東大MOOC「インタラクティブ・ティーチング」week3「学習の科学」メモ

インタラクティブティーチング」ようやくweek3に追いつきました。(でももう既にweek4が始まっていますが…)

week3のテーマは「学習の科学」です。

以下、まず気になったポイントと感想を。
●モチベーションについて、学習行動に焦点を当ててシンプルに構造的に説明されているのでスムーズに理解できた。

●「やる気」を「行動」に移す鍵となる要素のひとつが「結果予期」と「効力予期」であるとしたら、どうやればこのふたつを高められるか、自身でコントロールできるかがポイントになりそう。また「環境」を整えることも大事だと思うので、このあたりのポイントを研修でアクションプランを実行に移すための方策を考えてもらうときのヒントとして活用してみたい。

●特に「効力予期」あたりはバンデューラの「自己効力感」の研究が基本になっていると思われるため、参考として関連文献などに目を通しておかれるといいと思う。

cf.自己効力感とは
http://www.chs.nihon-u.ac.jp/pe_dpt/mizuochi/sposin-e/kojin/shin/1page/1.html

●熟達のところで、「専門家は細かいスキルに刻むのが苦手な人が多い」とあったが、まさにその通り。わかる人にはわからない人の気持ちがわからない。これは職場でも「仕事ができる人にはできない人の気持ちがわからない」という同様の現象が起きて、できるリーダー/マネージャーが部下を潰しそうになることがあるのを思いだした。

●フィードバックのところが若干薄いような気もしたが、教室での授業前提ということを考えるとこのボリュームでもやむなし、といったところか。
企業人にはDHBR(DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー)のこのあたりの記事が参考になるかもしれない。

フィードバックをうまく機能させる4つの要締

フィードバックにつきまとう「5つの脅威」を和らげる方法

●スキル編、今回もとても実用的な内容。「教員はアナウンサーなどのプロではない」「「正しい話し方」「美しい話し方」ではなくて「伝わる話し方」を目指す」「・前に飛ばすこと ・沈黙を恐れず間を取ること ・口を縦に大きくあけること」など、すぐに実践できそう。

●ストーリー編、今回は熱いお二人の取り合わせ。
渋谷先生の「一歩ずつ一歩ずつ」へのこだわりは医療という責任ある立場におられる方ならではのものかもしれないとも感じた。学生を巻き込んでコンテンツの質を高めていくというのもすばらしい。

●上田先生のお話は「パッション」という精神論的な部分と「理論/学問との接続」というロジカルな話がきれいに結びついていて、とても納得感の高いものだった。

●「活動→モデル化・抽象化→応用」をしていれば「社会に行ったときにどんな分野でも役に立つ」というのは、昨今よく言われる「大学教育が何の役に立つのか」という疑問への回答のひとつになっていると思った。

●上田先生のインタビューの中で中原先生が紹介されていた学芸大・高尾先生の『Give your partner a good time』という言葉はとても印象的だった。

●余談かつ勝手な想像だが、上田先生のお話は相当編集されているのではないかと思う。もしそうだったら、カットされたところを番外編としてどこかで公開していただけるとうれしいなあと上田先生ファンとしては思ったり。

●次回Week4は「90分の授業をデザインしよう」です。

以下動画を見ながら取ったメモです。(単なる羅列で長いです。すみません)

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◆Week3 学習の科学
3-1. イントロ

3-2. ナレッジ(1)モチベーション(1)

目的
学びの促進に関わる「モチベーション」「熟達」「練習とフィードバック」について理解する

到達目標
1) モチベーションの維持・歓喜の鍵となる「価値」「予期」「環境」のそれぞれについて説明できる
2) 学生の熟達およびその支援方法について説明できる
3) 効果的な練習とフィードバックについて説明できる

1.モチベーションとは

望ましい状態や結果に達するために人が行う個人的な投資(Maehr & Meyer, 1997)

学生が行う学習行為の方向・強度・持続性・質に影響をおよぼす

モチベーション理解の枠組み

目標の主観的価値
予期
環境

予期→
モチベーション → 目標に向かう行動 → 学習と成果
価値→
環境

(Ambrose et al, 2010 改変)

目標の主観的価値
その人にとって その目標がどう重要であるか?

Q どのような価値を示してあげられるか? ex.自転車に乗る

達成価値 Attainment Value
目標やタスクの習得及び達成

内発的価値 Intrinsic Value
タスクを行うことそのもの

道具的価値 Instrumental Value
他の重要な目標を達成するためにこの目標やタスクが役立つか

まとめ:
モチベーションは学びのカギ
モチベーションを高める要因のひとつである「目標の主観的価値」には
達成価値
内発的価値
道具的価値

がある

参考
Understanding Motivation and Schooling: Where We've Been, Where We Are, and Where We Need to Go
Maehr, Martin L.; Meyer, Heather A.
1997-12
http://deepblue.lib.umich.edu/handle/2027.42/44456


3-3. ナレッジ(2)モチベーション(2)

予期
目標や結果に対して、「自分は達成できるか」という自分なりの予測

Q. 高い予期を持ってもらうためにどのようなことをしてあげられるか?

ポジティブな結果予期
特定の行動が望ましい結果をもたらす

効力予期 cf,バンデューラ
自分は望ましい結果に向かって行動できる
→この信念を持てるかどうか

環境
協力的環境であると感じられることにより、価値・予期との相互作用によってモチベーションが強化される

Q. 協力的環境としてどのようなことが考えられるか?
仲間 熱心さ

3.教授者にできること

学生が高い価値を見出せるよう、目標や活動を定め、示す

・学生の予期を高める
・モチベーションを支える協力的な環境をつくり出す

教授者によるサポート

参考
効力予期
http://www.chs.nihon-u.ac.jp/pe_dpt/mizuochi/sposin-e/kojin/shin/1page/1.html


3-4. ナレッジ(3)熟達への道

1)熟達する

特定の分野における高度な能力の獲得

部分の各スキルの獲得

スキルを統合する

スキルを適時に使える

専門家の盲点

無意識的無能 → 意識的無能 → 意識的有能 → 無意識的有能
↑ ↑
受講している学生 熟達者

(Ambrose et al, 2010 改変)

専門家は細かいスキルに刻むのが苦手

教授者にできること

部分スキル獲得→部分スキルの特定 部分的スキル獲得の練習デザイン/実施
スキル統合 →スキル統合の練習デザイン/実施
適時に使える →多様なコンテクストの提示によるスキル応用の促進

3-5. ナレッジ(4)練習とフィードバック

Q. ある知識やスキルの習得の場面において効果のあがった練習

効果的な練習とは
・具体的な目標設定
・適切なレベルのチャレンジ
・十分な練習量(時間/メニュー)

効果的なフィードバックとは

フィードバック
ある行動について与えられるその現状および将来の指針となる情報

Q. 役に立ったフィードバックは?


効果の高いフィードバック
・学生を学習させたい重要な知識スキルに集中させる 的を絞って
・学生がフィードバックを活用する可能性が最も高いタイミングと頻度で与える 早い/多いほどいい
・フィードバックに続く練習の機会と連動させる

注意点
タイミング
一般に早いほど良い 一般に頻繁であるほど良い

が、学習を妨げないフィードバックのタイプと頻度は目標による

3-6. ナレッジ(5)ディスカッション:部分スキルへの分解

目標
大きなスキルを部分スキルに分解することが出来る

課題 手続き
・小さい子に自転車の乗り方を教える
・「不自由無く乗れる」までを部分的なスキルに細かく分解してふせんに書く
ex. またいでサドルに腰掛ける
・全体で一枚の紙にまとめる


