アメリカの高出生率を実現しているのは「核家族イデオロギー」と「働き方」

タイトルは、最近の少子化に関するブログ記事で、まずこれを読み

出生率向上は米国にも学んだら極東ブログ:2006/06/04)

次にこれを読んで

アメリカ人の育て方3 - 親に甘〜いアメリカは高出生率(Tech Mom from Silicon Valley:2006/06/05)

思い出した5月20日JMMの冷泉さん(作家・米ラトガース大学講師)の寄稿から。

かいつまんで紹介すると

・「核家族イデオロギー」は教育システムに組み込まれている。たとえば青春映画でおなじみの「プロム」という高校の卒業パーティーの文化は、男女の交際というのは社会的に「善」であるという強いメッセージを持っていて、「将来の出生率」に影響を持つ。
・「現在の出生率」を後押しする教育上の制度としては、学童保育やベビーシッターの普及があげられる。
・「働き方」は、基本的に30代から40代の人間は、男も女も「子育て」をしているということが前提になって社会が成り立っていると言える。
・夕方の帰宅時間を早めている企業の人事制度上の特徴は、管理職のフレキシブルな出退勤管理(成果至上主義が徹底している)ことと、非管理職イコール「残業手当のつく人」は残業をしないしさせないという暗黙の労使慣行。
・社会全体に「仕事より家庭が優先」という文化が一種のタテマエになっている

ということが書いてある。
ただしアメリカも今後についての楽観は難しいというのが冷泉氏の見方で、グローバル化による労働の二極分化、つまり高付加価値労働に従事する人は忙しすぎる、中付加価値労働の方は賃金が低下する、ということで両側から社会を少子化へと圧迫しているという動きからは逃れられないだろう、とまとめられている。
このあたりは今の日本でも起きていることとして実感を持って受けとめられるだろう。

少子化について語る方々は、id:michikaifuさんが別エントリで書かれているこの言葉をしっかり旨に刻みつけてほしいと思う。

とりあえず現実を語ってみたワケだが、そのココロは、「ファストフードは悪。終わり。」「女性の高学歴化が少子化の原因(=で、生まない女が悪)。終わり。」「対策は保育園増設(=で、そこに子供を収容隔離せよ。自分たちは赤ん坊のうんちに触りたくない。)終わり。」というふうに、思考停止してほしくないな〜、ということだ。特に、マスコミが。