アサーティブに伝える基本は「事実」「感情」「要求」「結果」の順で

日経ビジネスアソシエで始まった連載「話し合える人間関係を作るアサーティブトレーニング」第二回より。(2006.07.18号掲載)

「率直に頼む」というのは、言いたいことをそのまま相手にぶつけることではない。「自分の『気持ち』と『要求』を相手に伝わるように『言葉で』伝えることである」とセミナー講師の森田汐生さんは語る。

アサーティブに伝える際の基本として、まず伝えたいことの整理から始める。「事実」「感情」「要求」「結果」の4つだ。
例えば、報告書の提出期限を守らない部下がいたとする。そんな時、私たちはつい、「早く出してほしい」という「要求」を先に言ってしまいがちだ。初めに「事実」を述べる。その際には、客観的、具体的、簡潔に述べること。

「簡潔に」というところが初めはなかなか難しいだろうが、ここがポイント。

(中略)次に、「感情」を表現する。すぐに「要求」を伝えるよりも、自分の気持ちを伝えた方が相手は納得しやすい。相手の態度や言葉に対して、自分がどう思っているのかを率直に伝える。この時、相手のせいにして責めないこと。「自分の感情」は自分のものである。「あなたのせいでイライラする」「君がダメだから」ではなく、「私が困っている」と自分を主語にして話す。

いわゆる「I(アイ)メッセージ」の法則。自分と相手を尊重したコミュニケーションの定番手法だ。

(中略)それから、「要求」を伝える。相手に望む変化を具体的、現実的にリクエストするのがポイントだ。性格を変えろとか、過去に起きたことを蒸し返して変えろなどと「要求」しない。言っているうちにあれもこれもと注文をつけたくなるが、「要求」は1度に1つが原則だ。

過去を蒸し返して責める、というのはありがちだ。それがお互いの心理的距離をますます大きくしていくと言える。

(中略)最後に「結果」を伝える。「要求」の結果、自分の気持ちや相手との関係がどうなるのかについて、簡単に伝えておく。「そうしてくれるとうれしい」「全体の仕事がはかどる」といったように締めくくる。

掲載誌ではこのあと「対部下:聞かなくても報告してほしい」「対後輩:更衣室に生ゴミを捨てないで」といったテーマでロールプレイングが行われた様子が紹介されている。

日常自分がやりがちだと思ったのは「笑顔を見せながら注意するのはダブルメッセージになり、伝わりにくい」という点。真剣な表情で話した方が説得力があるとのこと。たしかに。