ひとつの目標に対して刻んだスキルをデザインしていく

3-7. 振り返り

3-8. スキル:導入編2:伝わる喋り方

声について

多くの人の悩みのポイント
・発声の問題
・滑舌の問題

教員はアナウンサーなどのプロではない

「正しい話し方」「美しい話し方」ではなくて「伝わる話し方」を目指す

伝わる→「伝わっているかどうか」相手の反応を見る

伝わっていなければもう一度丁寧に話す

話すこと 書くこと この違い

声を飛ばす方向性をつける

発声と発想はつながっている

間を取る(相手の反応を待つ)

早口問題→口をなるべく縦に大きくあける

ポイントまとめ
・前に飛ばすこと
・沈黙を恐れず間を取ること
・口を縦に大きくあけること


3-9. ストーリー(1)栄養学を教える−一歩一歩学びをつくる

女子栄養短期大学
渋谷まさと先生
http://www.eiyo.ac.jp/teachers/teacher.php?teacher_id=64

渋谷先生が映像の中でお使いになっているスライドとそれをもとにした教材の一部
http://physiology1.org/doc/chapter.php?Id=1072


生理学
人のからだが正しく動いている
医療における基礎分野

栄養士の養成学校

解剖生理学

なるべくかみ砕く
イメージをそのまま学生さんに伝える

授業 1回50人
「一歩ずつ一歩ずつ」

生命科学教育シェアリンググループ
教員として私が知っていることを教育の現場にシェア
学生さんの意見 疑問 感想
君がひっかかったことに後輩がつまづかないようにできるためにはどうしようか 一緒にやろう

「私は1メートルの階段を100段にして細かく切っていって誰もがつまづかないで登っていけるようにしたい」

授業の途中で学生同士教えあい→「先生ごっこ
しゃべるのは楽しい
何となくわかった→さらに深く自分はわかった になってほしい

クイズ解こう
とにかくみんな忙しい時間

コンテンツはしっかり作ってあって教え合う→うまくブレンド(中原先生コメント)

初学者が入っていく入りやすさ
お膳立てができたアクティブ・ラーニング

生命科学わかる 面白いじゃん

最初はクイズをたくさん作った

このクイズが解けるためにはどう理解してくれたら解けるのか 印象に残るのか

★受講者へメッセージ
教育ってある意味おもてなし
なるべく分かりやすく伝えたい


3-10. ストーリー(2)学びの転換−プロジェクト・ベースト・ラーニングからパッション・ベースト・ラーニングへ

同志社女子大学現代社会学部現代こども学科
上田信行 教授

project based learning や service learning と言われる授業を上田先生はどのようにやっていらっしゃいますか(中原先生)

パッションを大事にする

「プレイフル・ラーニング」
真剣に何かに情熱を持って取り組むということ それが楽しくて仕方ない

情熱が大事と大学で習っても実際に情熱を持ってやれるかは大分距離がある

経験をしてその経験についてグループでディスカッション
経験について考えることがあって初めて学びって成立する

体験をどう意味づけていくかっていうことをグループでディスカッション

それが大学の授業や背後にある教育学のセオリーなんかとつながっていく そこが面白い

「イベントができればいい」ではなく一番大事なのは抽象化する能力
つまりモデル化する
(アクティビティの順序 どういう構造になっているか なぜそういう構造を使っているのか それがどういう学びと深い結び付きがあるのか)

たくさんやってもあまり意味がない

活動→モデル化・抽象化→応用
問題として前々違うものをやる

社会に行ったときにどんな分野でも役に立つ

今までは最初に理論、モデル、それから応用問題

いっぱい失敗しながらそれに自分で意味づけていく
自分で意味づけていくだけだったら偏りがあるので、今の先端の教育学の考えがどうだろうか?とかそういうことに結びつけていく
そこが実は大学の授業として一番面白いところ

学生の温度差
最初は嫌でも行く
その中でどこが嫌だとかいってみたら結構面白かったとか

崩壊する寸前→乗り越えるドライブになるのが何のためにやるのかとか価値観
やることに意味があると思った瞬間モチベーションが上がる

今回のプロジェクトに対して自分としてどういう意味づけをできてるかの差だけ

joint attention 共同注視
みんなで見るとみんな前を向いてるから横が気にならない

ステージを自分で設定
最初は人が用意してくれたステージ
今度は自分でステージ「こういうことさせてください」
上げていくとオーディエンス多様
オーディエンスに合わせてこの人たちのためにどんなことができるか→モチベーション上がる

ステージが人を動かす

ラーニング1.0 学校型 先生
ラーニング2.0 アトリエ・工房型 ワークショップ プロジェクト型「みんなでものづくり」
ラーニング3.0 ラーニングするラブ
ラーニングするパフォーマンス オーディエンスに喜んでもらう

人間って自分のためってなかなかがんばれない 誰かのために何かする
喜びの循環モデル

(学芸大)高尾先生の言葉 自分のために何か生み出そうとするとクリエイティビティってなかなか発揮されないけど、誰かを喜ばせるとか誰かのために何かを作ろうっていうふうになると自然とアイデアって生まれてくる。そのテーマが『Give your partner a good time』(中原先生))

★受講者へメッセージ
まず自分が楽しんでほしい
先生自身がパワーを持つ

何かやりたいとすればその憧れの人がいる所に近寄ればいい
その場に行きなさい
そこに行くと何か自分の憧れに手が届く (古典芸能の住み込み弟子入りのような)

フィンランドに行ったときも、今ヨーロッパはPBLって言ってももうパッションですよと言われた

パッションとラブとプレイフルラーニングがあればプロジェクト学習できます!

参考:上田先生インタビュー記事
学びはもっと楽しく、ラディカルに。ワークショップの第一人者が考える「ラーニング3.0」

VALUE VOICE vol.03 Chapter1 同志社女子大学現代社会学部現代こども学科・上田信行 教授

[http://www.jcounselor.net/11interview/archives/2013/03/7914.html:title=第79回目(1/4) 上田 信行 先生 同志社女子大学
教育って、楽しくていいんだ!]

上田先生著書 ※「憧れの最近接領域」について解説されています
「プレイフル・シンキング 仕事を楽しくする思考法」

プレイフル・シンキング

プレイフル・シンキング

プレイフル・ラーニング

プレイフル・ラーニング

東大MOOC「インタラクティブ・ティーチング」week2「アクティブ・ラーニングの技法」メモ

インタラクティブ・ティーチング」ようやくweek2を視聴しました。(確認テストギリギリでした)

week2のテーマは「アクティブ・ラーニングの技法」です。

以下、まず気になったポイントと感想を。

●「Think-Pair-Share」→「ジグソー法」→「ポスターツアー」→「ピア・インストラクション」と順を追ってシンプルな手法から複雑な手法へ進んでレクチャーしてもらえて、わかりやすい構成だと思いました。

●いずれの手法も主として知識提供型の講座を参加型で運営するのに有効だと思いました。企業では新人研修や技術教育などに何かしら応用できそうです。

●ディスカッションの「こんなときどうする」で、グループワークで内職する学生や一人でしゃべり続ける学生への対策を考えるところは興味深かったです。企業研修だと、どういう対応策がありそうでしょうね。

