間」の西村佳哲さんがワークショップやファシリテーションの世界を訪ね歩いて書かれた著書「かかわり方のまなび方」。そちらを読んでいたら、その中にとても興味をひかれるワークショップがあった。
橋本久仁彦さんという方のインタビューで紹介された「プレイバックシアター」。
本の中では
即興の演劇です。「プレイバック(playback)」という言葉のとおり、脚本は一切なしで、テラー(語り手)が口にした話を、目の前で即興で演じるんです。
このワークショップでは参加者はテラーにもなれば、演じる側にもなります。個人的な出来事を何か一つ語る。そしてそれが、目の前で他人によって演じられる。この過程を通じて、テラーは自分の心や気持ちのあり様から少し距離をとって自己認識を深めることになる。また自分の「生きたい」というビジョンがエネルギーを得て、その実現が促進されます。
と紹介されていて、実際に橋本さんがオーストラリアで初めて体験したプレイバックシアターの様子が語られていた。初めてなのにいきなり主役に指名され、言葉はわからないけど即興で周りに合わせながら動いていたら、テラーが感激して彼を抱きしめてきた、というエピソードにとてつもない魅力を感じた。
以前カウンセリングを受けていた時に、サイコドラマをやってそれがとても心に響いて、自分の考え方や行動を少しずつ変えていくきっかけになったことがあったので、演劇の中で表現される物語性の持つパワーの大きさは実感している。だからこそその情景が生き生きと想像されて、非常に興味を持った。
こういう時は縁が重なるもので、たまたま検索して調べていたら「プレイバックシアター・らしんばん」というNPOのサイトを見つけ、そこで直近で「よりみちプレイバック」という平日夜2時間のワークショップが開催されることがわかった。こういう流れには基本的に乗ることにしているので、早速申し込んでみた。
当日集まったのは私を入れて4名。一人はコンダクター(主催者)、あと二人も常連らしく、まったくの初心者は私一人。とは言え一人で初めてのワークショップに参加するのは慣れているので、微妙に緊張しつつスタート。
会場はテーブルをよけて椅子だけになっており、ホワイトボードにはたくさんのカラフルな布がかけられている。さまざまな打楽器も。
概ねこんなメニューで進んでいった。
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・自己紹介(呼ばれたいニックネーム、なぜここに来たか、今の気分)
・マッピング(体調と気持ちの高低、演技経験と話を聞く度合の高低)
・ウォームアップ(この日は参加者の一人が気功を伝授)
・エクササイズ(1)
神様がたくさん時間をくれたらどこに行きたいか→東西南北でマッピング
「そこはどんな場所か。誰と何をしているか。どんな香りがするか。そこでお土産をひとつ買うとしたら何か」
をイメージし、布でそれを表現して説明する
・エクササイズ(2)
話し役、聞き役、見守り役に分担
自分が今大切にしている「宝物」を思い浮かべて、それについて話す
聞き役は話を聞いたあと、布を身につけてその「宝物」になったつもりで話し役に話す。
少々会話。最後に一言ずつ言葉を交わして元に戻る。
<休憩>
・プレイバック
テラー1人、アクター2人、コンダクター兼ミュージシャン1名
テラーのストーリーの題名を聞く→テラーは自分の役を誰にやってもらうか指名する→テラー話す→話が終わったらアクターはテラーのストーリーを即興で再現→終了後感想のシェア
・全体の感想シェア
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感想としては、
・演じる方に関心が向いていたが、自分が聞いてもらう場としてものすごく機能していると感じた。自分の心が動かされた体験を全身で聞いてもらい、それを他の人の解釈で目の前で再現されるというのがこんなに気持ちいいものだとは。やってみて初めて気付いた。
・「大切なものを紹介する」ワークは、物だけの話ではなくてその人の生きざまや価値観などさまざまなストーリーが乗ってきてとても面白かった。(私は物からの語りがうれしくて涙が出てきてしまった)
・今回は短時間でお試し編になってしまったが、もう少し長い時間で、多い人数でのものも試してみたいと思った。
頭で考えて文章で書くだけでない表現は、様々な刺激で自分の思考を広げてくれる。そんなことを体で実感した2時間だった。
- 作者: 西村佳哲
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2011/02/12
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