PRESIDENTに続々登場するネットな方々

仕事柄キャリア研修のネタを求めて、おじ様ミドル&シニア層向け(?)雑誌「PRESIDENT」をもう4年近く定期購読しているのだが、そこに登場する人物に地殻変動が起き始めているようだ。

2006.3.20号の特集・考え方革命の「これが賢人の『正解を導くセオリー』だ」というインタビュー集ではてな近藤さん。と言うか、表紙に資生堂の前田社長と大前研一氏の間にはさまれて写真が載っている時点ですでにすごいことになっているのだが、「賢人の〜」の他のラインアップも資生堂前田社長、ワールド寺井社長、りそなHD細矢会長、ホンダ福井社長というメンバー。一人でTシャツにジーンズで出ているのもなんだかすごい。

インタビューの小見出しは「50%ルール ユーザーの脳を無償で使える」。

本文の他に、全員への共通の質問が掲載されていて、近藤さんはこのように回答されていた。

1.考えるときのバイブル
→自分の頭

2.知の巨人と言えば
→批評家の東浩紀

3.考え事がはかどる場所
→布団の中と乗り物の中

4.考え事がはかどる時間
→朝と移動中

5.煮詰まったときの気分転換
→散歩

内容としては、日経ビジネスEXPRESSでのインタビューにかなり近いが、PRESIDENTの読者層にはかなりびっくりな内容ばかりだろう。「会議は録音して公開する」「ボーナス査定の全員相互評価」「新サービスは50%完成したところでリリース」なんて、普通のマネジメントの常識ではまず「ありえない」はず。これを読んだ方がITベンチャー会社イコールライブドアなんていう思い込みを覆してくれるといいのだが。

それから、梅田望夫さん。ご本人のブログにも書かれていたが、同じ号の「本の時間」というコーナーに梅田さんのインタビューも掲載。本人のエントリを読むと、この記事はとてもお気に入りの様子。これを読んで本屋さんに行った管理職さんたちも多いだろう。
本人もエントリで書かれていたが、「それを考えるだけで面白くて、ここ三年、四年はほかのことはあまりしないでずっと考え続けてきた」と言う文章は他のインタビューではあまり見かけないもので、だからこそ彼はCNETのブログであれだけ書き続け、そしてあの「ウェブ進化論」なんて本も書けたのだな、と納得。考えて書いて、その反応にまた考えて書いてを繰り返した集大成なのだろう。

ちなみにこの号には本田由紀さん達の「ニートって言うな!」も「新刊紹介」で掲載されている。

そして今週発売の2006.4.17号には、97ページでシックス・アパートの「ブログ神平田さん登場。「『ビジネスの10大潮流』をどう予測するか」という特集記事で、平田さんは「インターネット」で写真入り登場。書かれているのはロングテールの話。
また、予測で重視していることとして長期トレンドと自分でプロトタイピングすることを挙げている。「アラン・ケイという人は『未来を予測する最良の方法は自分で作ることだ』と言いました」という言葉は、目次前にその号のトピック的発言がピックアップされている「プレジデント言行録」というページにも取り上げられている。
さらに、ネット世界に関してこんな発言も。

「僕が強く感じているのは、情報の透明性がより重視される『嘘がつけない世界』。ネットにこれだけ情報が流れていると、自分一人が嘘をついてもすぐバレてしまう上、社会的なペナルティも大きい。
逆にネット上では良い行動をどれだけ繰り返したかで、その人の価値が決定され
ることが研究で明らかにされています。つまり嘘をつけない一方で、良い行動の積み上げが非常に重要な世界が目前に来ている。そして、ブログはその方向にとてもフィットした道具だと思います。」

まあ梅田さんは年齢的にも職業的にも不思議はないとして、近藤さんや平田さんまで登場してくると、リアル世界もネット世界を少しずつではあるけれど無視できなくなってきたのかなあ、と思う次第。