●スキルセッションの姿勢のつくり方(肩、目線、移動の方向づけ、分離礼など)はすぐに自分自身をチェックしたいと思います。

●ストーリーセッションは本田由紀先生と三宅なほみ先生という、豪華メンバーのお二人でした。

本田先生の巻き込み方授業はとてもよく練られたデザインだと思います。文献を読む授業はともすると発表する人だけががんばってあとは頭に残らないということになりがちですが、この手法だと全員が何かの形で「関わって」「考える」ことになり、なおかつ多面的な視点が持てるので、批評的に論文を読む力がつきそうだと思いました。

三宅先生のお話は、とにかくまず全体を通してお話がとてもわかりやすくクリアであることに感動しました。例えもわかりやすく、やわらかくでも熱意を持ってお話しされているのに、ファンが多いのも納得です。もともと認知心理学のフィールドの先生なので、科学的な裏付けを持ってこういった手法を取っていらっしゃることもあり、実際の現場でも実践されているのだろうと思います。

お二方の手法も勉強になり、また教育への考え方もとても刺激になりました。

●次回Week3は「学習の科学」です。

以下動画を見ながら取ったメモです。(単なる羅列で長いです。すみません)

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◆Week 2 アクティブ・ラーニングの技法
2-1. イントロ
目的: 多様なグループワークの方法の特徴を理解し、実施方法を習得する
到達目標: 次の方法の特徴と実施方法を説明できる
(1)Think-Pair-Share
(2)ジグソー法
(3)ポスターツアー
(4)ピア・インストラクション

2-2. ナレッジ(1)Think-Pair-Share

Think-Pair-Shareとは

一人で考える→ペアで考える→共有・議論・意見交換

議論のガイド 流れをつくる→能動的学習

基礎的な方法
ディスカッションを含むワークの基礎

明確な課題設定
モチベーション(レベルに合ったもの)

形態 ペア
時間 5分〜15分くらい
構成 単純
大人数→★★★

2-3. ナレッジ(2)ジグソー法

アロンソン考案
協調学習の支援方略
デザインから「ジグソー」

方法
・教材を分割
・教材を各グループに配布
・このグループ(エキスパートグループ)で理解・分析
・新グループの再構成(ジグソーグループ)
・ジグソーグループでの学習(知識の共有・新たな課題解決)
・全体での共有

※参加者の中で、就活での経験ありという人がいた

特徴
・「自分しか知らない」状況が強制的につくり出され、それをグループで共有
・各グループの学習場面における一人一人の責任感
・「一人一人意見が違う」ことへの許容

議論・コミュニケーションのトレーニン

形態 グループ
時間 45分くらい
構成 複雑
大人数→★

2-4. ナレッジ(3)ポスターツアー

ポスター→大きな紙に学習内容をわかりやすくまとめたもの

スターツアー
ジグソー法的なグループの再編成を行い、ポスターの内容を共有する方法

方法
・課題の用意
・各グループのポスター作成
・ツアーグループの編成(ポスターを回るグループを再編成)
・ツアー開始(自分のポスターに来たら説明)

特徴
・全員がプレゼンテーションの機会がある
・異なるトピックをグループが担当する場合、効率よく知識の習得ができる

形態 グループ
時間 60分くらい
構成 複雑
大人数→★

ジグソー法の応用
作成内容に責任をもったポスターの作成、共有の方法

2-5. ナレッジ(4)ピア・インストラクション

95年から2000年の間に開発
E・マズール(1997) 物理学
大規模講義における学生の議論を組み込んだアクティブラーニング型の授業方法

方法
・予習教材を提示
・予習
・ConcepTest→多肢選択問題への回答(クリッカーを利用)
・それぞれ選択理由について周囲に説明・議論→教えあい
・再度回答
・ConcepTestの本質的な部分について教員より解説

短い講義

ConcepTest
学生投票→正答率30%以下→概念の再確認
→正答率30〜70%→ペア・グループで議論
→正答率70%以上→解説→次のトピック

特徴
・大人数講義でも即時の反応を活用しアクティブ・ラーニングを実現
・理系科目のような知識獲得型にフィット
・「臨時TA」←よくわかる学生の活用
・ConcepTestの質が重要

形態 ペア グループ
時間 〜5分 15分
構成 複雑
大人数→★★★

大人数講義で使えるアクティブ・ラーニングの代表
知識獲得型の科目で活用
ConcepTestの質がカギ
理解のレベルに応じた学び

参考動画
京都大学OCW「「ピア・インストラクション:深い理解を促進する 」エリック・マズール 」
http://ocw.kyoto-u.ac.jp/ja/international-conference/36/video02j

「ピア・インストラクションによる アクティブラーニングの深化」
日時:2012年10月10日(水)
13:30〜17:30(受付開始13:00〜)
場所:京都大学百周年時計台記念館2階 国際交流ホール?
http://www.kansai-fd.org/activities/project/report_20121010.html

2-6. ナレッジ(5)ディスカッション:グループワーク こんなときどうする?

グループワークにおいてし生じうる困ったケースについて

『以下に、アクティブ・ラーニングとしてグループワークを行う際に生じることが予想される問題の例を2つ挙げてあります。これらのうち一つを選び、これらが生じないようにする予防策と、生じた場合の対応策について考えてみましょう。
【トピック】日本の少子化問題の解決法
【設定】6人編成のグループ
(A) 話し合いに加わらず、内職をしている学生がいる。
(B) 一人だけが喋り続け、他の学生が全く発言できない。グループとしての提案はこの学生の意見だけになりそうである。
*【トピック】は変更不可、【設定】は変更可能です。』

予防策と対応策→デザイン

2-7. 振り返り

2-8. スキル:導入編1:空間をつくる

教員も空間と同じように空間を捉える
自分の身体を使ってこの新しい空間作りをしていく

課題:全員が興味を持って共感していただけるような自己紹介

姿勢 ぐっとひっぱって肩を落とす
あごは意識せず目線を意識
目線 端・真ん中・端 の3点
移動 自信を持って方向性をしっかり示す

分離礼→先に挨拶を言い、そのあとでお辞儀する礼の仕方

2-9. ストーリー(1)学生の議論をうながすには?
本田由紀先生(東京大学大学院教育学研究科比較教育社会学コース教授)
http://www.p.u-tokyo.ac.jp/gs/staff

教育社会学概論
80人 教職の必修科目 いろんな学部 多様な学生

毎回2本の文献を指定

「講読票」
キーワード 概要
ポジティブな意見 ネガティブな意見
授業のときのメモ

授業の最初の15分 グループ(4〜5人)での内容を共有
すり合わせ
特にネガティブな意見→何が疑問 批判的に感じたか
チェックする視線 クロスオーバー

歩き回る 2本のマイクを置く

「キーワードどうぞ」と書いてある分だけ言ってもらう
→TAがWordで書き取る
→プロジェクターに映す

概要→意見

教育社会学の扱ういろんなテーマ別に各回設定
2本 概説的なものと実証研究のピンポイント的なもの とか
→両方合わせて読むことで比較が複雑になる

講読票は最低限1枚書いてくる→何か言うものはある状態で出席

グループディスカッション
その場の思いつき、声の大きい人が牛耳るといったことのないように

自分はあらかじめ考えてきて、違う意見が出てきたらぶつけることができる
「自分のもの」っていうのがあった上でのディスカッションをしてほしい

ポジティブでは流す
ネガティブ→もう一本のマイクの人に「論文を書いた人の気持ちになってリプライしてみて」

マイクはランダムに
発言が終わったら前後左右どこかのグループに渡す

着任翌年の2008年ぐらいからこの形態

学生の議論の促進・工夫
寝させてたまるものか
何らか考えてもらう

偶然性を作ってる

発言できないときはパスあり

「教育の職業的意義(レリバンス)」
日本の小中高 教育の職業的意義というものが希薄すぎる

教育に向けての準備がほぼないままに大学教員になる人がこれまで普通であった→大問題

じぶんの歩んできた生涯と、自分の前に座っている学生たちの考え・発想・考え方というものの間のすごいギャップ
どのようにつないでいくか→教える側の責任

単に知識を伝えて分かってもらうことでなく揺るがしたり煽ったりする役割

コアとしての専門的な知識をいろんな社会の現場に落ち着かせてフリンジのところに学生を巻き込んでいくようなそういう大学教育であってほしい

社会に出て学問のコアがどういうふうに関わりを持ちうるのか→職業的レリバンス

どのようにリアルな世界と関わらせて教えることができるか、というところに心を砕いてほしい

2-10. ストーリー(2)協調学習、高校の授業をインタラクティブに!
三宅なほみ先生(東京大学 大学総合教育研究センター 教授)
http://coref.u-tokyo.ac.jp/nmiyake/

