結婚できない男たちは戦後日本が作り上げた“会社ロボット”か

現在発売中のPRESIDENT2006.8.14日号掲載のスペシャル・レポート「徹底解剖!結婚できない男たち」より。

ここで言ってる「結婚できない男たち」は、最近クローズアップされている経済的理由で結婚しない人たちのことではない。25〜34歳で年収700万〜999万の範囲にエアポケットのようになっている「未婚ゾーン」があることを記事では指摘、この高学歴・高収入エリアの人たちがなぜ結婚しないのか、というPRESIDENT好みの切り口になっている。
現在視聴率好調な阿部ちゃん主演のドラマ「結婚できない男」のこと、数名へのインタビューや結婚相談所潜入ルポ、花婿学校体験談等を合わせて論考している。

印象に残った部分を少々ピックアップ。

金融マン(33歳)、フリーデザイナー(36歳)、ベンチャー経営者(39歳)へのインタビューを受けてのまとめより。

三者とも、結婚より仕事を優先させる。結婚・子育てを機に減速すれば、降格や、事業失速の憂き目に遭うのではないかと不安を感じている。二十代でバブルの凋落を経験し、就職氷河期や「山一ショック」を体験した三十代は、概して先行き不安が強い。それが“守り”や“現状維持”へと向かわせるのかもしれない。

二十代女性との結婚を望む男性たちについて。

ある大手結婚紹介所では、二十代女性との結婚を望む三十〜四十代の男性層が顕著だ。未婚女性は三十歳を過ぎると自らの“商品価値”が下がることをある程度自覚するが、男性は年齢を重ねても“年収”が上がれば、商品価値も上がるものと考えるようだ。
だが10歳以上年下の女性と結婚できる確率はわずか3.8%(97年第十一回出生動向基本調査)。自分の商品達を客観的に見直さなければいつまでたっても結婚できない。

結婚相談所に潜入した女性のルポでの言葉。

相談所の印象は、「結婚できなかった男」と「結婚しなかった女」が多いということ。とくに三十代半ばの男性になると「なんとなく結婚できない理由がわかる男」の率が高くなる。手遅れになる前に例えは二十代のうちに登録し、異性と一対一で話す経験を積むことの意味は大きい。わが子の結婚が心配なら両親から勧めてみるのもいいかもしれない。

ちなみにこのルポの中でデートで引いてしまった相手の外見としては

  • 31歳公務員。アキバ系。シャツをジーンズに入れ、しっかりベルトを締めている。ベルトの位置が異様に高い。靴はもちろんスニーカー。
  • 36歳営業。ちょっと汚れたリストバンド。

とのことなので、このあたりは「他人の眼を意識する」ことで改善できる範囲ではないだろうか。「電車男」だってがんばったじゃないか。

タイトルの「結婚できない男たちは戦後日本が作り上げた“会社ロボット”」は、日本青年館結婚紹介所の坂本所長の言葉。25年以上に渡って結婚事情を見てきた方の実感からの言葉だろう。

もちろん結婚はあくまでライフスタイルの選択肢のひとつであり、個人の自由だと思う。問題は「いつかは結婚するつもり」「結婚したいけど」と言いながらなかなか事態を打開できないでいる人たち。身の回りの「いい人だし、本人も縁があれば結婚したいんだけど、まだ独身」の四十代男性たちを眺めながら、記事の小見出しにもあるが、結局「自分を変えられる男が最後に勝つ」のだとつくづく思う。