男性の家庭責任分担が国全体の高い生産性を生む

日経ビジネスアソシエ2006.06.20号掲載のパク・ジョアン・スックチャさんのコラム「女性管理職が多い国では男性の家庭参加度合いも高い」より。

日本では男性が長時間労働をしているため家庭責任を果たせない。そのため、女性に多大な家事育児負荷がかかり、それが女性の仕事での能力発揮の大きな弊害となっている。

ところで、「仕事のために」と言い、家庭責任を放棄して働いている日本男性の仕事の成果はどうなのだろう。IMD国際競争力ランキング(2005年)での日本の順位は21位。また、労働生産性は主要先進7カ国中何と最下位だ。

注目すべき点は北欧諸国や米国など、ランキング上位の国々では、男性の家庭進出度が高く、さらに女性活用度が低い国は一つもないこと。つまり男性が家庭責任を分担する国では、女性が仕事での能力を最大限発揮でき、それが国全体の高い生産性と国際競争力にもつながっている。

ここで使われているデータの一部は実は以前このブログでもご紹介したものだ。

2005/09/30
少子化と男女共同参画に関する社会環境の国際比較報告書( 男女共同参画会議 少子化と男女共同参画に関する専門調査会)

2005/12/12
日本の労働生産性、OECD加盟国30カ国中19位(社会経済生産性本部)

ただ、これらを横串通しで読み取るという発想はその時の私にはなかった。コロンブスの卵というと大げさかもしれないが、「その手があったか」と。
ここから見えてくるのは、理屈で考えればごく当たり前の話だが、問題はそうじゃない日本の現状と、どうしたらみんながハッピーに働き、産み(もしくは産まず)、満足感のある人生を送る環境が作れるかということ。

アソシエの同じ号に特別対談としてパク・ジョアン・スックチャさんと原田隆史さんの対談が掲載されている。その中でパク・ジョアン・スックチャさんはこのようにも言っている。

成熟経済では付加価値を生むためには単に長く働くのではなくて、質を高める方法を考える必要が出てくる。米国や北欧はこの変化に対応したと私は思います。
「考える仕事」をする人は自分自身について満足している状態の時、一番生産性が高くなる。想像してみてください。仕事のためにアイデアを出したり考えをまとめなくてはいけない時「子供が学校に行きたくないと言っていて困ったな」みたいなことが気になっていたら集中できない。決断を下す場合でも自分自身がベストな状態でいることが大切です。
だから社員の満足度が上がることで企業の業績も上がるという発想になります。

「どう生きるかを選べるのは、先進国に生まれた特権。せっかく日本で暮らしているのだから、主体的にどう生きるか考えてほしい」とも。まったく同意。