主体的なものなんだと学習者を見る

何を学ぼうとして何を分かっていってるかということが見える→それを支援してあげる

協調学習とは
「人が自分で学んだ体験から作っている予測の範囲を他人が経験して知っている事も対話で取り入れて予測の範囲をもっと広くする学び方」

うまくいく場とあんまりうまくいかない場ができてしまう

うまい対話をデザインしてうまく対話が起きるようにファシリテイトできると本人たちがどんどん主体的に学んでいくような授業の場面をデザインできる

大事なこと
1)これに答を出してみたいなっていう問いを共有していること
2)ひとりひとりが知ってることが違うということを認める
みんなの違いを一緒にしたら全員やってることの質が上がるかもしれない

「あいつの言ってることもいいかもしれない」
それを両方組み込んだような表現ができるようになる→かしこくなる

知識構成型ジグソー法
教科書で教えたいことに合わせてそういう対話が起きるように仕組んだ型

例)中2理科
雲はどうやってできるのか?
空気の固まりが上に上がってふくらむ
断熱膨張
飽和水蒸気量

「雲とは科学的に何か、みんなで考えてみよう」
そのとき考えてること書いておいてもらう

「答出したいな」って気になってもらい部品を渡す

「何が書いてあるかわかってね」「適当な答をつくってね」
→私にはこんなこと言いたいことがある

ここまでエキスパート活動(即席エキスパート)

この3人で「3つを組み合わせて答を考えながら「こんなんどうだろうね」って話し合ってみて」→ジグソーグループ

先生のやること
・問いをつくる
・部品をつくる
ファシリテーション

ジグソー→クロストーク グループごとに発表

最後は一人で理解を深める

ひとりひとりが自分の考えてることをはっきり表明してみて「うまく伝わらない おかしいな」って感じながら自分の考えに戻って他の人の考えも受容して新しい答を自分でつくっていく

45〜60分

知識の定着率がすごい

・実践
教育委員会で3〜4日の研修
1日目に体験(理数系、社会系)

・実績
3県
うち埼玉県は189の全県立高校でジグソー法授業を実施 88校で中心的な推進者の教師

19市町

gacco受講者へのメッセージ

・どういう学びを人はするのか
どこを支援してあげたらいい学びが起きるのか自分で考えて目の前にいる人に色々サポートしてみる
人は本来どう学んでいくものかということについてたちの良さそうな本を読む

学習理論を身につけてからじゃないと現場に入れないとあまり思わない方がいい

COREF(大学発教育支援コンソーシアム推進機構)のサイトにたくさん実践例があるのでよかったらご参照ください

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21世紀型スキル: 学びと評価の新たなかたち

21世紀型スキル: 学びと評価の新たなかたち

東大MOOC「インタラクティブ・ティーチング」week1「アクティブ・ラーニングについて知ろう」メモ

東京大学大学総合教育研究センターが提供を始めたMOOC講座「インタラクティブ・ティーチング」。

11月19日から開講されていて、既に第3週講義の配信も始まっていますが、今更とは思いつつ主に自分用の記録として講座メモと感想などを毎週分(全8週)書いていこうと思います。

この講座、何せ講師陣の豪華なこと。

担当教員
栗田佳代子(東京大学・特任准教授)、中原淳東京大学・准教授)

ゲスト講師
佐藤浩章(大阪大学・准教授)、藤田将範・渡辺修也(音楽座ミュージカル)、
入江直樹(東京大学・准教授)、上田信行(同志社女子大学・教授)、
加藤雅則(株式会社アクション・デザイン・代表)、苅谷剛彦(オックスフォード大学・教授)、
菊池省三(全国コミュニケーション教育研究会・会長)、へルマン・ゴチェフスキ(東京大学・准教授)、
斎藤兆史東京大学・教授)、渋谷まさと(女子栄養大学・教授)、
高木晴夫(法政大学・ 教授)、成田秀夫(河合塾教育研究開発本部・開発研究職)、
平岡秀一(東京大学・教授)、本田由紀東京大学・教授)、
三宅なほみ(東京大学・教授)、山内祐平(東京大学・准教授)、
山邉昭則(東京大学・特任講師)、吉見俊哉東京大学・教授)

ってこれどこのオールスターですか、的な。
MOOCは少し試してみたけどどうも続かなかった私も、今回は何とかがんばって修了したいと思うすごさです。
もちろん内容も、「インタラクティブティーチング」というとても興味あるテーマ。そんなわけで受講開始。

講座メモは長くなるので、最初に気になったポイントと感想を。

●第一週のテーマは「アクティブ・ラーニングについて知ろう」。最初に講座全体のオリエンをやり、そのあと本題へ。

●週を構成する「ナレッジセッション」「スキルセッション」「ストーリーセッション」という組み立てはとてもいいと思う。このセッションはなにをするべきなのかが明確になっていて、セッションごとの関連性も取られており、多面的にその週のテーマを学ぶことができる。

●この講座での「アクティブ・ラーニング」の定義は「『能動的な学習』の総称」。企業でやられてる「アクティブ・ラーニング」はもっと狭義な意味で使われていることが多い気がする。どちらかというとPBL(project based learning)のような。

●アクティブ・ラーニング型授業は文系より理系の方が取り組みが多い、というのは少々意外だった。ゼミならば討議型にしやすいけど、そうでないベーシックな知識伝達の講座だと難しいというのはあるかもしれない。あと教員のスキルの問題とか。

●「アクティブ・ラーニングは単体の講座をいじればいいというものではなく、授業全体のデザインが必要」というのもその通り。「アドミッションポリシー(入学)」と「ディプロマポリシー(学位授与)」の間でどう考えるのか、という大学全体の方針があっての話なのだろう、本来は。

●スキルセッションで講師が「この場を絶対に成立させるんだという覚悟」が必要、と言う話をされていたが、これもまったく同感。

●ストーリーセッションでKBSの高木先生が「何かを教えてくれると思ってる人達に手前の準備で手を挙げたくなるよう持っていく」とおっしゃっていたのがとても印象的だった。いくらMBAを目指すようなモチベーションの高い人達でも、「議論」をするというのはなかなかハードルの高いことなのだ。能動的な学びには仕込みがとても大事。

●同じく高木先生が「引いてた人が乗り出してきた時、そのタイミングを見逃さない」と話されていたのも印象的だった。そういった様々なやり方はハーバードの「ケースメソッドをケースメソッドで学ぶ『ディスカッションリーダーシップセミナー』」で学ばれたとのこと。

