その「腕まくり」はいらない

日経ビジネスアソシエに連載されているマックス桐島さんのコラムから。
最新号に載っていたのは「イケてる大人は『腕まくり』をしない」という秀逸な題名だった。

「中年男女はすぐ□□したがる」
(中略)
実はこの□□にもっともふさわしいのは、相手の真意を理解できず、やたらと助言、意見、批判、そして解決法を諭す姿勢ではないでしょうか。気合を入れるときはもちろん、大掃除や助っ人をする際にもよくやる「腕まくり」。中年男女はすぐこれをしたがるのです。

「じゃ、こうすれば・・・」という物言いは、腕まくりに発する「求められていない助言」以外の何者でもありません。しかし、人生経験や成功秘話、失敗談が増加するにつれ、この「聞かれもしないアドバイス」が飛び出す頻度は増してきます。

問題処理の手段は、男女で異なるばかりか、若者世代と中年世代でも違います。臨床医学のように、過去の例や自分の経験だけに基づいた助言は、今の時代背景、問題発生の状況、そして、問題を処理しようとしている主人公の心情にそぐわないものかもしれないのです。

キャリアカウンセラーでもよく見かけるこの「腕まくり」。クレームの中ではこの種のものがかなり多いように感じる。クライアントの話をろくに聞かず、求めてもいない助言ばかり言われて辟易するというもの。カウンセラー側は何とか役に立とうと一生懸命なのだろうが、これでは「傾聴」なんてほど遠い姿勢だ。

とは言え気を抜くとついやってしまいがちになり、他人事ではない。それほどまでに人は「語りたい」なのだろう。
何か話す方に注意が多く向きそうになったら「腕まくりしてない?」と自分を問い直すことにしよう。