秋田連続児童殺傷事件の背景のもうひとつの見方

毎日新聞サイト掲載の精神科医斎藤学氏のコラムより。
殺す母と悩む母(Mainichi interactive:2006/10/05)

 この事件の場合、警察が事故と判断した娘の死に関して容疑者が「人手が絡んでいる」と言いはってビラまきまでしたり、マスコミの取材を受け続けたり、ついには他人の子を殺めるまでに至ったことが奇怪とされているのだが、ここに述べたような空虚感にとらわれた弱い母親に見られる代理ミュンヒハウゼン症候群の亜型とみなせば説明可能である。

 普通は我が子にけがを負わせたり、発熱その他の身体症状を起させたり(医療従事者なら可能だ)して救急車で病院を訪れ、大事な我が子が死に瀕(ひん)している「悲劇の女性」を演じ、医療関係者の注目と同情を集める。これと似たことを極端な状況のもとに行なったのが鈴香容疑者ではないか。このような女性たちは、社会の辺縁にいて人々に無視されていると思いこんでいるおり、その分だけ人々の注目を必要としているのだ。

容疑者が本当に殺害したかどうかはまだ結論は出ていないので犯人として断定するのはどうかと思いつつ、「代理ミュンヒハウゼン症候群」という見方は非常に納得観があったのも事実。
となるとこれも児童相談所の責任が問われる案件のひとつであろう。果たして全国の児童相談所は人手が足りているのだろうか。