●もうひとつ、高木先生。「立場上自分の研究と直結してはいないけれども教育の責任をはたさねばいけない。研究者として必要な書物、教科書、関連する参考図書は学生よりももっと読まないといけない」という言葉も。大学(院)の先生はこういう心構えで学生に接されているのだと、あらためて在学時の先生に感謝。

●確認テストは11/30〆切。(提出済ですのでご安心を)

●動画それぞれにスレッド(と言うのだろうか)が立てられるようになっていて、感想や疑問点を書き込んでいる方が既にいらした。gaccoの講座は掲示板のディスカッションが活発と聞いていたが、本当にそうなのだと実感。既にいくつか受けられて慣れていらっしゃる方も多いのかもしれない。

●week2のテーマは「アクティブ・ラーニングの技法」。

以下動画を見ながら取ったメモ。

                                  • -

担当教員
栗田佳代子(東京大学・特任准教授)、中原淳東京大学・准教授)

◆コンセプト
これから教える 今教えている「学びの場」を変えたいすべての人へ

◆セッション構成
ナレッジセッション
スキルセッション
ストーリーセッション

◆Week 1 アクティブ・ラーニングについて知ろう

目的・内容・評価

ナレッジセッション

コース シラバス
クラス クラスデザイン
内容 アクティブラーニング
評価 評価

学生の理解 学習の科学
教員 キャリアパス


スキル 話し方 巻き込み方 振る舞い方

ストーリー いろんな先生方の教育観

アクティブ・ラーニングとは
「能動的な学習」の総称

1.アクティブ・ラーニングの現状

◎偏差値に代わる大学選びの指標

大学卒業時に期待される社会的要請
・社会人基礎力
ジェネリックスキル

◎アクティブ・ラーニング型授業
文系より理系の方が取り組みが多い

◎効果・現状
立教大学BLP(ビジネスリーダーシッププログラム)
1年前期〜3年前期
前半 プロジェクト型授業
後半 スキル習得

授業全体のデザインが必要

ディプロマポリシー
アドミッションポリシー

2.アクティブ・ラーニングの選択

形態 一人,ペア,グループ、全体
時間 〜5分、15分、30分、60分以上
構成 単純・複雑
大人数講義への対応

ex.ミニッツ・ペーパー

3.アクティブ・ラーニング化

特別なものでなく、いつもの教授内容へのちょっとした工夫そのもの

「(一方向)講義」「実演」「実習」

「豆腐のさいの目切り」

学習の定着のしやすさ Learning Pyramid (National Training Laboratory)

Lecture
Reading
Audio Visual
Demonstration
Discussion Group
practice by Doing
Teach Others/ Immediate Use

アクティブ・ラーニングはちょっとした工夫で実現できる

4. 自己紹介

・あいさつ
・名前
・専門領域
・ストレス解消に行うこと

役割
・学生と教員 お互いの不安を取り除く
・コースに対する学生の期待を高める
・協力的な環境をつくり出す

5. スキルの哲学
肝心なものは目に見えない

音楽座ミュージカル 表現力ワークショップ

この場を絶対に成立させるんだという覚悟

(1) 実際にやっていただく
「できない」体験からのフィードバック

(2) 実演を見る

(3) 質問、回答

6. ストーリー(1) 理系分野のアクティブ・ラーニング

平岡秀一 (大学院総合文化研究科教授)
http://www.c.u-tokyo.ac.jp/info/research/faculty/list/mds/mds-bs/f002605.html

アクティブ・ラーニングで自然科学を楽しむ

専門化学
大学1・2年生対象
先端研究の一部を紹介→アクティブ・ラーニング

アカデミックスキル 書くスキル プレゼンテーション

学生間でピアレビュー

やってるプロセスを学ばせる

学生だけでなく教員がアクティブに

寄り道をしてしまっていいという気持ち

学生と一緒に問題を取り組もう

教員の心の余裕

7.ストーリー(2) ケースメソッド
高木 晴夫(慶応義塾大学大学院経営管理研究科教授)
http://www.kbs.keio.ac.jp/takagilab/

講義→正しいものごとを順序立てて説明をする

経営は事前に順序立てられる分量が少ない

複合的複雑

ケースについてみんなで議論
なぜこれが重要→問いを投げる

「はいはい」と手を挙げるよう仕向ける

何かを教えてくれると思ってる

手前の準備 手を挙げたくなるよう持っていく

予習 大変

ケース A4 20ページ 通しで1回読むのに1時間
合理的な推測→もう一回読む
予習の設問→意見構築 また読む

今日このケースでやらなければいけないことに意識をそこへシュッと集める
その日の題材と関係するつかみ

頭の奥2/3は場の動きを見て次の方向を考えないといけない

絶えず板書→議論の見える化

50人いて50人が全体で生き物のようになる

一番学んだのはHBS留学時 クリステンセン教授の授業
ディスカッションリーダーシップセミナー→ケースメソッドをケースメソッドで学ぶ

博士課程の必須科目→ケースメソッド教授法(現在では公開セミナー)

cf.ケースメソッド教授法セミナー(KBS)
http://www.kbs.keio.ac.jp/seminar/casemethod/module.html

ひな型レクチャーをやってもらう

講義に「引いてた」人が乗り出してきた時、そのタイミングを見逃さない

・研究と教育
研究の価値 できれば教育で実現させたい

立場上自分の研究と直結してはいないけれども教育の責任をはたさねばいけない
研究者として必要な書物、教科書、関連する参考図書は学生よりももっと読まないといけない

                                  • -

実践!日本型ケースメソッド教育

実践!日本型ケースメソッド教育

アクティブラーニングと教授学習パラダイムの転換

アクティブラーニングと教授学習パラダイムの転換

「駆け出しマネジャーの成長論〜7つの挑戦課題を「科学」する」中原淳 著

5月9日に発売された東京大学中原淳先生の「駆け出しマネジャーの成長論」、発売前にご恵投いただいてようやく読了できた。発売日前にお届けいただいておきながら記事を書くのが非常に遅くなったことに大変恐縮しつつ、書評と言うのはあまりにおこがましすぎるので、覚え書きを兼ねた読書メモを書かせていただく。


本書を一言で紹介するとしたら、「駆け出しマネジャーが自身の役割を正しく捉え、変化に戦略的に対応する過程を科学的・実践的に考察した一冊」といえる。本人必携、その周りの人たちも必読である。なぜなら、ここに書かれていることは「駆け出しマネジャー」だけに関係することではなくみんなにとって「自分ごと」だからだ。


プロローグで、本書の目的についてこのように書かれている。

本書は「マネジャーになっていくプロセス」と、そのプロセスをいかに乗り越えればよいのかを、解き明かすことを目的とします

本書全体を流れるトーンは、「マネジャーたるもの、必ず…すべし」とか、「マネジャーであるならば、強くあるべき」といった既存のマネジャー向け実務書に見られるような“規範論”とはやや異なります。

なぜなら、僕自身も、実務担当者からマネジャーへの移行のプロセスにいる「駆け出しマネジャー」のひとりであるからです。

マネジャーに関する科学の知、そして、これまで積み重ねてきた現場のマネジャーたちの声を重ね合わせ、読者の皆さんと「マネジャーになることの旅」をいかに乗り越えていくかを考えていきたいと思います。

これまでマネジャーに関して書かれた書籍というと、「〜するべき」という「べき本」や「〜あらねば」という「ねば本」、「オレはこうしたんだぜ」という「オレ本」が多くを占めているように感じるが、本書は著者自身の「マネジャーへの移行」の途上で感じた疑問や違和感、悩みなどを実感として織り込みつつ、アカデミックな知見と実践者へのインタビューデータを使ってプレイヤーからマネジャーへの移行のあり方、課題、対処策などを具体的に分析・提示しているため、納得感の高いものになっていると思われる。(「思われる」と書いているのは、私自身はマネジャーではなくプレイヤーであるため、周囲のマネジャーを見たり彼(彼女)らから聞く話を通して想像しているため)


第一章でまず「マネジャーとは何か」という定義の確認から始まる。

マネジャーとは「Getting things done through others」
「Getting things done」=「物事をなし遂げた状態にすること」
「through others」=「他社を通じて」実現すること

そして

マネジャーになるプロセスとは、「“仕事のスター”から“管理の初心者”に“生まれ変わること”」

つまり

「エキスパート」としての自分のあり方を一部棄却(捨て去ること)を通して、「自分以外の人」に「仕事をさせること(任せること)」が求められる

これは非常に大きな変化であり、プレイヤーからマネジャーへの移行において難しいところなのだという。現に調査結果では3割のマネジャーが移行につまづいているというデータもある。

だからこそマネジャーは

この移行期間--何かが終わり、新しい挑戦課題が生まれる時間--を「戦略的」に生き抜く必要があります

のであるという。

それでは、どう「戦略的に生き抜く」のかを、これ以降の章で順次書かれていく。そこで必要な手順として「リアリティ・プレビュー」→「リアリティ・アクセプト」→「リフレクション」→「アクション・テイキング」→「リフレクション」→「アクション・テイキング」の流れを挙げており、まずは「リアリティ・プレビュー」=「実際どういうことが起きているのか」を共有するところから始めていく。


第二章でまず、昨今のマネジャーへの移行を難しくしている、5つの職場環境の変化をこのようにまとめている。

(1)突然化:ある日、いきなりマネジャーになる
(2)二重化:プレイヤーであり、マネジャーでもある
(3)多様化:飲み会コミュニケーションが通用しない?
(4)煩雑化:予防線にまつわる仕事は増える
(5)若年化:経験の浅いマネジャーの増加

それぞれの詳細は本書を参照していただきたいが、今のシニアマネジャーたちがマネジャーに登用された時代とはこんなにも環境が変化しており、そこが彼らへの支援を難しくしている一因になっているとも言える。


そして第三章では、新任マネジャーが実務担当者からの移行において乗り越えなければならない課題として下記の7つを挙げている。

(1)部下育成 (2)目標咀嚼 (3)政治交渉 (4)多様な人材活用 (5)意思決定(6)マインド維持 (7)プレマネバランス

これらの課題に対して、「第4章 成果を挙げるため、何を為すべきか――リフレクションとアクション・テイキング」でひとつひとつ考察していく。その際、研究知見やデータにより「挑戦課題への対処法に『骨格』を与え」、現場で働くマネジャーたちの声で「その骨格を『肉付け』」させることで、読者である駆け出しマネジャーが「では、自分はどこから手をつけたらいいのか」「自分は具体的にどうしたらいいのか」を考えやすくしているのが本書の大きな特徴のひとつと言える。具体的な対処案に対し、読者の中には「これは違う」と感じるものもあるかもしれないが、ここに書かれていることを素材として、自身に腹落ちするやり方を見つけてもらえばいいのではないかと思う。これは決して「教科書」ではなく「考え方の提示」なのだから。


その後、「第5章 マネジャーの躍進のため、会社・組織にできること」で「『マネジャー目線に立った組織からの支援』はきわめて少ない」現状を挙げ、「組織の中核をになわせるのであれば、合理的かつ戦略的な支援のあり方を考える必要がある」とし、人事・人材育成部門に具体的な提言をしている。

印象的だったのは、その中で経営層にもこのように直言されていること。

自分たちも学んでほしい
率先垂範・言行一致してほしい
社員が学ぶ環境をつくってほしい

ドルマネジャー育成は経営に直結する重要課題であり、それを口にするならぜひ「率先垂範・言行一致」をしてほしい、と強く書かれている。現場として非常にありがたい提言である。


印象的だったのは、あとがきに書かれているこの言葉。

目標に掲げた「アクチュアリティのある研究」とは「今まさに、多くの方々が格闘している問題」と取り組む研究と言うことであり、また、「誰もが今悩んでいるみんなの課題」をアカデミックな切り口で、なるべくわかりやすく、平易に、分析し、語ることに他なりません。「人生の正午」と形容される40代を目前にひかえ、「地に足のついた研究」がしたいと、最近切に願うようになりました。

以前からこの部分がまさに中原先生に学ぶところが大きいと思っていたことであり、現場にいる人間として「アカデミックの知見を現場で活用する」お手本とさせていただいている。今後とも勝手ながら心の師匠としてついていきたい所存である。


尚、本書は実務家を読者として設定している一般書であるため、記述は平易で専門用語は少ない(いきなり「北斗の拳」が出てくるくらいである)。より詳しい理論的背景やデータを知りたい方は注釈にある文献か、中原先生の他の著書「経営学習論」「職場学習論」をお読みいただくとよいだろう。(あそこで書かれていたこのデータが、この分析がここでこうなったのか、と私自身は何度も思いながら読んでいた。)


最後に、中原先生、刺激的で興味深い一冊をご恵投いただき、本当にありがとうございました。

経営学習論: 人材育成を科学する

経営学習論: 人材育成を科学する

職場学習論―仕事の学びを科学する

職場学習論―仕事の学びを科学する

デーモン閣下の「課外授業ようこそ先輩『魔物に変身してみよう』」は見事なワークショップだった件

まあよく考えてみたら、この番組でやってることは全部、子どもたちを対象にした「ワークショップ」だと言えるわけだが。

2014年5月16日 「魔物に変身してみよう」 東京都中野区緑野小学校 デーモン閣下 (ミュージシャン)(NHK Eテレ)

舞台は東京都中野区立縁野小学校。先輩は魔界から現世に降りた悪魔、デーモン閣下
 今年悪魔の年齢で10万52歳を迎える閣下は、世を忍ぶ仮の姿の小学生の時にこの学校で勉強していた。
 今回は後輩たちに「魔物の極意」を教える。最初の授業では、“当たり前”に縛られない自分を創ること。人とは違う発想をもつ実践から始まった。教
室にある物で良い点と悪い点の両方を見つけるのだ。物にも良い点悪い点があるのだから、人間の自分にだってある。次にグループに分かれクラスメイトからの自分の良い点を教えてもらう。最後に宿題で、自分の欠点を考えてくることになった。
 2日目。閣下から貰った“魔物になるマント”を自分らしくアレンジし魔物に変身した子どもたち。魔物になる訓練から人間の自分と向き合い、褒めるか叱るかを、発表することになった。子どもたちは、自分をどんな言葉で褒めたり叱ったりするだろうか。

この流れ。
やったことをピックアップしてみると

                                • -

挨拶は「ごっつあんです」

グラウンドルール確認 ※5/18追記
デーモン閣下流  魔物の掟 その1 上下関係や社交辞令に縛られない 魔物の掟 その2 “当たり前”に縛られない 魔物の掟 その3 自分自身をよく知ろう」
(しまっちさんツイートより引用)

最近腹が立ったもの・ことに対して怒りをぶつける

身近なものを罵る またはいいところをほめる

グループワーク。仲間から自分のいいところをスケッチブックに書いてもらう

(宿題)家で自分の悪いところを考えてくる
魔物のマントを作ってくる

<暗幕で暗くした「魔界」の教室で>
マントを着て魔物になり、魔物の自分が人間の自分の写真に向かってほめる or 叱る

○決めゼリフ
ほめる時は「魔界へようこそ ハッハッハッ」
叱る時は「お前を蝋人形にしてやる ハッハッハッ」


野方商店街へ(ふだんから小学校とおつきあいあり)

魔物になってやってみたかったことをやる
・グルメレポーター (商店街のスパイシーコロッケ)
・手作りケーキを商店街の人たちに食べてもらう
・自作のオリジナル曲で野外ライブ

魔物のマントを捨てる

「ごっつあんでした」<終了>

                                    • -

実に見事なワークショップ。これ。すごい。

「ごっつあんです」でこの場を「異空間」にして、怒りをぶつけさせることで徐々にアイスブレイク。いいところもよくないところも「個性」なのだと物を使って感じてもらい、それを自分自身に応用する。日常の中でほめられる経験はおそらく少ない子どもたちに他者視線で「いいところ」を伝えてもらい、欠点は内省してもらう(もしくは両親と一緒に考える)。きちんと配慮して設計されている。

自分へのほめ or 叱りという「儀式」を経ていよいよ魔物になった子どもたちは、商店街の協力を得て「やってみたかったこと」に挑戦。最後に魔物のマントは捨てるけど、きっと彼らは心の中に「魔物スイッチ」を得たことだろう。いつでもそれを発動して「なりたい自分」を試してみることができるのだ。

あと、印象的だったのが、子どもたちを見るデーモン閣下のまなざしの温かさ。不完全燃焼気味の答えが来たとしても、デーモン閣下は「いいんだ、それでいいんだ」というような表情でうんうんと聞いている。初めは「こんなこと言っちゃっていいのかな」とおっかなびっくりだった子どもたちも、「ここではこれがオッケーなんだ」と安心して自分の思ったことを表現するようになっていく。ちゃんと段階を踏んで場づくりをしているところも見ていて感心した。

デーモン閣下の「悪魔」というキャラ設定があってこその内容なので、私たちがそのまま真似してもうまくいかないだろうけど、全体的なデザインの考え方、特に「違う自分になってみる」というのはインプロ的で大人にも応用が効くのではと考えた。どこかで試せると嬉しいのだが。

ちなみに再放送が月曜日の午後0時25分からあるそうなので、今回見逃した方はそちらをどうぞ。

ワークショップデザイン論―創ることで学ぶ

ワークショップデザイン論―創ることで学ぶ

地獄より愛をこめて

地獄より愛をこめて

ハッキヨイ! せきトリくん わくわく大相撲ガイド

ハッキヨイ! せきトリくん わくわく大相撲ガイド

課外授業ようこそ先輩〈1〉

課外授業ようこそ先輩〈1〉

「研修開発入門」中原淳 著

3月に発売された東京大学中原淳先生の「研修開発入門」、連休前にようやく読了できた。かなり時間が経ってしまったが、覚え書きを兼ねた読書メモを。

本書は2006年出版の「企業内人材育成入門」の実践編として、これから初めて研修開発をする人をメインターゲットに執筆された、とある。

中原先生のブログ記事「「研修開発入門:会社で教える、競争優位をつくる」が刊行されます!」には、内容についてこのように書かれている。

本書は「研修」に関する「サイエンス」と「実践知」の混成体です。
 サイエンスとして参考にしたのは、組織論(人材開発研究)の中の諸研究(研修デザイン研究、研修評価研究、研修転移研究)等の知見、教授デザインに関する研究の知見です。それらをふんだんに集め、最新の知見を、なるべくわかりやすく反映することにつとめました。
 しかし、研修開発の実務は、サイエンスの知見だけで語りうるものではありません。むしろサイエンスで語り得ることは、それほど多くはありません。それらを語りうるには、現場で発揮される実践知がどうしても必要です。
 よって、「研修開発の実践知」を抽出するため、僕は「企業教育関係者の実践知」を集めることにしました。本書を執筆するにあたり、筆者は、研修実務を担当する実務家30名に定性的なヒアリングを行い、その実践知を収集することにつとめました。

企業研修の歴史概観から始まって、研修開発のプロセス「企画→デザイン→講師選定→研修広報→研修準備→研修実施→研修フォローとレポーティング」に沿って書かれており、理解しやすい構成になっている。また内容も、上記で先生が書かれている通り、研究による知見と企業研修の実践者へのヒアリングによる事例や実践知がうまく組み合わさっていて、具体的な記述は全体的に納得度が高い。実践知は理論の裏付けがあって初めて汎用的ノウハウとして安心して使えるからだ。そして一般向けということで、イラストや図表を多く使い、アカデミックな用語もかみ砕いて使われているので、「大学の先生が書いた」という心理的ハードルはかなり下げられていると思われる。


新任の人材開発担当者のサブテキストとして、これを手元に置きながら、現場での実践と共に学んでいくことができるのと共に、ベテランも自分たちの取組みを振り返ってブラッシュアップすることができる、極めて実用的な一冊である。特に「第9章 研修実施:「教えること」の技法② メインアクティビティ編」にあるファシリテーションに関する考え方や様々な技法は、「自分はできている」と思っている社内講師の皆様にこそ一読いただき、この視点に基づいた他者からのフィードバックを受けてほしい。


印象深かったのは、袖の部分に抜粋されているこの一節。

誤解を恐れずに言うのであれば、企業の研修の目的とは「教えること」ではありません。教えることは「学習者に学んでもらうこと/変化してもらうこと」の「手段」であって「目的」ではありません。
例えば、あなたが今、さまざまな手法を用いて、何らかの知識を「教えた」とします。もし万が一、研修の目的が「教えること」にあったのだとしたら、その目的は達せられたことになります。
しかし、繰り返しになりますが、研修の目的とは「学習者が学ぶこと」、その上で、学習者に「変化」が起こることです。教えたとしても、「学習者に変化」が生まれなければ、目的を達成したことにはなりません。(中略)さらに話を進めると、企業の研修とは「学ぶこと」だけで止まってしまっては不足があります。「学んだあと」で、当人が職場・現場に帰り、成果につながるような行動を取ることができること−すなわち−「仕事の現場で成果につながるような行動を取ることができること」が目的になります。(第三章 研修のデザイン① より)

「研修をつくる」ことに集中してしまうと、つい研修という「手段」が「目的」になってしまいがちなのだが、研修の目的はあくまで「仕事の現場で成果につながるような行動を取ることができること」なのだ。そこまで見据えた場合、人材開発担当者は「学習行動」だけでなく、組織の中で人がどういう行動をとり、何が人の行動を阻害し、何が促進するのかといった「組織行動」への知見もある程度は求められてくるのだろう。安定した研修運営をしているだけでは、まだまだ道は険しく遠い。(もちろんそれも多くのノウハウを必要とする重要な要素のひとつではあるのだが)


そして一方思ったのは、ここまでプロセスやノウハウを詳細に解説されると、研修や人材開発の「プロ」はどこでプロフェッショナリティを発揮するのか、何を持って「人材開発のプロ」と言えるのか、ということ。これまではこの本にあるようなことを経験知として提供できればそこそこ評価されていたのだろうが、こういった形で出てきた以上、少なくともこの本に書かれていること以上の価値を提供できる存在でなければならないはずである。それは何なのか。そういったことを突きつけられる一冊でもあった。このあたり、自分に問いかけ続けていきたい。


発売後のブログ記事「「研修開発入門」、発売開始になりました!」で中原先生もこのように書かれている。

 本書は「対話の素材」になることを願っています。
 そして「加筆されるため」に生まれてきました。

これは完成形でなく、ここからさらに私たち実践者のノウハウや知見を加えていくことで、より説得力のある研修をつくっていけるようになるのだろうと思う。加筆するのは私たちだ。

企業内人材育成入門

企業内人材育成入門

「【無料体験講座】コピーライター養成講座 基礎コース」内容メモ

宣伝会議が開催している「コピーライター養成講座 基礎コース」の内容を2時間で紹介するという無料体験講座。知人が参加してとてもよかった、と言ってたので、試しに申込してみました。その内容のメモを残しておこうと思います。

知人が参加したときと講師が違うので、内容もかなり違っていたようですが、広告業界の方の考え方を整理して初めて聞けたので、とても興味深かったです。「行動の背景にある認識を見ないと的確なコミュニケーションができない」というのはカウンセリングに通じるものがあるなあと思いました。

                                  • -

講師:宮沢節夫氏(宮沢節夫事務所)

●事前ガイダンス
コピーライティングの技術ではなく、どういう風にものごとを整理して、「書く」ことに落しこんでいくのかについてお話してもらいます。

※以降先生の講演

通常の講座で4時間で話すことを今日は1時間半で話します。だからさわり程度。

◆コピー開発プラットフォーム
あらゆるコミュニケーションに共通

ビジネスはコミュニケーションで成長(動く)収益が変わる 投資が大きい
マーケティング・マネジメント・コミュニケーションは同等

商業コミュニケーションには必ず相手がいる
コミュニケーションの相手は「人間」

期待する反応を得たとき成り立つ
ターゲットの何らかの反応。
「人間」「反応を求めてる」ことがキー。

目的は期待する反応を得ること
あらゆることは反応を得るための手段→つい「書くこと」が目的になる

マーケティング戦略のみではダメ
より深く興味を持ってもらうために操作・細工

ex.アプリの性能・特徴などを説明→興味ある人にしか届かない
もっと大きな興味を持ってもらうにはをしたら?→ターゲットの心理を刺激

ホンネ 心に響かないといけない
感性に訴えるコミュニケーション


◆技能 ノウハウ→理屈と感性の橋渡し

Claude C Hopkins "Scientific Advertising"
一定の方法論に則った広告コミュニケーション

Bill Bernbach
「ルールとはアーティストが破壊するものである。人に覚えられるものは、公式からは生まれない」

目を引くこと
気を引くこと

地下鉄ポスターの視認時間 平均0.8秒

大前提は「現代は情報があふれすぎている」(人が見れる3〜4倍)

あらゆる情報 興味のある人しか見ない 他は素通り

情報自ら淘汰→自分にとって重要だと思わせる


◆サイエンス&アート 両方必要
理屈から感性へのジャンプ

サイエンス(rational・marketing)→アート(目立たせる・好意・共感・記憶に残らせる)
What to say(何を伝えるべきか)→How to say(どう伝えるか)←そぎ落とす 複雑にしてられない
これをコントロールするのがクリエイティブディレクション

What to say と How to say
並べるだけでなく絞り込んで価値を加える

絞り込めば絞り込むほど表現物が強くなる→絞り込みは大事な作業

発注者と広告会社は同じ流れを持たないと案の良し悪しをわからない

creative brief 指示書

期待する反応「気持ちをすり寄ってもらう」

クリエイティブにできること→相手の気持ち・認識の変化


◆1)誰が 2)誰に 3)どんな変化を期待? 4)what to say(何を伝えるか)

情報の集めすぎ→アイデアの邪魔

1)誰が:自分自身の機能と価値を定める

・基本情報 商品/サービスなどの基本データと、競合と比べて優位・不利な点
・機能価値 商品/サービスの特徴によって直接得られる便益
・情緒価値 機能を手に入れることによって、自分自身や生活にどんな変化が期待できるか

機能だけでは差別がつかない


2)誰に:相手の態度や気持ちを掴みコミュニケーションのヒントを探る

コミュニケーションのターゲット

デモグラフィック(統計的)特性とライフスタイル特性

デモグラフィック(統計的)特性
性別・年齢層・職業・居住状態・家族構成・収入/可処分所得・関連商品保有状況 等

ライフスタイル特性
趣味・娯楽・食事・ファッション傾向・友人関係・旅行傾向・読書傾向 等
→表現をつくるきっかけになる

この二つの間にある的確なコミュニケーション

認識(どんな認識をもっているか)+行動(どんな態度で購入・使用しているか)


インサイト(Insight)=「ホンネ」腹の内 胸の内 認識してる/してない

2つのインサイト

カテゴリー・インサイト
課題の商品やそれが属するカテゴリーに対して意識していること

ライフスタイル・インサイト
日常生活の中で、いつも気にかけており、結果としてブランド戦略に影響を与えること
生き方・考え方

初代プリウスはカテゴリーインサイトでは選ばない

何らかのお金を払うとき必ず影響している

ターゲットの人たちはどんなインサイトを持ってる?
相手が腹の中でどんなことを考えているか?

・調査(グループインタビュー)
・ターゲットからヒアリング
・検索・雑誌などからの情報収集
・日頃からの観察や経験
・自らの仮説


インサイトを選び出す
・できるだけ数多くのインサイトをリストにまとめる
インサイトはターゲットの言葉で整理する(客観的な言葉や専門用語に置き換えない)
・目的達成に重要なキー・インサイトを発見する
直接役立つ有利なインサイト→確認して増幅する
誤解から生じる不利なインサイト→誤解を解く うまく利用する

例)車を買うときのインサイト
プジョー→洗車率一番高い 周囲から趣味のいい人と思われたい
ボルボ→安全安心
ベンツ→社会的地位


3)どんな変化?:相手に求める変化=コミュニケーションの目的

お店に行きたい 便利だと思わせる

現状の認識→現状の行動

背景にある認識が重要
行動だけ見てると的確なコミュニケーションができない

「売れるクリエイティブにはない。売りやすいクリエイティブはある」

現状の認識→求める認識の変化→行動意識の変化
どう変わってほしいか


ひとつのコミュニケーションで多種の認識や行動意識の変化を促すのは不可能
→もっとも臨まれる認識や行動意識の変化に絞る。あるいは優先順位を明確にすることが必要


4)What to say:伝えるべきもっとも重要な事柄を探り出す

何を言ったら興味を持ってもらえる ふりむいてもらえる

相手が喜ぶ形に見えるようにする→ What to say
上手におさめる→ How to say

伝わる→ What to sayがわかる "I've got it!"

覚えていること→刺激的だったから

コピーは手段 コピーそのものを誰も覚えてくれない 伝えたいことそのものではない

ex.コロナビール

イデアをインスパイアする What to say
コロナビールは飲み方にルールのあるビールです」

コロナビールはどんなときでもライムで飲まなければいけません」


◆基本的な種類の What to say

FACT(事実を知らせる)→MERIT(誰もが得られるメリット 広告の8割はメリット路線)→BENEFIT(ターゲットのインサイトに訴える)

ものごとをまとめあげて言葉で整理する

コピーには考え方ややり方がある

広告をつくるようなアイデア開発で経営問題の解決を考える

ブランディング+表現力

経営コンサルタントからブレイクスルーは出てこない

名作コピーに学ぶ読ませる文章の書き方 (日経ビジネス文庫)

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希望をつくる仕事 ソーシャルデザイン

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広報会議 2014年 05月号 [雑誌]

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